この記事で分かる3つのこと
・1998年『ミュウツーの逆襲』から2020年『ココ』まで全23作を時系列網羅
・安室奈美恵、サラ・ブライトマン等の歴代主題歌と興収TOP3を整理
・2020年以降の長期休止と2027年新作プロジェクトの最新動向を解説
- 第1期:SF文明批判と社会現象期(1998-2000)
- 第2期:感情劇とゲーム連動確立期(2001-2006)
- 第3期:DPシンオウ三神の壮大スケール期(2007-2010)
- 第4期:BW新世代と短編廃止の実験期(2011-2014)
- 第5期:XY幻ポケモン三部作と興収底打ち期(2015-2016)
- 第6期:新サトシ編リブート期(2017-2019)
- 第7期:親子愛と長期休止期(2020〜)
- おすすめ名作ランキングTOP3
- ポケモン映画はこの順番で見るのがおすすめ
- 質問(FAQ)コーナー
- 歴代主題歌・テーマ曲一覧
- 全作品の公開日・興行収入一覧
- 関連作品
- まとめ
ゲームソフトから始まったポケモンが世界を席巻し、毎年7月の劇場版公開が国民的行事として根付いた1998-2020年。
この23年間に23作が積み重ねた歴史を、首藤剛志のSF文明批判、園田英樹の感情劇、新サトシ編リブートまで時系列で振り返る。
サラ・ブライトマンや小林幸子など主題歌の豪華アーティスト、ジラーチやマナフィといった伝説のポケモン配布特典、そして『ココ』以降の長期休止と2027年アードマン共同プロジェクトの現在地までを、コア層もライト層も読み応えのある総覧として網羅した。
シリーズ基礎データ
原作はゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』(1996年・任天堂/ゲームフリーク)。
劇場版本編は1998年から2020年まで全23作(製作:小学館・テレビ東京・OLM/配給:東宝)。
累計興行収入は約900億円規模で、歴代1位は第1作『ミュウツーの逆襲』(72.4億円・1998年)。
シリーズ総監督は湯山邦彦、主演は松本梨香(サトシ)と大谷育江(ピカチュウ)。2020年『ココ』以降は長期休止状態にあり、2027年公開予定でアードマン・アニメーションズとの共同プロジェクトが進行している。
第1期:SF文明批判と社会現象期(1998-2000)
1998-2000年の3作『ミュウツーの逆襲』『ルギア爆誕』『結晶塔の帝王』を率いた首藤剛志脚本期である。
社会現象級の興収(72.4→64.0→48.5億円)でスタートダッシュを飾り、クローン生命の存在意義、コレクターの傲慢、父喪失という重厚なSFテーマをポケモンの世界観で大胆に描き切った。アニメ初期スタッフの作家性が濃厚に詰まり、子供向けの枠を遥かに超えた奥深さでコア層の支持を獲得した時代である。
No.1 ミュウツーの逆襲
| 公開日 | 1998年7月18日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 72.4億円(シリーズ歴代1位) |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 首藤剛志 |
| 主題歌 | 小林幸子「風といっしょに」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ミュウツー(市村正親) |
| 入場者特典 | 古代ミュウ プロモカード(応募者全員サービス) |
| 同時上映 | ピカチュウのなつやすみ |
【見どころ】
シリーズ第1作にして総監督・湯山邦彦と脚本・首藤剛志が組んだSF文明批判作。
クローンポケモンとオリジナルの存在をめぐる重厚なテーマを、ポケモン世界観のなかで真正面から描き切った野心作である。新島の城に集まったトレーナーとポケモンたちがミュウツーの怒りに直面し、自身の存在意義を問い直すクライマックスは、子供向けアニメの常識を覆した。
【あらすじ】
科学者の手によって生み出されたクローンポケモン・ミュウツーは、自身が「複製品」であることへの怒りを抱え、最強のトレーナーへの招待状を送りつける。
サトシたちが新島の城に到着すると、そこにはミュウツーが用意したオリジナルとクローンの大乱闘が待ち受けていた。海原に響く嵐のなかで、本物と複製の存在意義をめぐる戦いが始まる。
【レビュー】
シリーズ歴代1位の興収を打ち立てた金字塔だ。
ミュウツーが嵐の中で「私はここにいる」と独白するシーンに、子どもながら胸を抉られた。クローンとオリジナルが涙を流して殴り合うラストは、夏休み映画の枠を完全に超えた重厚さで、何度観ても心が震える不朽の名作である。
1998年は『タイタニック』が日本でも歴代1位の興収を更新し、ハリウッド映画が席巻した年である。
アニメ業界では『ベルセルク』がTV放送されて大人向けの作家性が注目を集め、ジブリは『もののけ姫』後の新作を準備中で宮崎駿不在の年だった。
前年から放送開始したアニメ『ポケットモンスター』は社会現象を巻き起こし、第1作『ミュウツーの逆襲』はそのブームの只中で公開された。前売券に同封された幻ポケモン「ミュウ」プロモカードは応募者全員サービスとして配布され、ゲームと映画の連動体験という新時代を切り開いた。
No.2 幻のポケモン ルギア爆誕
| 公開日 | 1999年7月17日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 64.0億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 首藤剛志 |
| 主題歌 | 松本梨香「めざせポケモンマスター」(OP)/安室奈美恵「toi et moi」(ED・小室哲哉作曲) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ジラルダン(鹿賀丈史) |
| 入場者特典 | サーフピカチュウ/とびはねるピカチュウ(前売券で金銀ソフトに配信) |
| 同時上映 | ピカチュウたんけんたい |
【見どころ】
シリーズ第2作は首藤剛志脚本によるオレンジ諸島を舞台にしたスケール拡大期である。
コレクターのジラルダン(鹿賀丈史)が伝説の三鳥(ファイヤー・サンダー・フリーザー)を捕獲し、世界の気象バランスを破壊しようと企てる。三鳥の頂点に立つ伝説のポケモン・ルギアの登場と、安室奈美恵が小室哲哉プロデュースで歌うED「toi et moi」も話題を呼んだ。
【あらすじ】
オレンジ諸島の海域で、コレクターのジラルダンが伝説の三鳥ポケモンを次々に捕獲していく。
これにより世界の気象バランスが崩れ、海の守り神ルギアが目覚める。サトシは「選ばれし者」として、ファイヤー・サンダー・フリーザーの怒りを鎮めるべく試練に挑む。三つの島の宝玉を集める冒険と、ルギアの咆哮が世界を救う鍵となる。
【レビュー】
オレンジ諸島という新天地のロケーション、伝説の三鳥と頂点ルギアという豪華なラインナップ、海原に響くルギアの歌声。
すべてが当時の子どもの心を鷲掴みにした冒険大作だ。ファイヤー・サンダー・フリーザーが順に登場する瞬間の鳥肌、宝玉を集める旅路の高揚感が、夏の終わりの寂しさまで運んでくる。
No.3 結晶塔の帝王 エンテイ
| 公開日 | 2000年7月8日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 48.5億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 首藤剛志/園田英樹 |
| 主題歌 | 松本梨香「OK! 2000」(OP)/森公美子「虹がうまれた日」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、エンテイ(竹中直人)、ミー(坂本千夏) |
| 入場者特典 | ピチュー プロモカード/応募特典で色違いポケモン金銀ソフトに配信 |
| 同時上映 | ピチューとピカチュウ |
【見どころ】
首藤剛志と園田英樹の共同脚本による、グリーンフィールドの少女ミーと父喪失を描いた感動作である。
父の不在を埋めるためにアンノーンの力で「理想の父」エンテイを召喚した少女と、結晶に包まれた屋敷からママを救うサトシの戦い。竹中直人がエンテイの声を演じ、子どもの孤独と願いに正面から向き合う重厚さが光る。
【あらすじ】
グリーンフィールドに住む少女ミーは、行方不明の父と病に倒れた母を抱え、孤独の中でアンノーンの力を発動させる。
アンノーンは少女の「理想の父」を具現化してエンテイを生み出し、町中を結晶に包んでサトシの母ハナコまで囚えてしまう。サトシはピカチュウとともにエンテイに挑み、ミーの願いに向き合っていく。
【レビュー】
父の不在を埋めるために生み出された「理想の父」エンテイの哀しさ、ハナコ(サトシの母)が結晶に閉じ込められるショック展開、そしてミーの心が解き放たれるラスト。
子どもの孤独と願いに真正面から向き合った重厚な一本だ。エンテイの低く優しい声音が深い余韻を残す。
第2期:感情劇とゲーム連動確立期(2001-2006)
2001-2006年の6作はサブライター園田英樹が単独脚本を担当し、ホエン・カントー再訪・シンオウ前夜の幅広い舞台で感情劇を磨いた時代である。
