この記事で分かる3つのこと
・1980年『のび太の恐竜』から2026年最新作まで全45作を完全網羅
・大山ドラ/水田ドラの5期に分けた作風変遷とリメイク系譜を一気に把握
・歴代主題歌一覧・人気ランキング・見る順番ガイドも一発収録
- 第1期:大長編冒険シリーズ黄金期(1980〜1989)
- 第2期:大長編完結とファンタジー深耕期(1990〜1997)
- 第3期:オリジナル脚本挑戦期(1998〜2004)
- 第4期:新生ドラの始動と名作リメイク期(2006〜2015)
- 第5期:個性派クリエイター起用期(2016〜2026)
- おすすめ名作ランキングTOP3
- ドラえもん映画はこの順番で見るのがおすすめ
- 質問(FAQ)コーナー
- 歴代主題歌・テーマ曲一覧
- 全作品の公開日・興行収入一覧
- 関連作品
- まとめ
「春休みはドラえもん」。日本中の子供たちがそう胸に刻んで育ってきた半世紀近い歴史が、この映画シリーズには詰まっている。
普段は弱虫なのび太が勇気を振り絞り、ジャイアンが「心の友よ」と男気を見せる大長編は、ワクワクとドキドキ、そして友情の尊さを教えてくれた。声優総入替を乗り越え、親から子・孫へと受け継がれる45作の壮大な系譜を、ここから一気に紐解いていく。
シリーズ基礎データ
原作=藤子・F・不二雄『ドラえもん』(1969年連載開始・小学館)。映画原作となる「大長編ドラえもん」は『月刊コロコロコミック』の看板連載として爆発的人気を博した。
制作=シンエイ動画/配給=東宝、1980〜2026年で全45作。
シリーズ累計動員数は1億3000万人を突破し、邦画シリーズ歴代No.1規模を誇る。最高興収は『のび太の宝島』(53.7億円・歴代1位)。
主演=大山のぶ代(1979〜2005)→水田わさび(2005〜)の二人体制で受け継がれている。
第1期:大長編冒険シリーズ黄金期(1980〜1989)
第1作『のび太の恐竜』から10周年記念作『日本誕生』まで、藤子・F・不二雄が原作・脚本に深く関与した大長編冒険シリーズの黄金期である。
『月刊コロコロコミック』で大長編が連載連動し、春休みにドラえもん映画を観るのが日本中の子供たちの恒例行事として定着した時代だ。
SF(すこし・ふしぎ)精神に貫かれたスケールの大きな冒険と、のび太の成長を真正面から描く脚本が両立し、シリーズの文法そのものが確立された。9作目『パラレル西遊記』のみ藤子F不参加という例外も、黄金期の歴史の一部である。
No.1 のび太の恐竜
| 公開日 | 1980年3月15日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 15.5億円 |
| 監督 | 福富博 |
| 脚本 | 藤子不二雄、松岡清治 |
| 主題歌 | 大山のぶ代「ポケットの中に」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ピー助(横沢啓子)、黒い男(加藤精三) |
【見どころ】
劇場版第1作にして、シリーズの原点にして頂点と評される名作である。卵から孵した首長竜・ピー助との出会いと別れが芯にあり、白亜紀の北米大陸を舞台にした逃走劇と、恐竜ハンターからピー助を守り抜く決意が織り重なる。タケコプターで空を翔ける終盤の見せ場が、ドラえもん映画の冒険文法を一発で確立した一本である。
【あらすじ】
「恐竜の化石を丸ごと見つける」と宣言したのび太は、偶然手にした卵の化石からフタバスズキリュウのピー助を孵してしまう。育ちすぎたピー助を白亜紀へ返す途中、タイムマシンが暴走し北米大陸へ漂着する。ピー助を本来の海まで送り届けるため、そして恐竜ハンターから守るため、のび太たちは初めての大冒険に挑むことになる。
【レビュー】
「僕も歩くから!」とのび太がピー助に語りかける場面で、毎回喉の奥が締めつけられる。卵から孵った小さな命を抱えて泣くあの夜が、子供時代のいちばん深い記憶と地続きになっている気がする。タケコプターで空を翔ける残光の美しさ、別れの海岸のしょっぱさ。ここから全てが始まったのだと胸を張れる原点である。
1980年は芸能界が地殻変動を起こした年だ。山口百恵が引退の幕を引き、入れ替わるように松田聖子がデビューしてアイドル新時代の扉が開いた。
おもちゃ売り場ではルービックキューブが家族中を巻き込み、ガンプラの行列が社会現象化、ゲーム&ウオッチ第1弾も発売されて子供たちの遊びが一気に多様化した時期である。
『月刊コロコロコミック』は大長編ドラえもんの連載を始め、誌面と映画館をまたぐ熱狂を生んだ。第1作の同時上映は『モスラ対ゴジラ』リバイバルで、怪獣ブームの残り香も春休みの劇場に漂っていた。
No.2 のび太の宇宙開拓史
| 公開日 | 1981年3月14日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 17.5億円 |
| 監督 | 西牧秀夫 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 岩渕まこと「心をゆらして」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ロップル(杉山佳寿子)、チャミー(杉山佳寿子)、ギラーミン(柴田秀勝) |
【見どころ】
部屋の畳の下が宇宙の彼方・コーヤコーヤ星と繋がるという発想が秀逸なSF西部劇である。重力差でのび太がスーパーマンとして活躍する痛快さと、あやとりや射撃という日常スキルが命綱に化ける逆転構造が見どころだ。終盤の殺し屋ギラーミンとの一騎打ちは、シリーズ屈指のクールな決闘場面として今も語り継がれる。
【あらすじ】
超空間のねじれで、のび太の部屋の畳と開拓惑星コーヤコーヤ星の少年・ロップルの宇宙船が繋がる。重力の小さい星でスーパーマンになれることに気をよくしたのび太たちは、ガルタイト鉱業の嫌がらせに苦しむ開拓民の用心棒を引き受ける。だが組織の差し向けた殺し屋ギラーミンが現れ、のび太は決闘の場に立たされる。
【レビュー】
正午の決闘でのび太が銃を抜く瞬間、画面のこちらまで息が止まる。普段は教室で泣いていた少年が、星の運命を背負って西部劇のヒーローになる転倒の気持ちよさといったらない。コーヤコーヤ星の星空、ロップルとチャミーの素朴な笑顔、ギラーミンの冷たい横顔。少年期の自尊心を確かに育ててくれた一本である。
No.3 のび太の大魔境
| 公開日 | 1982年3月13日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 12.2億円 |
| 監督 | 西牧秀夫 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 岩渕まこと「だからみんなで」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ペコ/クンタック王子(杉山佳寿子)、サベール(柴田秀勝)、ダブランダー(滝口順平) |
【見どころ】
アフリカ奥地の犬の王国・バウワンコを舞台にした、本格冒険ミステリーの雛形である。野良犬として拾われたペコの正体が王国の王子クンタックという王道展開と、ジャイアンが一人で先発して仲間に追跡を託す責任ドラマが胸を打つ。「先取り約束機」を使ったクライマックスの伏線回収は、藤子脚本の真骨頂と言える鮮やかさだ。
【あらすじ】
誰も足を踏み入れていない魔境を探検しようと盛り上がるのび太たちは、拾った野良犬・ペコの記憶に導かれてアフリカ奥地に飛ぶ。そこは犬が独自に進化した王国・バウワンコであり、ペコは大臣ダブランダーに国を奪われた王子だった。ドラえもんたちは王国を取り戻す戦いに挑み、「10人の外国人」の予言の謎を追っていく。
【レビュー】
ジャイアンが一人だけ先に出発する場面で、子供心に「こいつは本物の友達だ」と痺れた。仲間を待たせて己の責任を取りに行く背中に、いつの間にか涙が滲んでいる。ペコの王子姿の凛々しさ、サベールの鋭い瞳、終盤に「先取り約束機」が効いてくる快感。冒険物語の作法をまとめて教わった忘れられない一本である。
No.4 のび太の海底鬼岩城
| 公開日 | 1983年3月12日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 10.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 岩渕まこと「海はぼくらと」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太)、ドラミ(横沢啓子) |
| ゲスト声優 | 水中バギー(三ツ矢雄二)、エル(喜多道枝)、ポセイドン(富田耕生) |
【見どころ】
バミューダ・トライアングル深部のムー連邦とアトランティスの宿命を背景にした、深海冒険SFである。テキオー灯と水中バギーで描かれる海中世界の幻想的な美しさと、自動報復システム・ポセイドン暴走の終末感が共存する。性悪な水中バギーが、最後に仲間を守るために選ぶ行動は、シリーズ屈指の涙腺崩壊シーンとして名高い一本だ。
【あらすじ】
夏休みに海底キャンプを楽しんでいたのび太たちは、海底人の少年エルと出会い、ムー連邦の存在を知る。だがかつて滅亡したアトランティスの鬼岩城が再起動し、地上の全生物を滅ぼす自動報復が始まろうとしていた。ドラえもんたちはバミューダ・トライアングルの鬼岩城へ乗り込み、ポセイドンとの最終決戦に挑むことになる。
【レビュー】
憎まれ口ばかり叩いていた水中バギーが、最後にしずかちゃんを守るために砕け散る瞬間で、毎回声が漏れる。深海の青と鬼岩城の赤、ポセイドンの巨体と小さなバギーの勇気のコントラストが、心の柔らかいところに今も突き刺さっている。怖さと哀しみが等量に詰まった、シリーズで最も静かな名作だと信じている。
No.5 のび太の魔界大冒険
| 公開日 | 1984年3月17日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 16.5億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 小泉今日子「風のマジカル」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太)、ドラミ(横沢啓子) |
| ゲスト声優 | 満月美夜子(潘恵子)、大魔王デマオン(若山弦蔵)、メジューサ(上田敏也) |
【見どころ】
「もしもボックス」で魔法が常識の世界へ踏み込むダークファンタジーである。石にされてしまうドラえもんとのび太の戦慄、メジューサに操られる恐怖、満月博士父娘の哀しい秘密が幾重にも折り重なる構成が見どころだ。当時のトップアイドルが歌う主題歌の浮遊感と、魔界の禍々しさのコントラストも公開時の話題を独占した。
【あらすじ】
魔法使いに憧れたのび太は、もしもボックスで「魔法の世界」を実現してしまう。だがその世界では地球侵略を企む魔界星が接近しており、満月博士は連れ去られ、娘の美夜子は猫の姿に変えられていた。退路となるもしもボックスもママに捨てられ、のび太たちは魔王デマオンを倒すため魔界星へ乗り込む覚悟を決める。
【レビュー】
石にされたドラえもんとのび太を背景に、しずかちゃんとジャイアンとスネ夫が魔界へ突き進むあの絶望感を、子供の頃の自分は本気で受け止めていた。メジューサの瞳に魅入られる怖さ、美夜子さんの瞳の儚さ、空を翔ける箒の解放感。一晩眠れないほどゾッとして、それでも翌朝にはまた観たくなる、危険な魅力の塊である。
No.6 のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)