第6作『七夜の願い星 ジラーチ』では前売券で幻ポケモン「ジラーチ」がゲーム連動配信され、シリーズの定番文化を確立。林明日香「小さきもの」やPUFFY「はじまりのうた」など邦楽人気アーティスト主題歌が連発し、興収は26.7〜45.0億円で安定の人気期となった。
No.4 セレビィ 時を超えた遭遇
| 公開日 | 2001年7月7日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 39.0億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | 藤井フミヤ「明日天気にしておくれ」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ユキナリ(山田ふしぎ)、セレビィ(かないみか) |
| 入場者特典 | カクレオン プロモカード/前売特典バンダナ |
| 同時上映 | ピカチュウのドキドキかくれんぼ |
【見どころ】
40年前の世界からセレビィに連れてきてもらった少年ユキナリと、現代のサトシが時を超えて出会う異色のSF設定。
ロケット団分派ビシャスがセレビィを捕獲して兵器化を企てるなか、森を駆け抜ける友情の物語が展開する。「時間を越えた友達」という美しいテーマと、藤井フミヤが歌うED「明日天気にしておくれ」が印象を強める。
【あらすじ】
40年前のジョウト地方からセレビィに連れて来られた少年ユキナリは、現代の森でサトシたちと出会う。
ロケット団から離反したビシャスはセレビィを捕獲して怪物兵器に変えようと企む。森を支配する魔物と化したセレビィをサトシたちが救い、ユキナリが過去の世界へ帰る瞬間に、時を超えた友情が静かに完結する。
【レビュー】
森の精霊セレビィが闇に堕ちた姿の絶望感と、サトシとユキナリが取り戻すまでの真っ直ぐな友情。
ラストの「またね」と手を振るユキナリのカットに胸が締めつけられる。子ども時代に観た者なら、エンディング後にしばらく席を立てなかった忘れがたい一本である。
2001年は『千と千尋の神隠し』が日本歴代興収1位(308億円)を打ち立て、ジブリ映画が頂点に立った年である。
邦画アニメ全体が成熟期に入り、ポケモン映画は3作目までの社会現象スタートから、テーマ性で勝負する第2期へと舵を切った。林明日香のEDが象徴するように、女性アーティスト起用の流れもここから本格化する。同年9月にはアメリカ同時多発テロが起き、世界が転換期に入った。子ども向け映画にも「未来」「時を超える絆」という普遍的テーマが強く響いた時代である。
No.5 水の都の護神 ラティアスとラティオス
| 公開日 | 2002年7月13日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 26.7億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | coba & 宮沢和史「ひとりぼっちじゃない」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、カノン/ラティアス(佐藤藍子)、ラティオス(堀内健) |
| 入場者特典 | ラティオス/ラティアス プロモカード |
| 同時上映 | ピカピカ星空キャンプ |
【見どころ】
ベネチアをモデルとした水の都アルトマーレが舞台の、シリーズ屈指の美麗な背景美術が魅力の一作。
兄妹のラティアス・ラティオスと「カノン」と名乗る少女の正体、街の守護を司る古代の機構、コソ泥姉妹のたどる選択。すべてが水路の街の優雅な空気のなかで紡がれ、最後に都市スケールの仕掛けが動き出すクライマックスへ収束する。
【あらすじ】
水路の街アルトマーレを訪れたサトシ一行は、街の守護神とされるラティアス・ラティオスの兄妹と出会う。
古の防衛機構「秘密の防衛機構」を狙う双子の女盗賊が街の心臓部に侵入し、暴走した装置が街を水没の危機に陥れる。サトシとピカチュウはカノンの正体を抱えるラティアスとともに、水の都を救う最後の戦いに身を投じる。
【レビュー】
ベネチアの石造りの街並みが水彩で描かれる美しさに、まず画面ごと心を奪われる一本だ。
ラティオスが命を落としてラストに「しずく」へ姿を変える神話的構図、ラティアスがコッソリとサトシにキスするカット。作画と音楽が完璧に噛み合い、アルトマーレに行ってみたいと心底思わせる夏の名作だ。
No.6 七夜の願い星 ジラーチ
| 公開日 | 2003年7月19日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 45.0億円(前売券100万枚突破) |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | 林明日香「小さきもの」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、マサト(山田ふしぎ)、ジラーチ(鈴木富子)、バトラー(山寺宏一) |
| 入場者特典 | ジラーチ(前売券でルビー・サファイアに「ふしぎなおくりもの」配信) |
| 同時上映 | おどるポケモンひみつ基地 |
【見どころ】
千年に一度、たった七夜だけ目覚める伝説のポケモン・ジラーチと、ハルカの弟マサトとの友情を描いた感動作。
元マグマ団員バトラーがジラーチの力で甦らせる古代ポケモン・グラードンの暴走、千年彗星に願いを託す結末まで、別れの哀しさと願いの美しさが交差する。林明日香のED「小さきもの」が涙腺を完全に崩壊させる名場面で完結する。
【あらすじ】
千年に一度、彗星が訪れる七夜だけ目を覚ます伝説のポケモン・ジラーチが、マサトの呼びかけで眠りから覚める。
願いを叶える力を持つジラーチを狙う元マグマ団員バトラーは、その力で古代ポケモン・グラードンを甦らせ世界を脅かす。サトシたちはジラーチを守りながら、千年彗星が再び去る七夜目の朝へと駆け抜けていく。
【レビュー】
マサトとジラーチが「友達でいてくれてありがとう」と別れを交わすラストで、毎回涙が止まらなくなる。
千年彗星に向かって願いを送る静謐な構図、ハルカが弟を見つめる眼差し、グラードンの暴走の狂気と再生。シリーズ屈指の親子愛・友情編で、子供時代の心を鷲掴みにする一本だ。
No.7 裂空の訪問者 デオキシス
| 公開日 | 2004年7月17日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 43.8億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | Tommy february6「L・O・V・E・L・Y〜夢見るLOVELY BOY〜」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、トオイ(涼風真世)、ハルカ(KAORI) |
| 入場者特典 | オーロラチケット(FRLG連動でデオキシス入手・約160万枚配布) |
| 同時上映 | ピカチュウの夏祭り |
【見どころ】
近未来都市ラルースシティを舞台にした、機械文明と宇宙生命の衝突を描くSFアクション作。
少年トオイが抱える「氷が苦手」というトラウマと、それを乗り越えてデオキシスと向き合う物語が骨太である。レックウザvsデオキシスの空中戦、街全体を覆う巨大バリアの圧倒的スケール、ホバーボードで疾走するアクション演出が見ごたえ十分。
【あらすじ】
4年前の北極で、デオキシスは謎の隕石とともに地球に降り立ち、レックウザとの戦闘で行方不明となる。
機械文明が発達した近未来都市ラルースシティを訪れたサトシ一行は、過去のトラウマを抱える少年トオイと出会う。再生したデオキシスがレックウザに襲われ、街は防御システムに支配されていく。トオイは恐怖を乗り越えてデオキシスとの絆を取り戻していく。
【レビュー】
ホバーボードで街を疾走するアクションのスピード感、レックウザとデオキシスが空で激突する迫力、機械都市が生き物のように動く演出。
すべてが当時の最先端で痺れる一本だ。トオイがトラウマを越える成長譚としても良くできていて、観終わると胸が空く。
No.8 ミュウと波導の勇者 ルカリオ
| 公開日 | 2005年7月16日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 43.0億円(観客動員393万) |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | PUFFY「はじまりのうた」(ED・アンディ・スターマー作曲) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ルカリオ(浪川大輔)、アーロン(山寺宏一) |
| 入場者特典 | ミュウ(エメラルド/FRLG連動配信) |
| 同時上映 | ピカチュウのワンパクアイランド |
【見どころ】
中世風の城塞都市カメランを舞台に、波導の勇者アーロンとそのパートナー・ルカリオの伝説を現代に蘇らせる重厚なファンタジー。
聖杖に封じられていたルカリオが現代に甦り、サトシをアーロンの面影に重ねていく心情劇が涙腺を直撃する。ミュウの聖域「世界のはじまりの樹」を巡る壮大なスケールと、ルカリオの自己犠牲という古典的英雄譚の構図が光る一本だ。
【あらすじ】
カメラン城祭の波導の勇者選抜大会で優勝したサトシは、聖杖に封じられていた波導使いルカリオを覚醒させる。