| 公開日 | 1985年3月16日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 12.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 武田鉄矢「少年期」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | パピ(潘恵子)、ロコロコ(三ツ矢雄二)、ギルモア将軍(八名信夫) |
【見どころ】
スネ夫の特撮プラモ趣味から始まる、手のひらサイズの宇宙人と戦う痛快SFである。スモールライトで小さくなったドラえもんたちが、おもちゃの戦車やラジコンで独裁者ギルモアと戦う発想の楽しさが弾ける。普段は臆病なスネ夫が決定的な場面で覚醒する英雄譚と、しずかちゃんの牛乳風呂の名場面も語り草となっている。
【あらすじ】
のび太が拾った小さな人形は、ピリカ星から亡命してきた大統領パピだった。独裁者ギルモアの追手から守るためスモールライトで小型化したのび太たちは、ラジコンや戦車で応戦する。だがしずかちゃんを人質に取られたパピは自ら投降してしまい、5人はピリカ星へ救出に向かい本格的な解放戦争に挑むことになる。
【レビュー】
主題歌「少年期」が流れ出した瞬間、自分の少年時代まで一気に巻き戻される。普段はずるくて泣き虫なスネ夫が、勇気を振り絞って仲間を救いに動き出すあの場面、こちらまで拳を握ってしまう。手のひらサイズの戦車戦の熱気と、解放されたピリカの空の広さ。「友達を見捨てない」という当たり前を学んだ一作だ。
No.7 のび太と鉄人兵団
| 公開日 | 1986年3月15日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 13.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 大杉久美子「わたしが不思議」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | リルル(山本百合子)、ジュド/ザンダクロス(加藤治) |
【見どころ】
地球侵略を企てる機械文明・メカトピアと、ドラえもんたちの孤独な戦いを描くシリーズ屈指の感動作である。巨大ロボット・ザンダクロスの威容と、敵の女性型アンドロイド・リルルがしずかちゃんとの交流を通じて「心」を芽生えさせる過程が物語の核を成す。鏡面世界という決戦舞台の発想と、しずかが歴史を変える終盤の決断が見どころだ。
【あらすじ】
北極で巨大ロボットのパーツを拾ったのび太たちは、それを「ザンダクロス」と名付け遊んでいたが、正体はメカトピアの侵略兵器だった。持ち主と名乗る少女リルルは人類を見下し、鉄人兵団を地球へ呼び寄せる。鏡面世界で兵団と戦うドラえもんたち。傷ついたリルルを必死に看病するしずかの優しさが、彼女のプログラムにない感情を目覚めさせる。
【レビュー】
リルルが「友達」という言葉を理解した瞬間、こちらの胸が震えて止まらなくなる。冷たい青い瞳に光が灯る、その一点だけで何度でも泣ける。鏡面世界の歪んだ空、ザンダクロスの背中の哀しみ、しずかちゃんが歴史を書き換える静かな勇気。子供向けという枠を完全に踏み越えた、ドラえもん映画の到達点である。
No.8 のび太と竜の騎士
| 公開日 | 1987年3月14日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 15.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子不二雄 |
| 主題歌 | 大山のぶ代「友達だから」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | バンホー(堀秀行)、ロー(神代智恵) |
【見どころ】
「恐竜は絶滅していなかった」というロマン溢れる地底空洞説をベースにした冒険譚である。地底で独自進化を遂げた恐竜人と地上人の対立と和解を、SF的歴史解釈として描き切った構成が見どころだ。スネ夫の行方不明から地下世界へ転落していく導入部の自然さと、絶滅の真相が明かされるクライマックスの広がりが印象に残る。
【あらすじ】
0点のテストを隠す地下室を欲しがるのび太たちは、ひみつ道具で広大な地底空洞を発見する。夏休みの隠れ家として遊んでいた矢先、スネ夫が地底深くへ迷い込み、そこには恐竜人の帝国があった。彼らは地上奪還を計画しており、ドラえもんたちは誤解を解きながら、恐竜絶滅の真相と向き合う旅へと巻き込まれていく。
【レビュー】
地底空洞という設定そのものに胸が高鳴った子供時代を、観るたびに思い出す。バンホーの誇り高い眼差しと、のび太との不器用な友情が静かに育っていく描写が滲みる。隕石衝突の真相に行き着いたとき、地球と恐竜と人間の関係を初めて自分なりに考えた記憶が蘇る。冒険の奥に文明史の重さが沈んでいる、味わい深い一作だ。
No.9 のび太のパラレル西遊記
| 公開日 | 1988年3月12日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 13.6億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | もとひら了 |
| 主題歌 | 堀江美都子・こおろぎ'73「君がいるから」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | リンレイ(水谷優子)、三蔵法師(池田勝)、牛魔王(柴田秀勝) |
【見どころ】
原作漫画が存在しない、第1期で唯一藤子・F・不二雄が脚本に関与しない大長編である。西遊記の世界をそのまま冒険するのではなく、現代が妖怪に支配されてしまうパラレル改変の発想が秀逸だ。家族や先生までも妖怪化する怖さと、ドラえもんたちが西遊記キャラに扮して牛魔王軍団に挑む痛快さが、独特の手触りを生んでいる。
【あらすじ】
学校の劇で西遊記を演じることになったのび太は、ヒーローマシンで本物の孫悟空になろうとして妖怪を実体化させてしまう。唐の時代で妖怪退治をして戻った現代は、すでに妖怪に支配されパパもママも姿が変わっていた。元の世界を取り戻すため、のび太たちは再び過去へ飛び、牛魔王軍団との総力戦に挑むことになる。
【レビュー】
家に帰ったらママが妖怪になっていた、あの導入のおぞましさは小学生の自分に強烈な傷を残した。日常がそのまま地獄に変わる怖さが、シリーズの中でも飛び抜けて生々しい。それでも仲間と西遊記コスプレで突き進む姿は不思議と頼もしく、ホラーと痛快冒険が同居する歪な味わいが、今では妙に愛しく感じられる一本だ。
No.10 のび太の日本誕生
| 公開日 | 1989年3月11日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 20.2億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 西田敏行「時の旅人」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ククル(松岡洋子)、ギガゾンビ(永井一郎)、ツチダマ(高島雅羅) |
【見どころ】
シリーズ10周年記念作にして第1期の集大成と呼べるスケールの一本である。7万年前の日本を舞台に、家出ののび太たちが自分たちだけの国を築く前半の解放感と、原始人の少年ククルとヒカリ族の運命が絡み合う後半の重みが見事に接続される。のび太が想像で生んだ空想動物ペガ・グリ・ドラコとの別れの場面が涙を誘う名場面だ。
【あらすじ】
日常に嫌気が差したのび太たちは、史上最大の家出を計画してタイムマシンで7万年前の日本へ逃げ込む。誰にも邪魔されない楽園を作る最中、原始人の少年ククルと出会い、彼の部族が時空を超えた犯罪者ギガゾンビに襲われていることを知る。ドラえもんたちはヒカリ族を救うため、精霊王と土偶の怪物ツチダマに挑む。
【レビュー】
「時の旅人」の歌声に背中を押されてエンドロールを見届けると、毎回少年期の自分が一緒に座っている気がする。ペガとグリとドラコをククルに託す丘の風、家族の元に帰っていくのび太の小さな背中。「家出した俺たちが、最後にちゃんと帰る場所を選び直す物語」だと気づいたとき、第1期の10年が一気に胸に流れ込んでくる傑作だ。
第2期:大長編完結とファンタジー深耕期(1990〜1997)
1990年代に突入したシリーズは、原作者・藤子・F・不二雄が脚本に踏み込み続けながら、神話・伝説・夢・進化といった想像力の地平を一気に深掘りしていった時期である。
ドラビアンナイト・夢幻三剣士・銀河超特急など作品ごとに世界観の質感が大きく変わり、雲の王国では環境破壊への強い警鐘が鳴らされた。
そして1996年9月23日、藤子・F・不二雄が逝去。最終作『ねじ巻き都市冒険記』はスタッフが遺稿を補筆して完成させた、大長編原作シリーズの幕引きとなる一本である。
No.11 のび太とアニマル惑星(プラネット)
| 公開日 | 1990年3月10日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 19.1億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 武田鉄矢「天までとどけ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太)、ママ(千々松幸子) |
| ゲスト声優 | チッポ(田中真弓)、ニムゲ総長(森功至) |
【見どころ】
裏山に立ち込めるピンクのモヤを抜けると、二足歩行の動物たちが暮らす穏やかな惑星が広がる第11作である。アニマル星の理想郷と、地獄星に追いやられたニムゲ軍団との攻防を軸に、仮面の下に隠されたニムゲの素顔という衝撃の真実が突きつけられる。環境テーマを真正面から描き切った一本だ。
【あらすじ】
ピンクのモヤをくぐり抜けたのび太は、犬の少年チッポと友達になりアニマル星へ迷い込む。だがその平和は、地下世界からニムゲ軍団が侵攻する脅威に晒されていた。チッポのSOSを受けたのび太たちは再びアニマル星へ渡り、ジャイアン・スネ夫・しずかとともに、ひみつ道具を駆使してニムゲ軍団との決戦に挑む。
【レビュー】
ピンクのモヤの先に広がる動物たちのユートピア、その柔らかな色彩が忘れられない。ニムゲの仮面が剥がれた瞬間、子供心に突きつけられた問いの重さに息を呑んだ。チッポの真っ直ぐな声、ガルーダの羽ばたき、地下世界の灰色の絶望。優しさと痛みを同時に抱えたシリーズ屈指の問題作である。
1990年はバブルの余韻が色濃く、エンタメ界が華やかさを極めていた時代だ。
家庭ではPCエンジンが全盛で、年末には任天堂スーパーファミコンが発売予定として子供たちの関心を独占していた。
週刊少年ジャンプは『ドラゴンボール』『スラムダンク』黄金期を走り、コロコロでは藤子・F・不二雄の大長編が連載中だった。フジテレビ系『ちびまる子ちゃん』が放送開始し「おどるポンポコリン」が国民的ヒットに。
本作の同時上映は『21エモン 宇宙いけ!裸足のプリンセス』であり、F先生の世界観を二本立てで浴びられる贅沢な春休みであった。
No.12 のび太のドラビアンナイト
| 公開日 | 1991年3月9日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 18.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 白鳥英美子「夢のゆくえ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | シンドバッド(阪脩)、アブジル(加藤精三)、カシム(加藤治) |
【見どころ】
絵本入りこみぐつで物語の世界に飛び込んだしずかが、千夜一夜の砂漠に取り残されてしまう第12作である。8世紀のバグダッドを舞台に、実在の歴史と空想が織り交ざる重層構造と、四次元ポケットを盗まれた一行が知恵だけで砂漠を渡る前半の緊迫感が見どころだ。シンドバッドとの共闘も見逃せない。
【あらすじ】
絵本の世界を遊んでいたしずかが、トラブルでアラビアンナイトの中に閉じ込められてしまう。ドラえもんたちはタイムマシンで8世紀のアラビアへ向かうが、盗賊カシム一味に四次元ポケットを奪われてしまう。灼熱の砂漠で旅を続けるなか、シンドバッドや魔法の神アブジルとの出会いが、しずか奪還への道を切り開いていく。
【レビュー】
道具を奪われ、知恵と勇気だけが頼りの砂漠行というシチュエーションが胸を熱くさせる。シンドバッドの大きな手、輝く宝石の山、夜のバグダッドに灯る無数のランタン。しずかちゃんを取り戻す一心で歩き続ける一行の姿に、子供だった自分が原作絵本に貼り付くように観ていた感覚がよみがえる一本である。
No.13 のび太と雲の王国
| 公開日 | 1992年3月7日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 16.8億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 武田鉄矢「雲がゆくのは…」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | パルパル(伊藤美紀)、グリオ(村山明)、キー坊(丸山裕子) |
【見どころ】
株式会社ごっこから始まり地球文明の存続を懸けた裁判劇まで突き進む第13作である。雲の上に建国した夢の楽園と、絶滅動物を保護する天上人のノア計画。緑の星キー坊との再会、攻撃で機能停止するドラえもん、降りしきる豪雨の中の最終決戦。環境テーマと冒険活劇が高密度で融合した一本だ。
【あらすじ】
雲の上に自分たちの国を作ろうと計画したのび太たちは、絶滅動物が暮らす天上人の王国と出会う。しかし天上人は地上の環境破壊に絶望し、大雨で文明を洗い流す「ノア計画」を進めていた。攻撃を受けたドラえもんは故障し機能停止に陥る。のび太たちは天上人の法廷に立ち、地球の未来を守る最後の弁論に挑む。
【レビュー】
ドラえもんが青ざめた光を放って機能停止する瞬間、頭の中が真っ白になった。それでものび太が「地球を守りたい」と震える声で立ち上がる法廷シーン、キー坊の凛とした登場、地上を覆う雨雲。シリーズで最も社会派かつ最も叙情的な一本であり、観るたびに大人になった自分の胸を抉ってくる傑作である。
No.14 のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)
| 公開日 | 1993年3月6日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 16.5億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 島崎和歌子「何かいい事きっとある」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太)、パパ(加藤正之)、ママ(千々松幸子) |
| ゲスト声優 | サピオ(皆口裕子)、ナポギストラー(森山周一郎)、ブリキン(大木民夫) |
【見どころ】
深夜のテレビ通販で届いた怪しいトランクから、チャモチャ星の動乱へと一気に突入する第14作である。ロボット文明への過信と反逆をテーマに、序盤でドラえもんが連れ去られる衝撃展開、ブリキ兵士の不気味な行進、海底大迷宮を進む後半の冒険スリルが緊張感を最後まで途切れさせない。
【あらすじ】
深夜の通販で届いたトランクは、チャモチャ星のブリキンホテルへの入口だった。ホテルで休暇を満喫していたのび太たちだったが、ドラえもんがブリキ兵に連れ去られてしまう。少年サピオはチャモチャ星が独裁者ナポギストラーのロボット軍に支配されたと語り、のび太たちはドラえもん救出と人々の解放のため立ち上がる。
【レビュー】
ドラえもん不在のまま海底大迷宮に潜るのび太の横顔が忘れられない。ブリキ兵が並ぶ薄暗い回廊、ナポギストラーの冷たい笑い、サピオが祖父の発明を信じる決意。子供にとっては容赦ないほど怖く、それでも最後まで見届けたくなる磁力に満ちた一本だ。後年スマホで観返してまた泣いてしまった作品である。
No.15 のび太と夢幻三剣士
| 公開日 | 1994年3月12日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 13.5億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 武田鉄矢一座「世界はグー・チョキ・パー」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | スパイドル将軍(屋良有作)、ジャンボス(郷里大輔)、トリホー(田村錦人) |
【見どころ】
気ままに夢見る機で英雄譚に飛び込んだのび太が、伝説の白銀の剣士ノビタニヤンとなって妖霊大帝オドロームに挑む第15作である。剣士となったジャイトス・スネミス・シズカール、夢と現実の境界が滲み合う不穏な展開、挿入歌「夢の人」が流れる切ないクライマックスが心に深い余韻を残す異色作だ。
【あらすじ】
夢の中で英雄になりたいのび太は、ドラえもんの道具で「夢幻三剣士」の世界に入る。ユミルメ国はオドローム軍の侵略を受けており、白銀の剣士となったのび太はジャイトス、スネミス、シズカールらと討伐の旅へ。しかし夢と現実が滲み始め、ついには学校の裏山と敵の城が結びついてしまう異変が起こる。
【レビュー】
しずかちゃんが姫剣士シズカールとして剣を構える姿に、当時の小学生はみんな目を奪われたはずだ。一度は倒れ、夢の中で再び立ち上がる仲間たち、流れる「夢の人」の旋律。夢と現実の境界が溶けるラスト、目を覚ましたのび太の頬に伝う一筋。F先生の童話作家としての本領が滲む傑作である。
No.16 のび太の創世日記
| 公開日 | 1995年3月4日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 13.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 海援隊「さよならにさよなら」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ノンビ(林原めぐみ)、ビタノ(京田尚子)、エモドラン(山田恭子) |
【見どころ】
夏休みの自由研究で「創世セット」を使い、のび太が新しい地球を生み出して観察日記をつける異色の第16作である。神の視点で生命の誕生から進化、さらに昆虫人の文明発展までを見守る圧巻のスケールと、明確な悪役を置かず共存を模索する成熟したラストが、F先生のSF志向を凝縮した一本になっている。
【あらすじ】
のび太は道具で新地球を作り、生命誕生から人類進化までを観察する。のび太そっくりの原始人や子孫たちにそっと手を貸す日々のなか、新地球の南極では昆虫人が独自の高度文明を築いていた。彼らは地上進出を計画し、人類との衝突は避けられない事態に。創造主となったのび太は、両者の運命を見据えて決断を下す。
【レビュー】
明確な悪役を置かず、人類と昆虫人それぞれの願いに寄り添うラストの静けさが胸に深く響く。原始人ノンビが石器を握る背中、海から這い上がる初期生命、夏休みの自由研究という枠組みからこぼれ出るF先生の宇宙観。子供向けの仮面を被った哲学書として、大人になってから読み返したくなる一本である。
No.17 のび太と銀河超特急(エクスプレス)
| 公開日 | 1996年3月2日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 16.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 海援隊「私のなかの銀河」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ボーム(塩沢兼人)、アストン(真殿光昭)、ドン(菅原淳一) |
【見どころ】
ミステリー列車に乗って宇宙の果ての遊園地ドリーマーズランドへ向かう第17作である。SLが銀河を駆け抜ける宮沢賢治オマージュの映像美と、西部の星・忍者の星・恐竜の星と巡る遊園地アトラクション、終盤で寄生型宇宙人ヤドリに襲われたのび太が射撃の腕で立ち向かう逆転劇が見どころだ。
【あらすじ】
22世紀で人気のミステリー列車「銀河超特急」に乗ったのび太一行は、巨大遊園地ドリーマーズランドで西部劇や忍者修行を満喫する。しかし宇宙の寄生生物ヤドリが園内の人間とロボットを次々に乗っ取り侵略を開始。通信途絶のなか保安官に任命されたのび太は、自慢の射撃の腕でヤドリのボスに挑んでいく。
【レビュー】
SLが満天の星を疾走する冒頭から胸が躍り、夢の遊園地に降り立った瞬間の高揚感は格別だ。射撃の腕だけが取り柄ののび太が保安官バッジを胸につけ、本気で銃口を構える終盤の凛々しさに痺れた。賢治の銀河鉄道と西部劇とSF冒険が一本の線路で繋がる、F先生の遊び心と詩心が混ざり合った傑作である。
No.18 のび太のねじ巻き都市(シティー)冒険記
| 公開日 | 1997年3月8日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 20.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 藤子・F・不二雄 |
| 主題歌 | 矢沢永吉「Love is you」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ピーブ(佐々木望)、ティラ(茶風林)、熊虎鬼五郎(内海賢二) |
【見どころ】
藤子・F・不二雄が1996年9月23日に逝去し、遺稿をスタッフが補筆して完成させた大長編原作シリーズ最終作である第18作だ。生命のねじで命を吹き込まれたおもちゃたちと築く理想の街、脱獄囚・熊虎鬼五郎との対決、そして金色の怪物「種まく者」の伝説。F先生が最後に託した「命」への眼差しが胸を打つ一本である。
【あらすじ】
のび太は小惑星の福引きで当たった星を「ねじ巻き都市」として開拓し、生命のねじでおもちゃたちを動かして理想の街を作り上げていく。だが脱獄囚・熊虎鬼五郎が紛れ込み、ねじを奪っておもちゃ怪獣軍団を作り出す。星の伝説に伝わる金色の怪物の出現も近づくなか、のび太たちは仲間と共に街の未来を懸けた戦いに挑む。
【レビュー】
おもちゃたちが命を得て街を歩き始める冒頭の優しさに触れた瞬間、F先生のまなざしが画面の奥から差し込んでくるようで涙が滲んだ。ホクロ印の優しい鬼五郎、種まく者の神々しい光、街を守るために立ち上がる小さな命たち。原作大長編の幕を引くにふさわしい、慈しみと祈りに満ちた集大成的傑作である。
第3期:オリジナル脚本挑戦期(1998〜2004)
藤子・F・不二雄逝去後、原作のないオリジナル脚本シリーズへ移行した転換期だ。
脚本は岸間信明が全期を担当し、藤子プロとシンエイ動画が「F先生イズム」を継承しながら、海賊宝探し・古代王国・ロボット王国など娯楽性重視の冒険譚を毎春送り出した。
興収30億円台のヒットが連発し、主題歌に新山千春・ゆず・KONISHIKI・島谷ひとみらが起用され、ゲスト声優も兼任する流行が生まれた。
2004年『ワンニャン時空伝』で大山のぶ代版が幕を閉じ、25年の「大山ドラ」がフィナーレを迎えた歴史的フェーズである。
No.19 のび太の南海大冒険
| 公開日 | 1998年3月7日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 21.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | 吉川ひなの「ホットミルク」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ジャック(マッハ文朱)、キャプテン・キッド(江守徹)、ベティ(早見優)、Mr.キャッシュ(上條恒彦) |