ルカリオは現代のサトシを、自身を聖杖に封じた裏切り者と思っていた主人アーロンの面影に重ねていく。世界のはじまりの樹で病に伏せたミュウを救うため、サトシとルカリオは互いの心を交わしながら最後の使命に向かう。
【レビュー】
ルカリオが「主人よ」とアーロンに語りかける回想と、サトシに本当の意味を見出すラスト。
樹の奥でミュウと再会し、消えていくルカリオの姿に毎回泣かされる。波導の力、波導使いの誇り、自分の存在意義を仲間との絆で見つけ直すルカリオの祈り。中世ファンタジーの空気感が幼い夏の記憶ごと連れ戻してくる感動作だ。
No.9 ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ
| 公開日 | 2006年7月15日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 34.0億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | ROCKETMAN「守るべきもの」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ジャッキー(藤原啓治)、マナフィ(こおろぎさとみ) |
| 入場者特典 | マナフィのタマゴ(『ポケモンレンジャー』連動配信) |
| 同時上映 | ピカチュウのアイランドアドベンチャー |
【見どころ】
ポケモンレンジャーのジャッキーが本編に初登場した、海賊冒険活劇テイストの一本。
謎の海賊団ファントムが狙うマナフィの卵をめぐる海上アクションと、海王子マナフィの孵化、海底神殿の壮大なスケールが特徴である。本シリーズで珍しく、サトシ以外の主要人物(レンジャー・ジャッキー)の物語比重が高い構成も興味深い。
【あらすじ】
海賊団ファントムから「海王子の卵」を奪還したポケモンレンジャー・ジャッキーは、卵をサトシたちに託して再び旅立つ。
卵から孵ったマナフィはハルカを母として懐き、サトシ一行は海底神殿アクーシャまで送り届ける旅に出る。卵の使命をめぐる海賊団の追撃と、母親のように寄り添うハルカとマナフィの絆が、静かなクライマックスを彩る。
【レビュー】
ハルカがマナフィを抱きしめる母性のシーン、海底神殿の幻想的な美術、レンジャー・ジャッキーの渋い活躍。
海洋冒険テイストとしては映像のスケール感が抜群で、夏休みの海を懐かしむ気分になる一本だ。マナフィの卵を抱える前売特典のドキドキ感も鮮明な思い出として残る。
第3期:DPシンオウ三神の壮大スケール期(2007-2010)
2007-2010年の4作はゲーム『ダイヤモンド・パール』連動の壮大な神話スケールが頂点に達した時代である。
ディアルガ・パルキア・ギラティナのシンオウ三神が織りなす時空の物語、サラ・ブライトマン主題歌・前売券200万枚の歴代邦画記録を打ち立てた第10作、劇場で初めてアルセウスを配信した第12作。興収は41.6〜50.2億円と高水準で推移し、ゲーム連動マーケティングが完成形に達したシリーズ第二の黄金期である。
No.10 ディアルガVSパルキアVSダークライ
| 公開日 | 2007年7月14日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 50.2億円(前売200万枚で歴代邦画記録) |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | サラ・ブライトマン「I Will Be With You (Where the Lost Ones Go)」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ヒカリ(豊口めぐみ)、ダークライ(山寺宏一) |
| 入場者特典 | ダークライ(DP連動「ふしぎなおくりもの」) |
| 同時上映 | ピカチュウタウン |
【見どころ】
ディアルガとパルキアの空間衝突が街を破壊する規格外スケールに、街を守ろうとするダークライの孤独と贖罪を絡めた壮大なシンオウ三神編。
サラ・ブライトマンが主題歌「I Will Be With You」を歌い上げ、シリーズの音楽に世界級アーティストが参加した瞬間でもある。前売券は200万枚を突破し、邦画歴代最高記録を打ち立てた。
【あらすじ】
オシアナス湾のアラモスタウンで、ディアルガとパルキアが時空をめぐって激突し、街は次元の歪みに飲み込まれていく。
住民から災いの存在として恐れられてきたダークライは、街を守ろうと両者の戦いに割って入るが力及ばず傷つく。サトシ・ヒカリ・タケシは三神の戦いを止めるため、塔に隠された「オラシオン」の旋律へとたどり着く。
【レビュー】
ディアルガとパルキアの空間衝突がアラモスタウンを飲み込む規格外スケールに、子供心が完全に持っていかれた一本だ。
ダークライが「闇」のレッテルを背負ったまま街を救う姿、塔に響く「オラシオン」の旋律、最後にダークライが浮かぶ夜空の美しさ。シリーズ第2の黄金時代を切り開いた金字塔である。
2007年は『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』が日本興収トップを獲り、ハリウッド大作の3作目シリーズが頂点に達した年である。
邦画では『HERO』が81.5億円を稼ぎ、テレビドラマ発の劇場版が市場を牽引した。アニメ業界では『涼宮ハルヒの憂鬱』後の深夜アニメブームが本格化し、子ども向け作品との二極化が進んでいた。前年に発売されたゲーム『ダイヤモンド・パール』が500万本超のヒットとなり、その熱気を受けた第10作はサラ・ブライトマン起用と前売200万枚の歴史的記録で、ポケモン映画を文化的格上の存在に押し上げた。
No.11 ギラティナと氷空の花束 シェイミ
| 公開日 | 2008年7月19日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 48.0億円(前売2年連続200万枚) |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | Crystal Kay「ONE」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ヒカリ(豊口めぐみ)、シェイミ(堀江由衣) |
| 入場者特典 | レジギガス(テンイむら配信) |
| 同時上映 | ピカチュウの氷大冒険 |
【見どころ】
ギラティナの故郷「やぶれたせかい」を初めて映像化した、シリーズ屈指の幻想的世界観が魅力の一本。
毒気を吐くシェイミと反転した重力空間の美術、サトシたちが裏側の世界を駆け抜けるアクション。氷の湖に咲く花束と、シェイミがスカイフォルムへ姿を変える瞬間の解放感が美しく胸を打つ。やぶれたせかいの暗黒美が今でも語り草である。
【あらすじ】
毒の沼地から逃れる伝説のポケモン・シェイミと出会ったサトシ一行は、世界の裏側「やぶれたせかい」の支配者ギラティナと衝突する。
かつてやぶれたせかいに迷い込んだ研究者ザロックは復讐を企て、ディアルガを使ってシェイミを亡き者にしようとする。サトシたちはギラティナの怒りを鎮めながら、シェイミの咲かせる花束で世界の傷を癒していく。
【レビュー】
毒気を吐くシェイミの可愛さと、やぶれたせかいの黒く美しい異界の対比に魂を奪われる。
ザロックがディアルガを操って復讐を遂げようとする展開は、子供向けとは思えないシリアスさだ。シェイミがスカイフォルムへ姿を変えて空を駆け抜けるラストの解放感に、何度観ても心が洗われる。
No.12 アルセウス 超克の時空へ
| 公開日 | 2009年7月18日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 46.7億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | サトシ&ヒカリ「ハイタッチ! 2009」(OP)/中川翔子「心のアンテナ」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ダモス(津嘉山正種)、アルセウス(美輪明宏) |
| 入場者特典 | 色違いピチュー(DPt連動)/劇場ワイヤレスでアルセウス史上初配信 |
| 同時上映 | ピカチュウのおばけカーニバル |
【見どころ】
ディアルガ・パルキア・ギラティナのシンオウ三神に加え、創造神アルセウスを初めて映像化したシリーズ屈指の壮大編。
ダモスの裏切りという過去のトラウマを抱えたアルセウスに、サトシたちがタイムスリップで挑む構造が骨太である。美輪明宏が放つアルセウスの威厳ある声と、神々の戦いが地球を巻き込む規模感に圧倒される。三神編の集大成として完成度が際立つ。
【あらすじ】
ミチーナの遺跡で巫女シーナと出会ったサトシ一行は、3000年前の賢者ダモスの裏切りで人類への怒りに目覚めたアルセウスから世界が裁かれる危機に直面する。
ディアルガの力で過去のミチーナへ遡ったサトシたちは、ダモスがダークライを操られていた真実を解き明かし、アルセウスへの謝罪と和解の道を探っていく。
【レビュー】
創造神アルセウスの神々しい威厳に画面ごと支配される一本だ。
タイムスリップで過去のダモスに会いに行く構成、ダークライが再登場して命がけで道を切り開くシーン、ディアルガ・パルキア・ギラティナの三神とアルセウスが揃い踏みする圧倒的構図。シリーズの世界観が完成形に到達した瞬間である。