【見どころ】
藤子F先生没後初のオリジナル脚本作にして、完全オリジナル期を切り開いた記念碑的な一本である。17世紀カリブ海の海賊船を舞台に、ドラえもんのポケットを序盤で失ったのび太たちが、知恵と勇気だけで宝探しに挑むサバイバル冒険譚として組み立てられている。
【あらすじ】
「宝島」の本に憧れたのび太は、ドラえもんの「宝探し地図」が反応する島を見つけて海へ乗り出す。時空の乱れで17世紀のカリブ海へ漂着した一行は、伝説の海賊キャプテン・キッドの船に拾われ、トモス島の秘宝をめぐる戦いに巻き込まれていく。歴史改変を企む組織カシオンとの対決が幕を開ける。
【レビュー】
ポケットを失ったドラえもんが頼りにならない設定が逆に新鮮で、のび太たちが本気で頭を働かせる姿に胸が熱くなる。キッド船長のダンディな声と、エンディングで流れる「ホットミルク」のウィスパーボイスが、海風の匂いまで運んでくる名作だ。
1998年はゲーム・音楽・PCが揃って次世代へ突入した節目の年だ。
ニンテンドー64『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が3D表現の革命と評され、Windows 98の登場で家庭にインターネットが入り込むITバブル前夜の空気が流れ始めた。
音楽では宇多田ヒカルがデビューし、SPEEDやモーニング娘。などガールズグループが全盛期を迎える。
夏には『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が社会現象化し、春のドラえもんは短編『帰ってきたドラえもん』との二本立てで子どもたちの涙腺を直撃した春休みになった。
No.20 のび太の宇宙漂流記
| 公開日 | 1999年3月6日(土) |
|---|---|
| 配給収入 | 20.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | SPEED「季節がいく時」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | リアン(白石涼子)、ログ(野沢雅子)、フレイヤ(荘真由美) |
【見どころ】
ドラえもん映画20周年記念作にして、宇宙を舞台にした王道SF冒険譚である。テレビゲーム『スター・クラッシュ』の中に本物の宇宙船が紛れ込むという導入から、住める星を求めて300年漂流する銀河船団との出会いへと展開し、ブラックホールの神秘描写も見応え十分だ。
【あらすじ】
ジャイアンとスネ夫がゲーム機の中だと思ったUFOに連れ去られる。それは本物の宇宙船で、二人を救うため宇宙へ飛び出したのび太たちは、長い旅を続ける「銀河漂流船団」へたどり着く。少年騎士団のリアンと出会うが、船団を乗っ取ろうとする独立軍がクーデターを起こす。
【レビュー】
ジャイアンが見せる男気と、リアンの凛とした少年姿が物語を引き締める一作だ。「季節がいく時」がエンディングに流れる瞬間、宇宙の果てから戻ってきた寂しさと爽やかさが同時に胸を満たす。世紀末ムードの空気もどこか映る、忘れがたい一本である。
No.21 のび太の太陽王伝説
| 公開日 | 2000年3月11日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 30.5億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | 由紀さおり、安田祥子「この星のどこかで」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ティオ(緒方恵美)、クク(飯塚雅弓)、レディナ(唐沢潤) |
【見どころ】
ドラえもん誕生30周年記念作で、興収30億円を初めて突破した第3期最大のヒット作である。古代マヤ文明をモデルにした「マヤナ国」の王子ティオと、瓜二つだが性格が正反対ののび太が入れ替わる「王子と乞食」型ストーリーで、二役を演じる小原乃梨子と緒方恵美の声の演じ分けが圧巻だ。
【あらすじ】
ひみつ道具の偶然から古代マヤナ国へ繋がってしまったのび太たち。出会った王子ティオはのび太と瓜二つで、母を魔女レディナに眠らされて心を閉ざしていた。互いの暮らしを体験するうち、ジャイアンたちの友情を知ったティオは、さらわれた少女ククを救うため王として立ち上がる。
【レビュー】
王子側で生きる「もう一人ののび太」が大人になっていく過程が、観るたびに泣ける名作だ。ティオ王子の気高い声が、のび太の中に眠る勇気を呼び起こす演出として完璧で、童謡風の主題歌「この星のどこかで」が親子三代で楽しめる温かさを残す。
No.22 のび太と翼の勇者たち
| 公開日 | 2001年3月10日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 30.0億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | 知念里奈「Love you close」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | グースケ(頓宮恭子)、ツバクロウ(知念里奈)、鳥野博士(森繁久彌)、ジーグリード(大平透) |
【見どころ】
鳥人間の異世界「バードピア」を舞台にした空のアドベンチャーで、興収30億円台を維持した安定ヒット作である。森繁久彌の重厚な博士役と、知念里奈が主題歌と劇中ゲスト声優を兼任した話題性も大きな見どころで、第3期から定着した「主題歌歌手=ゲスト声優」流行の象徴的な一本だ。
【あらすじ】
タケコプターで飛行訓練中ののび太たちは、時空の裂け目から現れた鳥人間グースケと出会い、鳥たちの楽園バードピアへ迷い込む。そこでは人間への怒りから伝説の怪鳥フェニキアを復活させる勢力が動いており、自力で飛べないグースケと共に、人力飛行機で空の決戦へ挑む。
【レビュー】
空を飛ぶ気持ちよさと、自分の翼で飛びたい少年の切実な願いが重なる、青空の似合う一作だ。スネ夫がスパイ的に動いて意外な活躍を見せる構成も見もので、しっとりした主題歌「Love you close」が物語の余韻をやさしく支える。
No.23 のび太とロボット王国(キングダム)
| 公開日 | 2002年3月9日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 23.1億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | KONISHIKI「いっしょに歩こう 〜Walking Into Sunshine〜」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | ジャンヌ(新山千春)、コニック(KONISHIKI)、ポコ(桑島法子)、デスター(森山周一郎) |
【見どころ】
「ロボットと人間の共存」を真正面から問うた一作で、ドラえもん自身のアイデンティティに踏み込んだ問題作である。新山千春が女王ジャンヌ役、KONISHIKIがコニック役と主題歌を兼任した豪華布陣が話題を呼び、ロボットの母ちゃんという心打つ設定が温かな涙を誘うのが見どころだ。
【あらすじ】
未来デパートから届いたロボットの暴走で、のび太たちはロボット王国へ迷い込む。そこでは女王ジャンヌが「ロボットから感情を消す」改造計画を進めており、ドラえもんも捕らわれて改造の危機に。ジャンヌの心を歪めた過去と、背後で操る司令官デスターの陰謀が明らかになっていく。
【レビュー】
ドラえもんが心を失う恐怖を描いた本作は、シリーズで最もドラえもんの存在を愛おしく感じる一本だ。大きな包容力に満ちた主題歌「いっしょに歩こう」が、ロボットも人間も同じ仲間という結論をやわらかく抱きしめる。母ちゃんロボットの優しさも忘れがたい。
No.24 のび太とふしぎ風使い
| 公開日 | 2003年3月8日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 25.4億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | ゆず「またあえる日まで」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | フー子(かないみか)、ヤムジン(北川悠仁)、クンジン(岩沢厚治)、テムジン(愛河里花子)、ストーム(屋良有作) |
【見どころ】
台風の子フー子と、のび太の友情を描いた屈指の感動作である。ゆずが主題歌を担当し、北川悠仁・岩沢厚治の二人が風使いの兄弟ヤムジン・クンジン役で声優兼任した話題作で、言葉を話せないフー子が表情と仕草だけで感情を伝える描き分けが圧巻の見どころだ。スネ夫が嵐族に操られる展開も緊張感満点である。
【あらすじ】
ある日のび太の元へ迷い込んできた台風の子・フー子。可愛がるうちに、フー子が伝説の風の怪物マフーガの一部であることが判明し、風使いの一族「嵐族」の長ウランダーに奪い去られる。地球を覆う暴風雨を止めるため、のび太とフー子の決死の絆が試される最終決戦が幕を開ける。
【レビュー】
フー子がのび太を守るために自らを差し出す終盤は、シリーズの感動シーンランキング上位常連だ。「またあえる日まで」がエンドロールに流れる瞬間、子どもと一緒に泣いた親世代の記憶が春の風と一緒によみがえる名作である。
No.25 のび太のワンニャン時空伝
| 公開日 | 2004年3月6日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 30.5億円 |
| 監督 | 芝山努 |
| 脚本 | 岸間信明 |
| 主題歌 | 島谷ひとみ「YUME日和」 |
| メイン声優 | ドラえもん(大山のぶ代)、のび太(小原乃梨子)、しずか(野村道子)、ジャイアン(たてかべ和也)、スネ夫(肝付兼太) |
| ゲスト声優 | チーコ(島谷ひとみ)、イチ(林原めぐみ)、ハチ(泉谷しげる)、ネコジャラ(西川幾雄) |
【見どころ】
映画化25周年記念作にして、大山のぶ代をはじめとするレジェンド声優陣の劇場版卒業作である。捨て犬・捨て猫たちのために3億年前に作った王国が、長い時を経てワンニャン国へ進化していたという壮大な時間構造が見どころで、島谷ひとみのゲスト出演と主題歌兼任も話題となった。
【あらすじ】
家で飼えない野良犬イチを、捨て犬・捨て猫たちと共に3億年前へ送り出したのび太。翌日タイムマシンで様子を見に行くと、時空のねじれで1000年後のワンニャン国へ着いてしまう。そこで出会った少年ハチとの再会の謎を解きながら、隕石衝突から王国を救う旅が始まる。
【レビュー】
ラストでドラえもんたちが手を振って去っていく演出は、25年支えた声優陣からファンへの別れの挨拶そのものだ。「YUME日和」が流れるエンディングで、子ども時代に見送った春のドラえもんの記憶が一気にあふれ出す、世代を超えた集大成である。
第4期:新生ドラの始動と名作リメイク期(2006〜2015)
2005年4月のTVシリーズで声優陣が一新され、ドラえもん役は大山のぶ代から水田わさびへ引き継がれた。2005年は劇場版休止、翌2006年『のび太の恐竜2006』から劇場版もリブートされた第4期である。
第1作のリメイクから始動し、新魔界大冒険・新宇宙開拓史・新鉄人兵団・新大魔境と藤子・F・不二雄原作の名作群が連続再映像化。並行して緑の巨人伝・人魚大海戦・奇跡の島・ひみつ道具博物館・宇宙英雄記の完全新作も投入された。
興収30億円台で安定した、新生ドラ定着期である。
No.26 のび太の恐竜2006