No.13 幻影の覇者 ゾロアーク
| 公開日 | 2010年7月10日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 41.6億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | スキマスイッチ「アイスクリーム シンドローム」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ゾロア(折笠富美子)、ゾロアーク(中川翔子) |
| 入場者特典 | エンテイ/ライコウ/スイクン(クラウン)から1体(HGSS連動)/劇場でセレビィ配信 |
| 同時上映 | 幻影の覇者の前日譚短編 |
【見どころ】
近未来都市クラウンシティを舞台に、ゾロア・ゾロアークの母子愛と、街を支配する企業家グリングス・コードの陰謀が交錯するドラマ性が魅力。
スイクン・ライコウ・エンテイの伝説三犬がゾロアークを母として追跡する設定がユニークで、街全体に張られた幻影が崩壊していくクライマックスは映像的快感に満ちる。中川翔子のゾロアークの声演技にも当時驚きの声が上がった。
【あらすじ】
近未来都市クラウンシティで開催されるポケモンバッカーカップに参加するため、サトシ一行は街を訪れる。
街は影で支配する企業家グリングス・コードによって、捕らわれたゾロアークの幻影で覆われていた。母を救おうと潜入した子ゾロアと出会ったサトシは、伝説の三犬と協力しながらコードの陰謀を打ち砕き、母子の再会を実現させようと奮闘する。
【レビュー】
近未来都市の街並みを駆け抜けるアクションと、ゾロア・ゾロアーク母子の親子愛が完璧に噛み合う一本だ。
三犬がゾロアークを母として追いかける設定の切なさ、企業家コードの闇、街中に貼り付けられた幻影が剥がれ落ちるクライマックス。観終えた後にじんわり胸が温まる、過小評価されている隠れた名作である。
第4期:BW新世代と短編廃止の実験期(2011-2014)
2011-2014年の4作はゲーム『ベストウイッシュ』『XY』連動の刷新期で、ビクティニ2作同時公開という前代未聞の実験から始まった時代である。
色違いゲノセクトの劇場ワイヤレス史上初配信、ディアンシーのトレッタ連動など特典文化の変奏が続く一方、興収は43.3→36.1→31.7→29.1億円と緩やかな逓減期に入る。長尺2本立て興行で同時上映ピカチュウ短編が一時消滅したのも本期の特徴で、新世代のサブカル風土と向き合った試行錯誤の時代である。
No.14 ビクティニと黒き英雄 ゼクロム/白き英雄 レシラム
| 公開日 | 2011年7月16日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 43.3億円(黒・白2作合算) |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | Every Little Thing「宙-そら-」(黒)/「響-こえ-」(白) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ビクティニ(広橋涼)、ダモン(中川翔子) |
| 入場者特典 | ビクティニ(BW連動・劇場ワイヤレス) |
| 同時上映 | なし(長編2本立て興行のため) |
【見どころ】
同じストーリーを「黒の英雄ゼクロム」「白の英雄レシラム」の2作で並行公開した、シリーズ屈指の実験的興行。
騎士ダモンが古代ピジョン王国の悲劇を背負い、ビクティニの力で街を救おうとする展開は、敵キャラの正義と動機が深く描かれていて重厚である。豆粒のような勝利のしるしビクティニの愛らしさと、伝説竜の咆哮が衝突する2本立ての豪華さが本作の特異性を際立たせる。
【あらすじ】
古代ピジョン王国の末裔である騎士ダモンは、人々を地割れの危機から救うため伝説のポケモン・ビクティニの無限のエネルギーを利用しようとする。
ダモンの呼びかけに応じてレシラム(黒)/ゼクロム(白)が現れ、街アイントオークが空中へと持ち上がる。サトシはビクティニを救おうと猛追し、ダモンの正義と街の命運の交錯にピリオドを打つため、伝説のもう片方の竜と共闘していく。
【レビュー】
同一脚本を黒・白の2作で同時興行した攻めた構造に当時驚かされた一本だ。
ダモンの「人々を救いたい」という正義が暴走する重厚さと、ビクティニの愛らしさのコントラストが胸に残る。アイントオークの街が空中に持ち上がるスペクタクル、伝説竜が真正面から鳴く瞬間。シリーズの実験精神を象徴する野心作である。
2011年は3月に東日本大震災が発生し、日本社会が深い喪失と再生の只中にあった年である。
映画館の興行は震災と原発事故の影響で一時冷え込んだものの、夏には『コクリコ坂から』『TIME/タイム』『ハリー・ポッター 死の秘宝 PART2』が話題を集め、邦画ではアニメ大作の比重が増した。テレビアニメは『あの花』『魔法少女まどか☆マギカ』など深夜枠で社会現象を起こし、サブカル文化が成熟期に入っていた時代背景の中で、第14作のビクティニ2作同時公開は日本映画界でも注目される実験となった。
No.15 キュレムVS聖剣士 ケルディオ
| 公開日 | 2012年7月14日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 36.1億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | 松本梨香「やじるしになって!」(OP)/中川翔子「夢のつぼみ」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ケルディオ(KENN)、キュレム(飛田展男) |
| 入場者特典 | ケルディオ(BW2連動・前売券) |
| 同時上映 | メロエッタのキラキラリサイタル |
【見どころ】
三聖剣(コバルオン・テラキオン・ビリジオン)の弟子・ケルディオが一人前を目指す成長譚と、雪山に潜むキュレムの戦闘力が真正面からぶつかる王道少年活劇。
キュレムが伝説竜の力を取り込んだフォルムチェンジ「ブラックキュレム/ホワイトキュレム」が初めて映像化された記念碑的な一本。同時上映で歌姫メロエッタのライブシーンも堪能できる。
【あらすじ】
三聖剣の最年少ケルディオは、修行半ばでキュレムに挑んで惨敗し、雪山から逃げる途中でサトシたちに保護される。
キュレムの追跡を逃れながら、ケルディオは鋼鉄の城跡で再戦の覚悟を固めていく。三聖剣が駆けつけるなか、キュレムが伝説竜と融合する形態変化を発動し、サトシとケルディオは一世一代の連携で頂上決戦に挑む。
【レビュー】
ケルディオの未熟さと再起の物語が王道で胸熱だ。
三聖剣が並んで立つカットの絵面の良さ、雪山の冷たい質感、キュレムが伝説竜と融合してフォルムチェンジを発動する瞬間の盛り上がり。少年が一人前になるまでの普遍的なドラマが詰まった、シリーズの定番ストーリーの傑作だ。
No.16 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒
| 公開日 | 2013年7月13日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 31.7億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | いきものがかり「笑顔」(主題歌) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、女性型ミュウツー(高島礼子・特別出演/『ミュウツーの逆襲』とは別個体) |
| 入場者特典 | 色違いゲノセクトLv100(劇場ワイヤレス・初の色違い配信) |
| 同時上映 | ピカチュウとイーブイ☆フレンズ |
【見どころ】
初代ミュウツーが新フォルムで再登場し、人造ポケモン・ゲノセクトと対峙する野心作。
現代ニュートークシティの摩天楼を駆け抜けるアクションと、古代から復活したゲノセクト一行のリーダー(赤いゲノセクト)の集団心理が骨子。色違いゲノセクトがシリーズ史上初の劇場ワイヤレス配信特典として登場し、ゲーム連動文化に新たなページを刻んだ。
【あらすじ】
ニュートークシティに古代の神々の遺物として封印されていたゲノセクト4体が現代に復活し、街を住処にしようと暴れ始める。
ミュウツーは住民を守るため、ゲノセクトの群れを率いる赤いリーダーと激突する。プラズマ団の研究で改造された彼らの哀しみに、ミュウツーは過去の自身の怒りを重ねながら、新フォルムへ覚醒して摩天楼の頂上での決着を迎える。
【レビュー】
初代ミュウツーが新たな姿で再登場し、自身に重なるゲノセクトの哀しみと向き合う構造に胸を打たれる一本だ。
ニュートークシティの摩天楼の上で繰り広げられる空中戦のスケール感、赤いリーダーゲノセクトに「お前は一人じゃない」と語りかける女性ミュウツーの優しさ。シリーズが新時代に挑んだ意欲作として価値ある一本だ。
No.17 破壊の繭とディアンシー
| 公開日 | 2014年7月19日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 29.1億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 園田英樹 |
| 主題歌 | SCANDAL「夜明けの流星群」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ディアンシー(生田絵梨花)、メガレックウザ(鈴木達央) |
| 入場者特典 | ダークライ(XY連動・前売シリアル)/ディアンシーのポケモントレッタ |
| 同時上映 | ピカチュウ、これなんのカギ? |
【見どころ】
XYシリーズに突入してメガシンカ概念が解禁された節目に、姫ポケモン・ディアンシーがアゾット王国の運命を背負う物語。
ダイヤモンド創出能力で世界の王国を救う鍵となるディアンシーと、繭から目覚めるイベルタル、暴れ狂うメガレックウザという伝説竜三つ巴のクライマックスが豪華である。生田絵梨花が透明感ある声でディアンシーを演じた点も話題を呼んだ。
【あらすじ】
アゾット王国の姫ポケモン・ディアンシーは、王国を救う「ハートダイヤモンド」を作り出すため、伝説のポケモン・ゼルネアスの力を求めて旅に出る。
途中でサトシたちと出会い、ファントムの暗殺者から守られながらゼルネアスのもとへ向かう。だがイベルタルが繭から目覚め、メガレックウザまで現れる三つ巴の戦いに巻き込まれ、ディアンシーは姫としての覚悟を試される。
【レビュー】
ディアンシーの可愛らしさと、姫としての成長がしっかり描かれていて愛おしい一本だ。
ダイヤモンドの煌めき、メガレックウザの咆哮、メガシンカ概念をシリーズで初の劇場映像として披露した瞬間。XY時代のスタイリッシュな美術と、ハートダイヤモンドが宙に浮かぶ幻想的なクライマックスが新世代の幕開けを告げる秀作である。
第5期:XY幻ポケモン三部作と興収底打ち期(2015-2016)
2015-2016年の2作はXYシリーズの幻ポケモン三部作の後半として位置付けられる、興収底打ちの転換期である。
脚本が園田英樹から冨岡淳広へバトンタッチし、フーパでは伝説のポケモン6体大集結という豪華絢爛な祭典を、ボルケニオンでは父子的な相棒愛と500年前の人造ポケモンの哀しみを描いた。興収は26.1→21.5億円とシリーズ最低水準まで落ち込み、刷新の必要性が浮上した時代である。
No.18 光輪の超魔神 フーパ
| 公開日 | 2015年7月18日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 26.1億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 冨岡淳広 |
| 主題歌 | 安田レイ「Tweedia」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、フーパ(古谷徹) |
| 入場者特典 | フーパ(XY/ORAS連動・劇場ローカル通信) |
| 同時上映 | ピカチュウとポケモンおんがくたい |
【見どころ】
フーパが持つ「光輪」を通じて伝説のポケモン6体(ホウオウ・ルギア・グラードン・カイオーガ・レックウザ・ディアルガ)を一気に呼び寄せる祝祭的なクライマックスが圧巻。
フーパの善悪二面性(いたずら姿と解放された姿)という人格分裂の哀しさ、デザートシティの砂漠ロケーション、伝説勢揃いの大乱戦が三位一体で楽しめる、シリーズ屈指のお祭り感ある一本である。
【あらすじ】
かつて街で暴れた末に光輪の壷に封印された超魔神フーパは、現代のデザートシティで小さな姿で蘇り、サトシたちと友達になる。
しかし壷に封印された邪悪な人格が解き放たれ、伝説のポケモン6体を呼び寄せて街を破壊しようと暴れ始める。フーパ自身が良心と悪意の二面性に苦しみながら、サトシたちとともに自分自身との戦いに身を投じる。
【レビュー】
伝説6体集結という大盤振る舞いに、子ども心がわくわく弾む一本だ。
フーパが小さな姿でサトシと友達になり、自分自身の悪意と戦う構造に意外と深い物語性がある。光輪から次々に伝説のポケモンが召喚される祝祭感、デザートシティの砂漠ロケーションの異国情緒。お祭り映画として何度でも観返したくなる楽しさだ。
No.19 ボルケニオンと機巧のマギアナ
| 公開日 | 2016年7月16日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 21.5億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 冨岡淳広 |
| 主題歌 | あまね from こどものうた「ポストには 元気のかけら入れないで」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ボルケニオン(中尾隆聖)、マギアナ(早見沙織) |
| 入場者特典 | ボルケニオン(前売・配信) |
| 同時上映 | なし(同時上映短編廃止) |
【見どころ】
ボルケニオンの硬派な父性と、500年前にアゾット王国の科学者が作った人造ポケモン・マギアナの幼い好奇心が織りなす疑似父子愛が骨子の作品。
ボルケニオンと鎖でつながれたサトシが共闘を強いられる序盤の不器用な相棒関係、街を機械文明に変える企みを止める冒険行が王道に進む。同時上映短編が完全廃止された節目の一本でもある。
【あらすじ】
サトシは滝壺で「神々の機械」を操るボルケニオンと出会い、敵に追われる中で互いの足首に鎖でつながれる。
500年前にアゾット王国の科学者が作った人造ポケモン・マギアナを取り戻すため、ボルケニオンは冷徹な機械の街アゾスへ向かう。サトシはボルケニオンの父性と、マギアナの幼い好奇心の間で板挟みになりながら、王国を機械化しようとする敵の野望を打ち砕く。
【レビュー】
ボルケニオンの渋い父性と、マギアナの幼い純真さの対比に胸が締めつけられる一本だ。
ボルケニオンと鎖で繋がれたサトシが少しずつ気持ちを通わせていく序盤、機械の街の冷たい質感、マギアナを抱えるラストの余韻。同時上映短編が完全廃止された節目の作品としても、シリーズ史的に重い意味を持つ。
第6期:新サトシ編リブート期(2017-2019)
2017-2019年の3作はTVアニメ20周年を契機に始まったシリーズ全面リブート期である。
『キミにきめた!』ではサトシとピカチュウの出会いをアニメ史の枠から大胆に再構築し、新たなパートナー像と伝説のホウオウとの旅が描かれた。続く『みんなの物語』は矢嶋哲生監督・梅原英司/高羽彩脚本の新体制で群像劇に挑戦、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』はフル3DCGで初代を再演した。興収は35.5→30.9→29.8億円と下げ止まり、新世代体制の成果が表れ始めた時代である。
No.20 劇場版ポケットモンスター キミにきめた!
| 公開日 | 2017年7月15日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 35.5億円 |
| 監督 | 湯山邦彦 |
| 脚本 | 米村正二(一部首藤剛志のプロット流用) |
| 主題歌 | 松本梨香「めざせポケモンマスター -20th Anniversary-」(OP)/林明日香「オラシオンのテーマ〜共に歩こう〜」(ED) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、マコト(中川翔子)、ホウオウ(鹿賀丈史) |
| 入場者特典 | キミにきめたキャップ・ピカチュウ(ガオーレディスク/USUM連動QR) |
| 同時上映 | なし |
【見どころ】
TVアニメ20周年を機にサトシとピカチュウの出会いを再構築した、シリーズ全面リブートの幕開け作。
ホウオウの羽根に導かれた旅、新たな仲間ソウジ・マコトとの出会い、伝説のポケモンとの遭遇という王道冒険の構造に、20年分のファンへの目配せが凝縮されている。クライマックスでピカチュウが人語でサトシに語りかける奇跡の瞬間が、シリーズを愛してきた者の心を震わせる傑作だ。
【あらすじ】
寝坊して指定の御三家を逃したサトシは、博士から仕方なく預けられた懐かない一匹のピカチュウとの旅に出る。
伝説のポケモン・ホウオウの七色の羽根と出会い、新たな旅の仲間ソウジ・マコトとともに伝説への道を辿る。マルマインによる事故でピカチュウとの絆が試される最大のクライマックス、ピカチュウが人語でサトシに想いを伝える瞬間に、20年分の歴史が凝縮された感動が訪れる。
【レビュー】
「ボクは ずっと キミと いっしょだよ」とピカチュウが人語で話す奇跡のシーン、ここで完全に泣かされる一本だ。
20周年というシリーズの大きな節目に、サトシとピカチュウの絆を原点から描き直した英断。アニメ史を超えた愛情が画面から溢れていて、初代から観てきたファンにとっては奇跡の祝祭として記憶される作品である。
No.21 劇場版ポケットモンスター みんなの物語
| 公開日 | 2018年7月13日(金) |
|---|---|
| 興行収入 | 30.9億円 |
| 監督 | 矢嶋哲生 |
| 脚本 | 梅原英司/高羽彩 |
| 主題歌 | ポルノグラフィティ「ブレス」(ED・書下ろし) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、リサ(杉咲花)、トリト(佐藤栞里) |
| 入場者特典 | ゼラオラ(劇場で配信)/前売特典で風のルギア |
| 同時上映 | なし |
【見どころ】
矢嶋哲生監督・梅原英司/高羽彩脚本の新体制が挑んだ、サトシ以外の5人の人間ドラマを並走させる群像劇。