| 公開日 | 2006年3月4日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 32.8億円 |
| 監督 | 渡辺歩 |
| 脚本 | 渡辺歩、楠葉宏三 |
| 主題歌 | スキマスイッチ「ボクノート」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | ピー助(神木隆之介)、黒い男(船越英一郎) |
【見どころ】
声優総入替後の劇場版第1作にして、原点である1980年第1作のリメイクという新生ドラの号砲となった一本である。鉛筆のタッチを残す柔らかな作画と、感情の機微を泥臭く描き直した演出が見どころ。ピー助とのび太の別れの場面は、旧作世代を改めて泣かせに来る再構築だ。
【あらすじ】
恐竜の卵の化石を発見したのび太は、タイムふろしきで孵化させた首長竜にピー助と名付けて密かに育てる。やがて成長したピー助を白亜紀へ帰すべくタイムマシンで送り出すが、空間転送装置の故障で誤った時代へ漂着。日本へ戻ろうとする一行を、恐竜ハンターの黒い男が執念深く追跡する。
【レビュー】
声が変わった違和感は、開幕5分でどこかへ消えた一本だ。涙を堪えるのび太の小刻みに震える唇、ピー助の濡れた瞳。鉛筆の線が残る柔らかな作画が感情の輪郭をなぞるたびに、こちらの胸まで震える。エンドロールで「ボクノート」が流れた瞬間、新生ドラを受け入れた自分に気付いた、再出発の名作だ。
2006年は日本エンタメが新世代へバトンを渡した転換点である。家庭用ゲームではPS3とWiiが揃って発売され、Wiiリモコンの体感操作が居間の遊び方を一変させた。
トリノ五輪では荒川静香が金メダルを獲得しイナバウアーが流行語に。映画は『デスノート』実写版が大ヒット、ジブリは宮崎吾朗デビュー作『ゲド戦記』で世代交代を印象付けた。
TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』が深夜帯から社会現象化。コロコロでは『ペンギンの問題』が新世代を掴み、新生ドラの船出を後押しする土壌が整った時代である。
No.27 のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜
| 公開日 | 2007年3月10日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 35.4億円 |
| 監督 | 寺本幸代 |
| 脚本 | 真保裕一 |
| 主題歌 | mihimaru GT「かけがえのない詩」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一)、ドラミ(千秋) |
| ゲスト声優 | 満月美夜子(相武紗季)、メデューサ(久本雅美)、満月博士(河本準一) |
【見どころ】
1984年公開の第5作『魔界大冒険』を再構築した、新生ドラ初の名作リメイクである。シリーズ初の女性監督・寺本幸代が指揮を執り、美夜子と母メデューサの母娘ドラマを軸に再設計した重層構造が見どころ。ドラミが戦力として終盤の魔界決戦に正面から参加する大胆な再解釈も光る一本だ。
【あらすじ】
もしもボックスで魔法が当たり前の世界に変えたのび太は、魔法研究家の娘・美夜子と出会う。地球は大魔王デマオンの侵略を受けており、伝説の七人の魔法使いとしてのび太たちは魔界星へ向かう。美夜子の母を奪い悪の手先へと変えた敵の企みに直面しながら、親子の絆を取り戻す戦いへと突入する。
【レビュー】
旧作の怖さに親子愛のエッセンスを足し、見事に現代仕様へ生まれ変わった一本だ。石にされた仲間たちを背に進むのび太の悲壮感、メデューサの瞳に宿る母の残光、魔界星の不気味で美しい背景美術。ドラミが箒に跨って魔界へ突っ込む場面の格好よさは、新生ドラの真骨頂だと胸が熱くなる。
No.28 のび太と緑の巨人伝
| 公開日 | 2008年3月8日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 33.7億円 |
| 監督 | 渡辺歩 |
| 脚本 | 大野木寛 |
| 主題歌 | 絢香「手をつなごう」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | キー坊(吉越拓矢)、リーレ(堀北真希)、長老ジィ(三宅裕司) |
【見どころ】
新生ドラ初の完全オリジナル長編として、藤子・F・不二雄の短編『さらばキー坊』を発展させた一本である。植物宇宙人と地球文明の対立というスケールの大きな環境テーマを軸に、のび太とキー坊の弟のような友情を再構築。終盤の壮大な自然描写と緑の巨人召喚シーンが見どころだ。
【あらすじ】
裏山で拾った苗木に植物自動化液をかけて動けるようにしたのび太は、弟のように育てた苗木をキー坊と名付ける。しかしキー坊は植物が支配する遥か彼方の緑の星へ連れ去られ、地球を破壊し続ける人類への審判が迫る。キー坊は伝説の緑の巨人を呼び覚ます鍵として捕らわれ、再会を信じて旅立つ。
【レビュー】
キー坊が緑の巨人を背に立つラストカットを思い出すたび、胸が締めつけられる一本だ。のび太の頬に擦り寄る小さな苗木の仕草、別れ際にこぼれる植物の涙。地球を見下ろす緑の星の景色は荘厳で、絵本めいた美しさに息を呑む。環境というテーマを子供向けに昇華した、新生ドラ屈指の挑戦作だ。
No.29 新・のび太の宇宙開拓史
| 公開日 | 2009年3月7日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 24.5億円 |
| 監督 | 腰繁男 |
| 脚本 | 真保裕一 |
| 主題歌 | 柴咲コウ「大切にするよ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一)、ドラミ(千秋) |
| ゲスト声優 | ロップル(櫻井智)、チャミー(佐久間レイ)、モリーナ(香里奈)、クレム(アヤカ・ウィルソン)、ギラーミン(大塚明夫) |
【見どころ】
1981年公開の第2作『宇宙開拓史』をリメイクした、新生ドラ三本目の名作再構築である。畳の下が宇宙へ繋がる導入のワクワク感はそのままに、新キャラのモリーナと父親のドラマを増設した重層構造が見どころ。終盤、宇宙一の殺し屋ギラーミンとあやとり拳銃で対峙する決闘場面の緊迫感が強烈だ。
【あらすじ】
超空間のねじれでのび太の部屋とコーヤコーヤ星が繋がり、ロップルとチャミーとの友情が芽生える。だが星はガルガントチュア鉱業に狙われており、行方不明となったモリーナの父の謎、星の環境を守る戦いが交錯。のび太はあやとり拳銃と射撃の腕を頼りに、宇宙最強の殺し屋ギラーミンとの決闘へ挑む。
【レビュー】
重力の弱い星でのび太の射撃の腕が冴え渡る、男前すぎる名場面のために観たい一本だ。モリーナの父娘の絆、ロップルがコーヤコーヤ星を見つめる横顔、ギラーミンの冷えた瞳。あやとり拳銃を構えるのび太の背中に「やればできる子」という呟きが重なる瞬間、こちらの背筋まで伸びる傑作である。
No.30 のび太の人魚大海戦
| 公開日 | 2010年3月6日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 31.6億円 |
| 監督 | 楠葉宏三 |
| 脚本 | 真保裕一 |
| 主題歌 | 青山テルマ「帰る場所」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一)、ドラミ(千秋) |
| ゲスト声優 | ソフィア(田中理恵)、オンディーヌ(真矢ミキ)、トラギス(さかなクン) |
【見どころ】
映画ドラえもん30周年記念作として送り出された完全オリジナル長編である。架空水で町中を海底に変える導入の解放感、人魚族の姫ソフィアとの出会いから怪魚族との海戦へ突き進むスケール感が見どころ。さかなクンが声優として参加し、海洋生物の知識を作中で披露する仕掛けも遊び心が光る一本だ。
【あらすじ】
架空水で町を海の底にして遊んでいたのび太たちは、迷い込んだ人魚族の姫ソフィアと出会う。彼女は地球を汚され海へ追いやられた人魚族の末裔で、かつて世界を支配した怪魚族が伝説の人魚の剣を狙っていた。しずかが人質に取られる窮地のなか、人魚スーツを纏ったドラえもん一行は深海の決戦場へと向かう。
【レビュー】
町が一夜で海中世界になる導入で、童心が一気に解き放たれる一本だ。ソフィアの真珠色の鱗、深海から見上げる町の灯り、人魚スーツで滑走するドラえもんの愛らしさ。海洋生物の知識を語るゲスト声優のボイスが画面を丸ごと攫っていく可笑しみもたまらない。30周年の節目を祝う、海の解放感に満ちた快作である。
No.31 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜
| 公開日 | 2011年3月5日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 24.6億円 |
| 監督 | 寺本幸代 |
| 脚本 | 清水東 |
| 主題歌 | BUMP OF CHICKEN「友達の唄」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | リルル(沢城みゆき)、ピッポ(小林由美子)、総司令官(加藤浩次) |
【見どころ】
1986年公開の第7作、シリーズ屈指の感動作として神格化される名作のリメイクである。旧作で頭脳パーツに過ぎなかった「ザンダクロスの脳」を、ひよこ型のマスコット・ピッポへ擬人化した大胆なアレンジが見どころ。のび太とピッポの友情、リルルとしずかの絆が並走する終盤の畳み掛けが涙腺を直撃する。
【あらすじ】
巨大ロボの部品とともに落ちてきた電子頭脳を、ひみつ道具でひよこ型のピッポに作り替えたのび太。当初は人間を奴隷視していたピッポも、交流を重ねて仲間意識を芽生えさせる。鉄人兵団の侵攻が迫るなか、リルルとピッポは大切な友達を守るため、自らの存在をかけた決断へと踏み出していく。
【レビュー】
ピッポの「ボク、のび太の友達だもん」という叫びが、頭から離れない一本だ。ひよこの羽がしずく状に震える表情、リルルが鏡面世界へ消える瞬間の透明感。「友達の唄」が流れるラストには、子供と観た親が涙を堪えきれなかったという報告が続出した。新生ドラ屈指の感動作である。
No.32 のび太と奇跡の島〜アニマル アドベンチャー〜
| 公開日 | 2012年3月3日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 36.2億円 |
| 監督 | 楠葉宏三 |
| 脚本 | 清水東 |
| 主題歌 | 福山雅治「生きてる生きてく」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一)、ドラミ(千秋) |
| ゲスト声優 | ダッケ(野沢雅子)、コロン(水樹奈々)、シャーマン(山寺宏一)、フーク(鈴木福)、甘栗旬(小栗旬) |
【見どころ】
絶滅動物が暮らす伝説の島ベレーガモンド島を舞台にした、完全オリジナル長編である。のび太そっくりの少年ダッケが実は子供時代のパパ・のび助という親子二代の絡みが見どころ。豪華ゲスト声優陣による生き物たちの掛け合いと、福山雅治「生きてる生きてく」の主題歌が父性をテーマに優しく響く一本だ。
【あらすじ】
絶滅したはずの巨大鳥モアを偶然連れ帰ったのび太たちは、絶滅動物の楽園「奇跡の島」へ招かれる。そこで出会うロッコロ族の少年ダッケは、のび太のパパ・のび助の少年時代の姿だった。伝説のゴールデンヘラクレスオオカブトの力を狙う悪の商人シャーマンの侵略に対し、親子二代の共闘が始まる。
【レビュー】