風祭りに集うフウラシティの人々の不器用な人生とポケモンとの絆を、丁寧な感情描写で描く構成は新鮮だった。ルギアが街に風を運ぶラストの群像的な余韻と、ポルノグラフィティ「ブレス」の書下ろし主題歌が、観終えた後にじんわり胸を温めてくれる。
【あらすじ】
年に一度の風祭りで賑わうフウラシティに、サトシ一行が訪れる。
かつて街を救った伝説のポケモン・ルギアの伝承の謎を巡り、ホラ吹きの少年カガチや嘘つきが嫌いな少女リサ、研究者を諦めた青年トリトなど5人の人物の物語が並走で進む。それぞれの抱える小さな後悔とポケモンとの出会いが交錯し、最終日の朝ルギアが街に風を運んでくる感動の終結を迎える。
【レビュー】
サトシ以外の人間5人を主役級に並列で描く挑戦的な群像劇で、観終えた後のじんわりした余韻が秀逸だ。
ルギアが街に風を運ぶラスト、嘘つきが嫌いだったリサが本当の気持ちを伝える瞬間、研究者を諦めた青年トリトの再起。フウラシティの人々の小さな人生劇が、シリーズ初の試みとして好感の持てる優しい味わいの一本に仕上がっている。
No.22 ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
| 公開日 | 2019年7月12日(金) |
|---|---|
| 興行収入 | 29.8億円(観客動員198.6万) |
| 監督 | 湯山邦彦/榊原幹典(共同) |
| 脚本 | 首藤剛志(オリジナル脚本クレジット) |
| 主題歌 | 松本梨香「めざせポケモンマスター'98」(OP・2019 Remaster)/小林幸子&中川翔子「風といっしょに」(ED・亀田誠治アレンジ) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ミュウツー(市村正親) |
| 入場者特典 | プロモカード/ガオーレディスク等 |
| 同時上映 | なし |
【見どころ】
初代『ミュウツーの逆襲』をフル3DCGアニメーションでリメイクした記念碑的作品。
市村正親がミュウツーを再演し、原作の重厚なテーマと名場面を現代の映像表現で甦らせた。物語は1作目を踏襲しつつ、CGならではの質感で描かれる嵐の海、新島の城、ミュウツーとミュウの空中戦が新鮮だ。20年越しのリメイクという特異な企画が、初代ファンと新世代ファンの双方を喜ばせた。
【あらすじ】
科学者の手によって生み出されたクローンポケモン・ミュウツーは、自身が「複製品」であることへの怒りを抱え、最強のトレーナーへの招待状を送りつける。
サトシたちが新島の城に到着すると、ミュウツーは捕獲したポケモンを次々にクローン化し、オリジナルとクローンの大乱闘が始まる。物語は1作目を踏襲しつつ、フル3DCGの新たな質感でクローンの哀しみと存在意義の物語が再演される。
【レビュー】
フル3DCGで蘇る名作という、シリーズ初のリメイク企画として価値ある一本だ。
ミュウツーが20年の時を超えて再び「私はここにいる」と語りかける重み、嵐の海・新島の城のCG質感の進化、ミュウとミュウツーがクローンと共に涙を流すラストの再演。20年越しに同じ衝撃を新世代と共有できた、不思議な奇跡の一本である。
第7期:親子愛と長期休止期(2020〜)
2020年12月公開の『ココ』を最後に、劇場版本編は5年以上の長期休止状態に入っている2026年現在の最前線フェーズである。
『ココ』は矢嶋哲生監督・冨岡淳広脚本・岡崎体育プロデュースの音楽陣で、人間の少年ココをポケモンのザルードが育てるという種族越えの親子愛をオリジナル脚本で描いた意欲作。コロナ禍で公開時期を半年延期し興収20.2億円とシリーズ最低水準で終わったが、テーマ性の評価は高い。以降は2023年Netflix配信『ポケモンコンシェルジュ』、2027年公開予定のアードマン共同プロジェクトへと展開している。
No.23 劇場版ポケットモンスター ココ
| 公開日 | 2020年12月25日(金・コロナで7→12月延期) |
|---|---|
| 興行収入 | 20.2億円(シリーズ最低水準) |
| 監督 | 矢嶋哲生 |
| 脚本 | 冨岡淳広/矢嶋哲生(共同) |
| 主題歌 | Beverly「ココ」(OP)/木村カエラ「ただいまとおかえり」(ED)/トータス松本「ふしぎなふしぎな生きもの」(メインテーマ・プロデュース:岡崎体育) |
| メイン声優 | サトシ(松本梨香)、ピカチュウ(大谷育江)、ココ(上白石萌歌)、ザルードの父(中村勘九郎) |
| 入場者特典 | セレビィ(剣盾連動)等 |
| 同時上映 | なし |
【見どころ】
矢嶋哲生監督・冨岡淳広脚本によるオリジナル脚本作で、人間の少年ココとポケモンのザルードが種族の枠を越えて親子になる感動作。
密林オコヤの森を舞台に、密猟者ゼッド博士らビオトープ・カンパニーの脅威からココとザルードが森を守る物語が骨太に描かれる。岡崎体育プロデュースの音楽陣(Beverly/木村カエラ/トータス松本)の3曲が世界観の隅々まで彩る、シリーズ屈指のテーマ性ある一本だ。
【あらすじ】
密林オコヤの森に住むザルードのトカゲは、川に流れてきた人間の赤ん坊を「ココ」と名付けて育てる。
ココは自分をポケモンだと信じて成長するが、サトシ一行と出会ったことで、自分が人間であることを知ってしまう。一方、森の生命の水を狙う実業家ゼッド博士がビオトープ・カンパニーの軍勢を率いて森を蹂躙する。ココは父ザルードと血のつながらない絆で森を守る最後の戦いに身を投じる。
【レビュー】
血のつながりを超えた親子愛という普遍テーマを真っ直ぐ描いた感動作だ。
ザルードがココを我が子として腕の中で育てる回想、密林オコヤの躍動的な美術、ココが「人間」と「ポケモン」の間で揺れながら自分の居場所を見つけるラスト。コロナ禍で延期され興収は奮わなかったものの、観終わった後に静かに胸が温まる、シリーズの最深部に位置するべき名作である。
おすすめ名作ランキングTOP3
23作の中から「子どもの頃に観て胸を熱くした」「大人になって観返しても泣ける」という基準で、特にコアファンの記憶に深く刻まれた3本を厳選した。
興行収入の数字だけでなく、シリーズ史的な意義と物語の深さを総合した独断順位である。
第1位|歴代興収72.4億円の不朽の名作『ミュウツーの逆襲』
シリーズの初代にして歴代最高興収を記録した、ポケモン映画史の絶対王者であるミュウツーの逆襲(1998)。
脚本・首藤剛志が真正面から描き切ったのは、クローン生命の存在意義というSF文明批判の重厚なテーマだった。新島の城に集まったトレーナーとポケモンたちの前で、ミュウツーが嵐の中「私はここにいる」と独白する場面は、夏休み映画とは思えない哲学的な凄みがある。
市村正親のミュウツーの威厳ある声、嵐の海の壮大なビジュアル、エンドロールに流れる小林幸子「風といっしょに」の余韻。すべてが完璧に噛み合い、26年経った今も色褪せない金字塔として君臨している。子ども時代に観た者なら、ミュウとミュウツーが涙を流して殴り合うラストの衝撃を一生忘れない不朽の傑作だ。
第2位|サラ・ブライトマン主題歌で世界級に到達『ディアルガVSパルキアVSダークライ』
第2位はシリーズが世界級の存在感に到達した瞬間を刻んだディアルガVSパルキアVSダークライ(2007)。
ディアルガとパルキアの空間衝突がアラモスタウンを飲み込む規格外スケールに、街を守ろうと孤独に戦うダークライの贖罪を絡めた壮大なシンオウ三神編。世界的歌姫サラ・ブライトマンが主題歌「I Will Be With You」を歌い上げ、ポケモン映画の音楽が一段格上の存在になった瞬間でもある。
前売券は200万枚を突破し、当時の邦画歴代最高記録を打ち立てた商業的成功も特筆事項だ。「闇」のレッテルを背負ったまま街を救うダークライの背中、塔に響く「オラシオン」の旋律、夜空に浮かぶダークライの孤影。すべてが叙事詩級の風格で結実した第2の黄金時代の象徴作で、シリーズが文化的格上の存在に押し上げられた歴史的一本である。
第3位|林明日香「小さきもの」が泣ける親子愛『七夜の願い星 ジラーチ』
第3位は前売券で幻ポケモン配信文化を確立した節目の作品七夜の願い星 ジラーチ(2003)。
千年に一度、彗星が訪れる七夜だけ目を覚ますジラーチと、ハルカの弟マサトとの友情を描いた感動作だ。元マグマ団員バトラーがジラーチの力で甦らせる古代ポケモン・グラードンの暴走と、千年彗星に願いを託す結末まで、別れの哀しさと願いの美しさが交差する。
マサトとジラーチが「友達でいてくれてありがとう」と別れを交わすラストでは、当時の子ども観客が一斉に涙したと記録されている。林明日香「小さきもの」が静かに流れ、彗星に向かって願いを送る構図はシリーズ屈指の名場面だ。前売券で幻のポケモン「ジラーチ」がゲーム連動配信される文化を確立した記念碑的な一本で、その後20作以上にわたる前売特典文化の起点として、シリーズ史的にも重要な意義を持つ。
ポケモン映画はこの順番で見るのがおすすめ
23作すべてを観る時間がない読者向けに、3つの切り口で「これだけは押さえておけ」型のルートを提示する。
各ルートで深掘りした後、好みに応じて未視聴作品を追加していく流れを推奨する。
ルートA:話題作セレクト「ライト層向け黄金ルート」
ミュウツーの逆襲 → 七夜の願い星 ジラーチ → ミュウと波導の勇者 ルカリオ → ディアルガVSパルキアVSダークライ → キミにきめた!
初めてポケモン映画に触れる読者向けの黄金ルートだ。
シリーズの代表作5本に絞ることで、各時代を象徴する物語と興行的なマイルストーンを一気に把握できる。第1作の重厚さ、ジラーチの感動、ルカリオの自己犠牲、シンオウ三神の壮大、20周年リブートの集大成という流れは、ライト層が「これがポケモン映画なんだ」と納得できるベストオブベスト。観終えた後に好きな作品から横展開すれば、自然にコア層の入口が開ける構成だ。
ルートB:伝説のポケモン縦軸「神話編コア層ルート」
ルギア爆誕 → 結晶塔の帝王 ENTEI → ディアルガVSパルキアVSダークライ → ギラティナと氷空の花束 シェイミ → アルセウス 超克の時空へ
シリーズを貫く「伝説のポケモン」の物語を時系列で押さえるコア層向けルート。
ルギア・エンテイ・三鳥のジョウト編から、シンオウ三神(ディアルガ・パルキア・ギラティナ)と創造神アルセウスへ至る神話的構造が見えてくる。第10作で世界観が一気に拡張し、第12作で集大成に到達する流れは、ポケモンの世界観がどう進化したかを追う最良の道筋だ。コア層の満足度を最大化する5本である。
ルートC:泣ける親子愛・友情編「感動セレクト」
結晶塔の帝王 ENTEI → 七夜の願い星 ジラーチ → ミュウと波導の勇者 ルカリオ → 幻影の覇者 ゾロアーク → ココ
ポケモン映画の真骨頂である親子愛・友情の感動編に特化したルート。
エンテイ=理想の父というSF的構図、マサトとジラーチの別れ、ルカリオの自己犠牲、ゾロア・ゾロアークの母子愛、ココとザルードの種族越え親子愛と、テーマが立体的に積み重なっていく。ティッシュを片手に観るべき5本で、親子鑑賞にも最適。観終えた後、子どもの頃の自分を抱きしめたくなる強い余韻が残る感動セレクトだ。
質問(FAQ)コーナー
ポケモン映画の歴史を深掘りするマニアック度の高いQ&Aを5問用意した。
読者が知人に話したくなるトリビアレベルで厳選したので、ぜひ最後まで読み込んでほしい。
Q1. ポケモン映画はもう作られないの?2020年『ココ』以降の動向は?
2020年12月公開の『劇場版ポケットモンスター ココ』を最後に、劇場版本編は2026年4月現在まで5年以上の長期休止状態にある。
ただし株式会社ポケモンや東宝から「シリーズ終了」「打ち切り」の正式発表は出ておらず、あくまで事実上の休止である。
休止理由として推測されているのは(1)2017年以降の興収逓減、(2)コロナ禍での『ココ』半年延期と興収半減、(3)2023年TVアニメ『リコ・ロイ編』への主軸シフトの3要素。
一方で、2024年12月には2027年公開予定でアードマン・アニメーションズ(『ウォレスとグルミット』)との特別プロジェクトが発表されており、Netflix『ポケモンコンシェルジュ』(2023年配信開始)の新エピソード追加もあり、シリーズの新展開は確実に続いている。
Q2. BUMP OF CHICKEN「アカシア」って『ココ』の主題歌じゃないの?
よく混同されるが、BUMP OF CHICKEN「アカシア」は2020年公開のWeb映像『Pokémon GOTCHA!』のテーマ曲であり、映画『ココ』の主題歌ではない。
映画『ココ』の正式主題歌はBeverly「ココ」(OP)/木村カエラ「ただいまとおかえり」(ED)/トータス松本「ふしぎなふしぎな生きもの」(メインテーマ・プロデュース:岡崎体育)の3曲構成だ。
2020年に同時期にポケモン関連で立て続けにリリースされたため混同が起きやすいが、「アカシア」はあくまでスマホアプリ『Pokémon GO』のミュージックビデオ用楽曲である点を覚えておくと話の種になる。
Q3. シリーズ歴代興収ランキングTOP3はどの作品?
歴代興収トップ3は、第1位『ミュウツーの逆襲』(72.4億円・1998年)、第2位『幻のポケモン ルギア爆誕』(64.0億円・1999年)、第3位『ディアルガVSパルキアVSダークライ』(50.2億円・2007年)の順となる。
1位2位はシリーズ初期の社会現象期、3位はサラ・ブライトマン主題歌で世界級の存在感に到達した節目の第10作だ。一方、シリーズ最低水準は第19作『ボルケニオンと機巧のマギアナ』(21.5億円・2016年)、最近作の第23作『ココ』もコロナ禍延期の影響で20.2億円とほぼ同水準だった。
23年の歴史で興収レンジが3.6倍も振れた事実は、子供向け映画市場の変容を示している。
Q4. 前売券で配信された幻のポケモンは全部で何種類?
第6作『七夜の願い星 ジラーチ』(2003)でジラーチをルビー・サファイアに「ふしぎなおくりもの」配信したのが起点で、以降ほぼ毎年のように幻ポケモン配信が定番化した。
代表的なものはミュウ(応募者全員サービス)、ジラーチ、デオキシス(オーロラチケット160万枚)、マナフィのタマゴ、ダークライ、レジギガス、色違いピチュー、ビクティニ、ケルディオ、色違いゲノセクトLv100(劇場ワイヤレス史上初の色違い)、ボルケニオン、ゼラオラ、セレビィ等。
23年で20種以上の伝説・幻ポケモンが劇場経由で配布された計算で、これは世界の映画史でも稀有なゲーム連動マーケティング事例である。
Q5. なぜサラ・ブライトマンが第10作主題歌を歌ったの?海外アーティスト起用の経緯は?