少年時代のパパに会ったのび太の戸惑い、ジャングルを駆け抜ける動物たちの躍動感がたまらない一本だ。ダッケの背中に映る父の面影、闇雲に虫を集めた少年時代の純粋さ。「生きてる生きてく」が父子の温度を優しく包み込む終幕には、自分の父を思い出して胸がじんわり温かくなる、親子で観たい快作だ。
No.33 のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)
| 公開日 | 2013年3月9日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 39.8億円 |
| 監督 | 寺本幸代 |
| 脚本 | 清水東 |
| 主題歌 | Perfume「未来のミュージアム」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一)、ドラミ(千秋) |
| ゲスト声優 | クルト(三瓶由布子)、ペプラー博士(千葉繁)、マスタード警部(松平健)、向井おさる(向井理) |
【見どころ】
ドラえもんの鈴を盗まれるという謎解きを軸にした、完全オリジナル長編である。未来の「ひみつ道具博物館」を舞台に歴代道具が無数に登場するファン垂涎の設定が見どころ。派手なバトルではなく謎解きと道具遊びの楽しさで攻めた構成は、Perfume主題歌のポップな質感とも見事に噛み合う一本だ。
【あらすじ】
怪盗DXに鈴を奪われたドラえもんは、修理に出さねば野良猫化してしまう危機に陥る。手がかりを追って未来のひみつ道具博物館へ飛び込んだ一行は、見習い職人クルトと出会う。館内では道具が次々と盗まれており、怪盗DXの正体と、ドラえもんが鈴に異常なほど執着する理由が同時に解き明かされていく。
【レビュー】
歴代ひみつ道具が陳列棚に並ぶだけで、童心がフルスロットルで疾走する一本だ。タケコプター・どこでもドア・スモールライト。馴染みのアイテム群が背景に並ぶ多幸感、鈴に込められたのび太との小さな絆。「未来のミュージアム」の弾むサウンドが博物館の空気と溶け合うラストは、爽快感に満ちた快作である。
No.34 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜
| 公開日 | 2014年3月8日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 35.8億円 |
| 監督 | 八鍬新之介 |
| 脚本 | 清水東 |
| 主題歌 | Kis-My-Ft2「光のシグナル」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | ペコ(小林ゆう)、サベール(小栗旬)、ブルスス(多田野曜平) |
【見どころ】
藤子・F・不二雄生誕80周年を記念した、1982年公開の第3作『大魔境』のリメイクである。旧作の骨格を忠実に継承しつつ、表情やアクションを丁寧に磨き直した正統派リメイクが見どころ。ジャイアンの責任感と仲間との絆という主題の解像度が大幅に上がり、八鍬新之介の監督デビュー作としても光る一本だ。
【あらすじ】
夏休み、のび太たちは秘境探検へ出発する。野良犬ペコの導きでアフリカ奥地のバウワンコ王国へたどり着くが、そこは独裁者ダブランダーに支配されていた。ペコは亡き王の息子・クンタック王子で、巨神像の謎を解き王国を取り戻す戦いが始まる。約束を守るために危険な道を選ぶジャイアンの男気が光る。
【レビュー】
「俺は約束を破らない」と振り向くジャイアンの背中に、何度観ても胸を熱くされる一本だ。バウワンコ王国の赤土の質感、巨神像の威圧感、夜の焚き火を囲む5人の表情。サベールが冷たく艶のある悪役として全編を引き締め、王道リメイクとしての完成度を底上げする。少年映画として満点の快作だ。
No.35 のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)
| 公開日 | 2015年3月7日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 39.3億円 |
| 監督 | 大杉宜弘 |
| 脚本 | 清水東 |
| 主題歌 | miwa「360°」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | アロン(井上麻里奈)、メーバ(観月ありさ)、イカーロス(市村正親) |
【見どころ】
映画ドラえもん35周年記念の完全オリジナル長編であり、第4期の掉尾を飾る王道ヒーロー活劇である。特撮ヒーロー映画の撮影をしていたのび太たちが本物の宇宙人と勘違いされ、銀河防衛隊として戦う構図が見どころ。あやとりや射撃などの個性を必殺技に昇華した活躍は、ヒーロー映画の楽しさを凝縮した一本だ。
【あらすじ】
バーガー監督というひみつ道具で特撮ヒーロー映画を撮影していたのび太たちの前に、ポックル星人のアロンが現れる。本物のヒーローと勘違いした彼らは、宇宙海賊団に支配されかけるポックル星へ連れ去られる。撮影と現実の境界が崩れた瞬間、5人は本物のヒーローとして星を守る覚悟を固めて立ち上がる。
【レビュー】
「本物のヒーローになってやる」と並び立つ5人の姿に、純粋な少年漫画の熱量が蘇る一本だ。あやとりで敵を絡め取るのび太、空気砲を構えるドラえもん、剛速球を投げるジャイアン。「360°」の伸びやかな歌声が銀河を駆ける場面に重なる瞬間、子供の頃のヒーロー願望が一気に解き放たれる快作だ。
第5期:個性派クリエイター起用期(2016〜2026)
2016年以降のドラえもん映画は、外部の個性派クリエイターを脚本に招き入れる新章へ突入する。
川村元気・辻村深月・古沢良太が藤子作品の世界観を新たに解釈し直し、『のび太の宝島』で興収53.7億円のシリーズ歴代1位を叩き出した。
星野源・Mr.Children・Official髭男dism・NiziU・Vaundy・あいみょん・sumikaなどJ-POPトップシーンの主題歌が並び、2026年『新・のび太の海底鬼岩城』ではシリーズ史上初の4D上映を実現した、現代の黄金期である。
No.36 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生
| 公開日 | 2016年3月5日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 41.2億円 |
| 監督 | 八鍬新之介 |
| 脚本 | 八鍬新之介 |
| 主題歌 | 山崎まさよし「空へ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | ククル(白石涼子)、ギガゾンビ(大塚芳忠)、ツチダマ(家中宏)、クラヤミ族(棚橋弘至/真壁刀義/小島よしお) |
【見どころ】
シリーズ屈指の傑作と名高い1989年版『のび太の日本誕生』を27年ぶりにリメイクした、第5期の幕開けにふさわしい一本である。家出をしたのび太たちが7万年前の日本に自分たちだけの国を作る高揚感はそのままに、ペガ・グリ・ドラコの絆や雪山遭難でのび太がラーメンを差し出す名場面が現代の絵で蘇る。新キャラ・クラヤミ族の追加と新日本ヶ島の建国シーンも見ものだ。
【あらすじ】
親や先生に叱られたのび太は、誰もいない場所で暮らしたいと家出を決意する。タイムマシンで人類のいない7万年前の日本へ向かい、新日本ヶ島を建国して楽園生活を始める仲間たち。そこへ時空を超えて流れ着いた原始人の少年ククルと出会う。彼の部族ヒカリ族を襲ったのは、歴史改変を企てる未来の犯罪者ギガゾンビだった。のび太は土偶兵士ツチダマとの戦いに身を投じる。
【レビュー】
新生ドラの絵で『日本誕生』が観られる、それだけで胸が熱くなる一本である。雪山でラーメンの湯気がのび太の頬を温める瞬間、当時の記憶が蘇った。ペガ・グリ・ドラコの絆、土偶兵士が迫る恐怖、ククルとの友情。世代を超えて受け継ぐべき名作だ。
2016年は新海誠監督『君の名は。』が興収250億円超の社会現象となり、邦画アニメの市場規模を一気に押し上げた年だ。
庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』も82億円超のヒットを記録し、邦画特撮とアニメが並んで新時代を切り拓いた。
スマホゲーム『ポケモンGO』が世界中で社会現象となり、街角のポケストップに大人が群がる光景が日常化。
コロコロコミックは40周年を迎え、SMAP解散の衝撃が日本中を駆け巡る一方、第36作の同時上映には『パーマン』短編が併映され、藤子・F・不二雄ワールドの厚みを再確認する春となった。
No.37 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険
| 公開日 | 2017年3月4日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 44.3億円 |
| 監督 | 高橋敦史 |
| 脚本 | 高橋敦史 |
| 主題歌 | 平井堅「僕の心をつくってよ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | カーラ(釘宮理恵)、ヒャッコイ博士(浪川大輔)、パオパオ(浅田舞/織田信成) |
【見どころ】
南極の氷の下に眠る10万年前の古代都市を舞台にした、第5期最初の完全オリジナル作品である。クトゥルフ神話的な神秘感を湛えた氷漬けの遺跡群と、偽ドラえもんが紛れ込む心理サスペンスの二段構えが見もの。アイスメイカーで作った氷山遊園地の開放感から、絶対零度の侵食世界へ転がり落ちる落差が、夏に冷気を運んでくれる涼しさを生む。
【あらすじ】
真夏の暑さに耐えかねて巨大な氷山で遊んでいたのび太たちは、10万年前に氷漬けになった謎のリングを発見する。持ち主を求めてタイムマシンで10万年前の南極へ飛ぶと、そこには栄華を誇る氷の都市があった。古代の少女カーラと出会ったのび太たちは、地球凍結を企む氷の怪物ブリザーガの存在を知る。封印された秘密を解き明かし、10万年の時を超えた友情を結ぶ冒険が始まる。
【レビュー】
偽ドラえもんに「本当に友達なら答えられるはず」と問われる場面で、観客全員が試される一本だ。氷漬け都市の幻想美とカーラ姫の凜とした強さに見惚れる。真夏に冷気を浴びる劇場体験、パオパオの愛らしさで全部許せる夏の名作である。
No.38 映画ドラえもん のび太の宝島
| 公開日 | 2018年3月3日(土) |
|---|---|
| 興行収入 | 53.7億円(シリーズ歴代1位) |
| 監督 | 今井一暁 |
| 脚本 | 川村元気 |
| 主題歌 | 星野源「ドラえもん」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | シルバー(大泉洋)、フロック(山下大輝)、セーラ(折笠富美子)、クイズ(悠木碧)、フィオナ(長澤まさみ) |
【見どころ】
スティーヴンソンの古典『宝島』を下敷きに、海賊船シルバー一家と「父と子」の和解を描く第5期の頂点である。星野源「ドラえもん」がCM起用も含めて国民的ヒットを記録し、子どもから大人まで口ずさんだ春の到来を象徴する一本だ。ノビタオーラ号の出航、しずかちゃん拉致、宝島の正体が時空海賊船と判明する三段ロケットのテンポ感が見ものとなる。
【あらすじ】
宝の地図を手にしたのび太は、ノビタオーラ号で南海の宝島を目指して出航する。海賊船の襲撃でしずかが連れ去られ、海から流れ着いた少年フロックと出会う。彼は海賊船船長シルバーの息子で、船から逃げ出してきたメカニックだった。宝島の正体は時空を超える巨大海賊船。シルバーは滅びゆく地球から新天地へ移る「ノアの方舟計画」を密かに進めていた。父の暴走を止めたい息子と、のび太の友情が交差する。
【レビュー】
シリーズ歴代1位の興収を打ち立てた一本。ドドドドドッドーラえもんと口ずさみながら劇場へ向かった人は数知れず。父シルバーが息子に語りかける終盤、自分の父や子の顔が重なり涙腺が崩壊した。痛快さと家族ドラマが両立した名作である。