サラ・ブライトマンが歌う「I Will Be With You (Where the Lost Ones Go)」は元々2007年に欧州でリリースされた彼女のオリジナル楽曲で、ポケモン映画第10作の劇場日本公開に合わせて起用された。
ダークライの孤独な贖罪というテーマと「失われた魂たちと共に歩む」歌詞の親和性が選曲理由とされ、世界的歌姫の起用はシリーズの音楽が国際級に格上げされた瞬間だった。
他にも安室奈美恵(第2作・小室哲哉プロデュース)、PUFFY(第8作・アンディ・スターマー作曲)、ポルノグラフィティ(第21作・書下ろし)など、その時代の最旬アーティストを起用してきた歴史がある。
歴代主題歌・テーマ曲一覧
ポケモン映画23作の歴代主題歌・EDテーマを公開順で一覧化した。
邦楽トップアーティストの起用が多く、サラ・ブライトマンや安室奈美恵など世界級・国民級の声がシリーズを彩った歴史が見えてくる。
| No | 作品(公開年) | 楽曲 | アーティスト |
|---|---|---|---|
| 1 | ミュウツーの逆襲(1998) | 風といっしょに(ED) | 小林幸子 |
| 2 | ルギア爆誕(1999) | toi et moi(ED) | 安室奈美恵 |
| 3 | 結晶塔の帝王 ENTEI(2000) | 虹がうまれた日(ED) | 森公美子 |
| 4 | セレビィ 時を超えた遭遇(2001) | 明日天気にしておくれ(ED) | 藤井フミヤ |
| 5 | 水の都の護神 ラティアスとラティオス(2002) | ひとりぼっちじゃない(ED) | coba & 宮沢和史 |
| 6 | 七夜の願い星 ジラーチ(2003) | 小さきもの(ED) | 林明日香 |
| 7 | 裂空の訪問者 デオキシス(2004) | L・O・V・E・L・Y〜夢見るLOVELY BOY〜(ED) | Tommy february6 |
| 8 | ミュウと波導の勇者 ルカリオ(2005) | はじまりのうた(ED) | PUFFY |
| 9 | 蒼海の王子 マナフィ(2006) | 守るべきもの(ED) | ROCKETMAN |
| 10 | ディアルガVSパルキアVSダークライ(2007) | I Will Be With You(ED) | サラ・ブライトマン |
| 11 | ギラティナと氷空の花束 シェイミ(2008) | ONE(ED) | Crystal Kay |
| 12 | アルセウス 超克の時空へ(2009) | 心のアンテナ(ED) | 中川翔子 |
| 13 | 幻影の覇者 ゾロアーク(2010) | アイスクリーム シンドローム(ED) | スキマスイッチ |
| 14 | ビクティニとゼクロム/レシラム(2011) | 宙-そら-/響-こえ- | Every Little Thing |
| 15 | キュレムVS聖剣士 ケルディオ(2012) | 夢のつぼみ(ED) | 中川翔子 |
| 16 | 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒(2013) | 笑顔(主題歌) | いきものがかり |
| 17 | 破壊の繭とディアンシー(2014) | 夜明けの流星群(ED) | SCANDAL |
| 18 | 光輪の超魔神 フーパ(2015) | Tweedia(ED) | 安田レイ |
| 19 | ボルケニオンとマギアナ(2016) | ポストには 元気のかけら入れないで(ED) | あまね from こどものうた |
| 20 | キミにきめた!(2017) | オラシオンのテーマ〜共に歩こう〜(ED) | 林明日香 |
| 21 | みんなの物語(2018) | ブレス(ED) | ポルノグラフィティ |
| 22 | ミュウツーの逆襲 EVOLUTION(2019) | 風といっしょに(亀田誠治アレンジ) | 小林幸子&中川翔子 |
| 23 | ココ(2020) | ココ(OP)/ただいまとおかえり(ED)/ふしぎなふしぎな生きもの(テーマ) | Beverly/木村カエラ/トータス松本 |
23作の主題歌を俯瞰すると、ポケモン映画が単なる子ども向け映画の枠を遥かに超え、その時代を象徴するアーティストを毎年起用し続けてきた音楽史としての価値が見えてくる。
初代『ミュウツーの逆襲』では小林幸子の演歌節を異色起用し「風といっしょに」を生んだ。第2作では当時の絶頂期にあった安室奈美恵を小室哲哉プロデュースで起用、第8作ではPUFFYの楽曲を米国出身のアンディ・スターマーに依頼するなど、邦洋折衷の挑戦が続いた。
シリーズ史的なハイライトは2007年第10作のサラ・ブライトマン起用だ。世界級の歌姫が「I Will Be With You」を歌い上げたことで、ポケモン映画の音楽は国際的格上の存在に到達した。林明日香は第6作・第20作と2度起用された主要担当歌手で、中川翔子もアルセウス・ケルディオ・EVOLUTIONと3度の登板でシリーズ最多級の常連となった。
最新作『ココ』では岡崎体育プロデュース下にBeverly/木村カエラ/トータス松本の3曲構成という前代未聞の豪華陣営を組み、休止前の最後の打ち上げ花火のような音楽的祝祭を成し遂げた。なお、よく混同されるBUMP OF CHICKEN「アカシア」(2020)は『Pokémon GOTCHA!』Web映像のテーマ曲であり、映画『ココ』の主題歌ではない点は注意したい。
全作品の公開日・興行収入一覧
23作の公開日と興行収入を時系列でテーブル化した。
初代72.4億円のスタートダッシュから現代の20億円台まで、シリーズの興収推移を俯瞰すれば子ども向け映画市場の23年の変遷も見えてくる。
| No | 公開日 | タイトル | 興行収入 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1998/7/18 | ミュウツーの逆襲 | 72.4億円(歴代1位) |
| 2 | 1999/7/17 | 幻のポケモン ルギア爆誕 | 64.0億円 |
| 3 | 2000/7/8 | 結晶塔の帝王 ENTEI | 48.5億円 |
| 4 | 2001/7/7 | セレビィ 時を超えた遭遇 | 39.0億円 |
| 5 | 2002/7/13 | 水の都の護神 ラティアスとラティオス | 26.7億円 |
| 6 | 2003/7/19 | 七夜の願い星 ジラーチ | 45.0億円 |
| 7 | 2004/7/17 | 裂空の訪問者 デオキシス | 43.8億円 |
| 8 | 2005/7/16 | ミュウと波導の勇者 ルカリオ | 43.0億円 |
| 9 | 2006/7/15 | 蒼海の王子 マナフィ | 34.0億円 |
| 10 | 2007/7/14 | ディアルガVSパルキアVSダークライ | 50.2億円 |
| 11 | 2008/7/19 | ギラティナと氷空の花束 シェイミ | 48.0億円 |
| 12 | 2009/7/18 | アルセウス 超克の時空へ | 46.7億円 |
| 13 | 2010/7/10 | 幻影の覇者 ゾロアーク | 41.6億円 |
| 14 | 2011/7/16 | ビクティニとゼクロム/レシラム | 43.3億円 |
| 15 | 2012/7/14 | キュレムVS聖剣士 ケルディオ | 36.1億円 |
| 16 | 2013/7/13 | 神速のゲノセクト ミュウツー覚醒 | 31.7億円 |
| 17 | 2014/7/19 | 破壊の繭とディアンシー | 29.1億円 |
| 18 | 2015/7/18 | 光輪の超魔神 フーパ | 26.1億円 |
| 19 | 2016/7/16 | ボルケニオンと機巧のマギアナ | 21.5億円 |
| 20 | 2017/7/15 | キミにきめた! | 35.5億円 |
| 21 | 2018/7/13 | みんなの物語 | 30.9億円 |
| 22 | 2019/7/12 | ミュウツーの逆襲 EVOLUTION | 29.8億円 |
| 23 | 2020/12/25 | ココ | 20.2億円 |
関連作品
劇場版本編23作の外側にも、ポケモンファンが押さえておきたい関連映像作品が存在する。
2020年『ココ』以降の長期休止期に登場した新展開として、Netflixのストップモーションアニメと、ハリウッド実写映画の2本を紹介する。
ポケモンコンシェルジュ(Netflix独占配信)
2023年12月28日にNetflix独占配信で始まった、シリーズ初のストップモーションアニメ作品。
制作はdwarf studios(『リラックマとカオルさん』『リラックマと遊園地のなかま』など)が担当し、ポケモンとは思えない手作り感ある質感が話題を呼んだ。サトシではなく新主人公「ハル」が、ポケモンが訪れるリゾート施設「ポケモンリゾート」のコンシェルジュとして働く日常を描く、シリーズの世界観拡張作品である。
2023年に全8話で配信され、2025年9月には新エピソードが追加されて事実上のシーズン2へ展開。劇場版本編が長期休止状態にある中で、最新のポケモン映像表現を体感できる貴重な作品で、コア層から「ポケモンの新しい可能性」として高い評価を得ている。
名探偵ピカチュウ(実写ハリウッド映画)
2019年5月、ハリウッドが初めて手がけたポケモン実写映画として全世界で公開された記念碑的作品。
監督はロブ・レターマン、ピカチュウの声をライアン・レイノルズ(『デッドプール』)が演じ、日本語吹替は西島秀俊が担当した。主人公ティム・グッドマンには竹内涼真、ヒロイン・ルーシーには飯豊まりえが起用され、世界規模のキャスティングが実現。
舞台はポケモンが人と共生する架空の都市「ライムシティ」。失踪した父親を探す青年ティムが、記憶を失った名探偵ピカチュウと出会い、街の謎に挑むサスペンス×アドベンチャーの構造が骨子だ。CGで描かれたピカチュウの毛並みのリアルさが当時話題を呼び、日本国内30億円・全世界4億3,300万ドルというヒットを記録。劇場版本編とは別系統の独立作だが、ポケモン映像化の新たな可能性を切り開いた歴史的一本である。
まとめ
1998年『ミュウツーの逆襲』から2020年『ココ』まで、ポケモン映画は23年で23作という稀有な歴史を積み上げてきた。
社会現象期の72.4億円から、長期休止前の20.2億円まで、興収レンジは3.6倍も振れる激動の歴史だった。首藤剛志のSF文明批判、園田英樹の感情劇とゲーム連動文化の確立、シンオウ三神の壮大スケール、新サトシ編リブート、そして種族越えの親子愛と、各時代がそれぞれ固有の輝きを放っている。
2020年以降の長期休止状態は寂しい現実だが、Netflix『ポケモンコンシェルジュ』の新展開、2027年公開予定のアードマン・アニメーションズ共同プロジェクトという希望の灯も確かに点っている。
23作それぞれを観返すたびに、サトシとピカチュウの旅が私たちの夏休みの記憶そのものだったことを思い出させてくれる。前売券で配信された幻のポケモン、入場特典の小さな思い出、夏の終わりに流れたED曲の記憶。すべてが世代を超えて引き継がれていくべきポケモン映画の遺産である。