No.39 映画ドラえもん のび太の月面探査記
| 公開日 | 2019年3月1日(金) |
|---|---|
| 興行収入 | 50.2億円 |
| 監督 | 八鍬新之介 |
| 脚本 | 辻村深月 |
| 主題歌 | 平井大「THE GIFT」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | ルカ(皆川純子)、ルナ(広瀬アリス)、ゴダート(柳楽優弥)、ディアボロ(吉田鋼太郎) |
【見どころ】
直木賞作家にしてコアなドラえもんファンを公言する辻村深月が脚本を手掛けた、文学的な深みで2年連続50億円超えを果たした傑作である。「異説クラブメンバーズバッジ」で月の裏側にウサギ王国を作る幼い空想を、超能力少年エスパルとの出会いへ繋げる構成が見もの。藤子作品への深い敬意が随所に込められた台詞回しと、想像力の意味を問う物語が同居する。
【あらすじ】
月面探査機が捉えた白い影を、のび太は「月のウサギだ」と主張して笑われる。ドラえもんの異説クラブメンバーズバッジで月の裏側にウサギ王国を作ったのび太は、不思議な転校生ルカを招待する。ルカの正体は月から来た超能力を持つエスパルだった。彼らを狙うディアボロ軍が地球と月の双方に魔の手を伸ばす中、のび太たちは友達を救うため月へ向かう。想像力こそが未来を切り拓く力だ。
【レビュー】
「想像力は、未来だ」の台詞に、思春期に握り潰した夢を思い出して泣いた一本である。ルカの儚さ、ルナの強さ、ゴダートが背負う責任が胸に染みる。空想を笑われても諦めない小さな勇気が、宇宙を救う巨大な力に変わる物語だ。
No.40 映画ドラえもん のび太の新恐竜
| 公開日 | 2020年8月7日(金)※コロナ延期 |
|---|---|
| 興行収入 | 33.5億円 |
| 監督 | 今井一暁 |
| 脚本 | 川村元気 |
| 主題歌 | Mr.Children「Birthday」「君と重ねたモノローグ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | キュー(遠藤綾)、ミュー(釘宮理恵)、ジル(木村拓哉)、ナタリー長官(渡辺直美) |
【見どころ】
ドラえもん連載開始50周年記念作品にして、第1作『のび太の恐竜』のリメイクではない完全新作の双子恐竜物語である。空を飛べないキューと自由に飛び回るミューの対比、6600万年前の白亜紀末で隕石衝突が迫る絶望的な状況下、のび太がキューに必死に飛び方を教える特訓シーンが見もの。終盤のサプライズ演出は往年のファンを驚喜させる仕掛けだ。
【あらすじ】
恐竜博の化石発掘体験で、のび太は奇妙な卵を見つける。孵った双子の恐竜キューとミューは新種だった。愛情深く育てるが、現代で生き続けるのは難しいと判断したのび太たちは、6600万年前の白亜紀へ2匹を連れていく。だが時代はまさに巨大隕石衝突の直前であり、空を飛べないキューを救うため、のび太は飛行特訓に挑む。歴史を変えるか、運命に従うか。進化の真実が明かされる。
【レビュー】
空を飛べない双子恐竜キューが、のび太と転がりながら羽を広げる練習シーンに、自分の不器用さが重なって泣けた。コロナ禍で公開が3月から8月に延期になり、夏休みに観た劇場の解放感が忘れられない。隕石が空を裂く絶望と、それでも諦めない小さな翼。50周年に相応しい、進化の物語である。
No.41 映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
| 公開日 | 2022年3月4日(金)※2021年から延期 |
|---|---|
| 興行収入 | 26.9億円 |
| 監督 | 山口晋 |
| 脚本 | 佐藤大 |
| 主題歌 | Official髭男dism「Universe」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | パピ(朴璐美)、ロコロコ(梶裕貴)、ピイナ(松岡茉優)、ギルモア(香川照之) |
【見どころ】
1985年版『のび太の宇宙小戦争』を37年ぶりに新解釈で蘇らせた、第5期のリメイク代表作である。コロナ禍で1年延期となったが、独裁者ギルモアに立ち向かう小さな大統領パピのドラマが、現代的な特撮セットの質感で蘇った。新キャラのピイナがパピの姉として加わり、姉弟の絆が物語に厚みを足す。スネ夫がプラモデル戦車に乗り込み勇気を振り絞る瞬間が最高だ。
【あらすじ】
のび太が拾った小さな宇宙人パピは、反乱軍から逃れてきたピリカ星の大統領だった。追ってきたドラコルル長官の攻撃でしずかちゃんが人質に取られ、パピは自ら投降する。スモールライトを奪われ元の大きさに戻れないままピリカ星へ乗り込んだのび太たちは、姉のピイナと再会したパピと共に独裁者ギルモアの軍と戦う。小さな身体でも、勇気と友情があれば独裁を倒せる。
【レビュー】
スネ夫が震える手で戦車に乗り込む場面で、弱者の覚悟が眩しくて目が潤んだ。パピとピイナの姉弟の絆、ロコロコのつぶらな瞳、ジャイアン入隊の熱量。1年の延期を経たからこそ刺さる、新時代の小戦争である。
No.42 映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)
| 公開日 | 2023年3月3日(金) |
|---|---|
| 興行収入 | 43.4億円 |
| 監督 | 堂山卓見 |
| 脚本 | 古沢良太 |
| 主題歌 | NiziU「Paradise」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | ソーニャ(永瀬廉)、マリンバ(井上麻里奈)、三賢人(山里亮太、藤本美貴) |
【見どころ】
『コンフィデンスマンJP』『リーガル・ハイ』の名手・古沢良太がオリジナル脚本を手掛けた、伏線回収の妙が光る一本である。空に浮かぶ三日月型の楽園パラダピアという舞台設定の美しさ、誰もが完璧になれる理想郷に隠された秘密、パーフェクトなネコ型ロボット・ソーニャとポンコツなドラえもんの対比が見もの。「らしさ」とは何かを問う大人向けの主題が静かに胸を刺す。
【あらすじ】
空に浮かぶ三日月型の島を見つけたのび太たちは、飛行船タイムツェッペリンで探索に出る。たどり着いたのは、誰もがパーフェクトになれる楽園パラダピアだった。完璧なネコ型ロボット・ソーニャと友情を育む一行だが、ジャイアンやスネ夫が個性を失っていく。三賢人が支配する楽園には恐ろしい秘密があった。のび太は「ダメなままでいい」と叫び立ち上がる。
【レビュー】
ジャイアンが優等生になりすぎてリサイタルを止める場面で、こちらまで肩の力が抜けて笑った。完璧でないから愛される、というドラえもん哲学を空中楽園で描き切った傑作だ。ソーニャの美しさとドラえもんのポンコツさ、両方愛しい。1年延期を経て届いた春の温度が忘れられない一本である。
No.43 映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)
| 公開日 | 2024年3月1日(金) |
|---|---|
| 興行収入 | 43.1億円 |
| 監督 | 今井一暁 |
| 脚本 | 内海照子 |
| 主題歌 | Vaundy「タイムパラドックス」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | ミッカ(平野莉亜菜)、チャペック(菊池こころ)、ミーナ(芳根京子)、マエストロヴェント(吉川晃司) |
【見どころ】
藤子・F・不二雄生誕90周年記念作品にして、シリーズ初の本格音楽テーマ作である。地球から音楽が消える危機に、のび太がリコーダー、しずかがボンゴ、ジャイアンが歌、スネ夫がトランペット、ドラえもんがマトリョーシカで挑む合奏シーンが圧巻。Vaundy「タイムパラドックス」の主題歌が物語の起伏と完全にシンクロし、音楽の楽しさを身体で感じる劇場体験を生み出した。
【あらすじ】
学校の音楽会に向けてリコーダーを練習していたのび太は、不思議な少女ミッカと出会う。彼女は音楽がエネルギーになる惑星ムシーカからやってきた使者だった。のび太たちの演奏を気に入ったミッカは、彼らを音楽の殿堂ファーレへ招く。しかし音楽を消し去る不気味な生命体ノイズが地球に迫っていた。ドラえもんたちは滅びかけた殿堂を蘇らせ、心を一つにシンフォニーを奏でて地球を救う。
【レビュー】
リコーダー下手なのび太が一音を絞り出す瞬間に、音楽の授業の記憶が蘇って胸が震えた。不揃いな5人の音が一つの旋律になる終盤、合奏とは赦し合うことだと教えられる。主題歌「タイムパラドックス」が劇伴と溶け合う多幸感、優しい魔法のような一本だ。
No.44 映画ドラえもん のび太の絵世界物語
| 公開日 | 2025年3月7日(金) |
|---|---|
| 興行収入 | 46.1億円 |
| 監督 | 寺本幸代 |
| 脚本 | 伊藤公志 |
| 主題歌 | あいみょん「スケッチ」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | パル(鈴鹿央士)、クレア/マイロほか |
【見どころ】
映画45周年記念作品にして、寺本幸代監督が『ひみつ道具博物館』以来12年ぶりにメガホンを取った絵画ファンタジーの完全オリジナル作である。中世ヨーロッパ風の絵本世界アートリアを舞台に、絵筆を武器にして無色の呪いと戦う構図が見もの。あいみょん「スケッチ」が淡い水彩のタッチと溶け合い、絵が描けないのび太が筆を握る震えと勇気が、観客の手に伝わってくる。
【あらすじ】
古い絵本を見つけたのび太は、その中に広がる絵画の世界へ吸い込まれる。たどり着いたアートリアは、絵筆ひとつで世界が描かれる王国だった。クレア王女と画家の息子マイロを巻き込み、無色の呪いが大地を覆う。失われた青「アートリアブルー」を取り戻す旅へ、のび太たちが踏み出す。最後に立ちはだかるのは、世界を白紙に戻そうとする悪魔イゼールだった。
【レビュー】
絵が描けないのび太がクレアの筆を握る瞬間、図工で何度も丸めた画用紙を思い出して泣いた。色を失った世界を一筆ずつ取り戻す旅の優しさ、主題歌「スケッチ」の水彩のような余韻。「ヘタでも描いていい」と背中を押す温かい一本である。
No.45 映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城
| 公開日 | 2026年2月27日 |
|---|---|
| 興行収入 | 公開中(週末動員ランキング連続首位記録更新中) |
| 監督 | 矢嶋哲生(劇場版初) |
| 脚本 | 村山功(劇場版初) |
| 主題歌 | sumika「Honto」 |
| メイン声優 | ドラえもん(水田わさび)、のび太(大原めぐみ)、しずか(かかずゆみ)、ジャイアン(木村昴)、スネ夫(関智一) |
| ゲスト声優 | バギー(千葉翔也)、エル(広橋涼)、平愛梨、アルコ&ピース(平子祐希・酒井健太) |
【見どころ】
1983年版を43年ぶりに新解釈で蘇らせた、シリーズ史上初の4D上映実現作である。テキオー灯・水中バギー・ムー連邦・ポセイドンの旧作の名要素を継承しつつ、AI搭載で会話できる新生バギー、地球を破壊する鬼角弾という新解釈が見もの。MX4D・4DX・ドルビーアトモスで深海の臨場感が劇場を揺らす。
【あらすじ】
夏休みのキャンプ先を山か海かで揉めるのび太たち。テキオー灯を手にしたドラえもんの提案で、海底キャンプという前代未聞の答えへ向かう。AIで会話できる水中バギーと出会い、深海散歩を満喫する一行は、マリアナ海溝のムー連邦の存在を知る。鬼岩城を統べる人工知能ポセイドンと滅びたアトランチスの鬼角弾が、旧悪として目覚めていく。
【レビュー】
43年前にテキオー灯と水中バギーに夢中になった少年が、いま4Dの水しぶきを浴びている。バギーがしずかを命がけで守る場面で、子どもの頃の涙がそのまま戻った。AIになったバギーの「ココロ」を巡る新解釈、ポセイドンの不気味な威厳。世代をまたぐ宝箱だ。
おすすめ名作ランキングTOP3
全45作品の中から、世代を超えて語り継がれる3本を厳選した。あらすじだけでは伝わらない名場面の深掘りを、熱量を込めて語っていく(※ネタバレ含む)。
第1位|歴代興収53.7億円の金字塔・川村元気脚本『のび太の宝島』
1位はNo.38 のび太の宝島(2018)。本作の魅力は、シリーズ初の本格海賊冒険ロマンを大スケールで描き切った構成にある。
宝島を巡る財宝探しに見せかけて、その正体は「人類を救うため父子が選んだ究極の選択」という重層的な物語が走り出す宝島の真実。
シルバー船長と亡き妻フィオナの遺志、息子フロックとの父子和解が明かされる中盤の急展開で、観客の感情が一気に持っていかれる。
クライマックスでのび太がセーラを救うため宇宙空間に飛び出す決断、そして星野源「ドラえもん」がエンドロールに流れた瞬間の祝祭感は、何度観ても胸が熱くなる名場面だ。
普段は弱虫なのび太が、たった一人でも誰かを守ろうとする勇気を絞り出す。シリーズの原点である「のび太の成長」が、令和最大のスケールで描き直された一本である。
第2位|リルル&ジュドの友情で号泣必至『のび太と鉄人兵団』
2位はNo.7 のび太と鉄人兵団(1986)。本作の見どころは、敵だったメカの少女リルルが、しずかちゃんとの交流を経て自らの存在意義に気づき、メカトピアの過去へ消えていく結末である。
鏡面世界という舞台設定の独創性、ザンダクロスを巡る少年たちの工作の高揚感、ジュドとリルルの宇宙的な祈り。
「鉄も涙を流すんだ」という台詞に込められた藤子・F・不二雄の哲学が、子供心にも生涯忘れられない傷として残る。
しずかちゃんが裸足のまま雪原を駆けるラストシーン、リルルの小さな手が空に消えていく瞬間の静謐さは、シリーズ屈指の作画美と語り継がれる名場面だ。
2011年の水田ドラ版リメイクでは結末がさらに丁寧に補強されたが、原典である本作のシンプルな物悲しさは唯一無二である。
シリーズで「最も泣ける作品」を尋ねれば必ず上位に挙がる、感動の代名詞だ。
第3位|水中ホラーの金字塔・2026年リメイクの原典『のび太の海底鬼岩城』
3位はNo.4 のび太の海底鬼岩城(1983)。本作の最大の魅力は、テキオー灯と水中バギーで深海へ潜るワクワクと、海底人ムー連邦・アトランティスの暗黒面が同居する独特の温度差にある。
超兵器ポセイドンが起動する終盤の絶望感、そして自我を持った水中バギーが核兵器を抱えて散る自己犠牲のラスト。
「機械にも心はあるのか」という重いテーマを、子供向けの春休み映画にこっそり忍ばせた藤子・F・不二雄の凄みが光る。
深海の美しさと闇、アトランティスの遺跡、無音で迫り来る恐怖の演出は、シリーズで最も「怖くて美しい」一本として今も語り継がれている。
2026年に43年ぶりリメイクされた原典としても、改めて押さえる価値が高い必修作だ。
ドラえもん映画はこの順番で見るのがおすすめ
46年で全45作の長大シリーズ、全部観る時間はないが押さえておきたい読者のため、切り口別の厳選ルートを3つ提示する。
ハマったルートから派生で他作品へ手を広げてもらえれば、自然とコンプリートへの道が開ける。
ルートA:初見・ライトファン向け「話題作セレクトルート」
No.38 のび太の宝島(2018)→ No.39 のび太の月面探査記(2019)→ No.45 新・のび太の海底鬼岩城(2026)→ No.43 のび太の地球交響楽(2024)→ STAND BY ME ドラえもん(2014)
この5本は近年シリーズの評価が常に上位に来る話題作で、初見でも内容を掴みやすい単発完結の構成だ。
宝島で川村元気脚本の海洋冒険ロマン、月面探査記で辻村深月脚本の宇宙SF、新・海底鬼岩城で2026年最新リメイクの深海冒険、地球交響楽で音楽テーマの感動作、STAND BY ME ドラえもんで山崎貴監督の3DCG泣ける劇場体験を一気に押さえられる。
令和の春休み映画として進化を続けるドラえもんの現在地を、短期間で理解できる導線である。
ルートB:藤子・F・不二雄遺作セレクト「コアファン向けルート」
No.1 のび太の恐竜(1980)→ No.7 のび太と鉄人兵団(1986)→ No.10 のび太の日本誕生(1989)→ No.13 のび太と雲の王国(1992)→ No.16 のび太の創世日記(1995)
藤子・F・不二雄が脚本を手掛けた大長編シリーズの中から、シリーズの哲学が結晶した5本を厳選した。
恐竜でシリーズの原点となるピー助と少年たちの友情、鉄人兵団でリルル&ジュドの宇宙的祈り、日本誕生で第1期集大成のスケール、雲の王国で環境問題に切り込む社会派路線、創世日記で藤子F本人最後の劇場関与作となった進化テーマを順に体感できる。
原作者の世界観に深く触れたい読者にとって、必修の系譜である。
ルートC:恐竜・タイムトラベル系統セレクト「テーマ別ルート」
No.1 のび太の恐竜(1980)→ No.26 のび太の恐竜2006(2006)→ No.40 のび太の新恐竜(2020)→ No.36 新・のび太の日本誕生(2016)→ No.16 のび太の創世日記(1995)
恐竜と時間旅行という、ドラえもん映画を象徴する2大テーマで5本を縦断するルートだ。
1980年版恐竜でシリーズの原点、恐竜2006で水田ドラ第1作の現代作画リメイク、新恐竜で40周年記念作の双子・キュー&ミューの物語、新・日本誕生でクラヤミ族との縄文冒険、創世日記で生命進化を俯瞰する宇宙的視点。
同じ題材を時代ごとに描き直しながら、シリーズが何を継承し何を更新してきたのかが浮かび上がる、テーマ研究派にぴったりの順路である。
質問(FAQ)コーナー
ドラえもん映画46年の歴史を深掘りする、マニアック度の高いQ&Aを5問用意した。
公式情報と劇中描写をベースに、ファンがつい誰かに話したくなる事実を厳選している。
Q1. 大山のぶ代版と水田わさび版、何が変わった?
2005年4月にTVシリーズで声優総入替が実施され、大山のぶ代(ドラえもん)/小原乃梨子(のび太)/たてかべ和也(ジャイアン)/肝付兼太(スネ夫)/野村道子(しずか)から、水田わさび/大原めぐみ/木村昴/関智一/かかずゆみへバトンタッチした。
劇場版では2004年『ワンニャン時空伝』が大山版ラスト、2006年『のび太の恐竜2006』が水田版第1作で、初代の重厚な味わいから、現代的でテンポの良い軽やかな掛け合いへとリニューアルされている。
作画もデジタル化で線が整理され、色彩設計も明るく刷新された。第1作のリメイクから始める判断が、26年の世代交代を見事に成立させたターニングポイントである。
Q2. のび太の恐竜(1980)と恐竜2006、新恐竜(2020)の違いは?
恐竜をテーマにした3作はそれぞれ性格が大きく異なる。
1980年『のび太の恐竜』はシリーズ第1作で、のび太が育てたフタバスズキリュウのピー助を白亜紀に帰す王道の友情物語である。
2006年『のび太の恐竜2006』は、新生・水田わさび版の第1作として、原作と1980年版を踏まえつつ渡辺歩監督が現代作画でリメイクし、ピー助との別れを丁寧に再構築した。
2020年『のび太の新恐竜』はシリーズ40周年記念のオリジナル新作で、双子の新種恐竜キュー&ミューを軸に「進化と血筋」を描いた完全新作である。
同じ恐竜題材でも、第1作の原点・リメイクの最適化・40周年新作という3つの異なる切り口を順に味わえる。
Q3. シリーズで最も泣ける名作は?
「シリーズで最も泣ける」と語り継がれるのは、1986年『のび太と鉄人兵団』である。
敵だったメカの少女リルルが、しずかちゃんとの交流を通じて自分の存在に揺らぎ、メカトピアの過去へ消えていく結末は、子供心にも一生忘れられない傷を残す名場面だ。
2011年水田版リメイク『新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ天使たち〜』ではジュドの結末がさらに丁寧に補強され、世代を超えて涙腺を直撃する。
他にも『のび太の海底鬼岩城』のバギー自爆、『STAND BY ME ドラえもん』のさよなら、『のび太の宝島』のシルバー船長と亡き妻フィオナの遺志、息子フロックとの父子和解など、各時代に「泣ける名作」が存在するのもシリーズの厚みである。
Q4. 「藤子・F・不二雄」最後の関与作はどれ?
藤子・F・不二雄が原作・脚本に直接関わった最後の劇場版は、1995年『のび太の創世日記』である。
翌1996年『のび太と銀河超特急』も生前に執筆された大長編原作が映画化されており、藤子F本人が脚本を手掛けた最終作にあたる。
1996年9月23日に藤子・F・不二雄が逝去した後、1997年『のび太のねじ巻き都市冒険記』は遺稿補筆で完成され、これが藤子F原作のオリジナル大長編シリーズとしての事実上の最終作となった。
翌1998年『のび太の南海大冒険』からは岸間信明によるオリジナル脚本期へ移行し、シリーズは新たなフェーズへ入っていく。
Q5. のび太の海底鬼岩城(1983)と新・のび太の海底鬼岩城(2026)の違いは?
1983年版『のび太の海底鬼岩城』は、藤子・F・不二雄が深海の暗黒面と機械の心を描いた、シリーズ屈指の異色作である。
テキオー灯・水中バギー・ムー連邦・ポセイドンといった名要素は、43年経った今も色褪せない発明品として語り継がれている。
2026年版『新・のび太の海底鬼岩城』は、43年ぶりのリメイクとして矢嶋哲生監督・村山功脚本で再構築され、シリーズ初の4D上映を実装した話題作だ。
原典と最新版を続けて観れば、シリーズが時代と共に何を残し何を更新したのかが鮮明に浮かび上がる。
歴代主題歌・テーマ曲一覧
ドラえもん劇場版45作の主題歌を公開順で一覧化した。各作品名から個別解説へジャンプできる。
| No | 作品(公開年) | 楽曲 | アーティスト |
|---|---|---|---|
| 1 | のび太の恐竜(1980) | ポケットの中に | 大山のぶ代 |
| 2 | のび太の宇宙開拓史(1981) | 心をゆらして | 岩渕まこと |
| 3 | のび太の大魔境(1982) | だからみんなで | 岩渕まこと |
| 4 | のび太の海底鬼岩城(1983) | 海はぼくらと | 岩渕まこと |
| 5 | のび太の魔界大冒険(1984) | 風のマジカル | 小泉今日子 |
| 6 | のび太の宇宙小戦争(1985) | 少年期 | 武田鉄矢 |
| 7 | のび太と鉄人兵団(1986) | わたしが不思議 | 大杉久美子 |
| 8 | のび太と竜の騎士(1987) | 友達だから | 大山のぶ代 |
| 9 | のび太のパラレル西遊記(1988) | 君がいるから | 堀江美都子・こおろぎ'73 |
| 10 | のび太の日本誕生(1989) | 時の旅人 | 西田敏行 |
| 11 | のび太とアニマル惑星(1990) | 天までとどけ | 武田鉄矢 |
| 12 | のび太のドラビアンナイト(1991) | 夢のゆくえ | 白鳥英美子 |
| 13 | のび太と雲の王国(1992) | 雲がゆくのは… | 武田鉄矢 |
| 14 | のび太とブリキの迷宮(1993) | 何かいい事きっとある | 島崎和歌子 |
| 15 | のび太と夢幻三剣士(1994) | 世界はグー・チョキ・パー | 武田鉄矢一座 |
| 16 | のび太の創世日記(1995) | さよならにさよなら | 海援隊 |
| 17 | のび太と銀河超特急(1996) | 私のなかの銀河 | 海援隊 |
| 18 | のび太のねじ巻き都市冒険記(1997) | Love is you | 矢沢永吉 |
| 19 | のび太の南海大冒険(1998) | ホットミルク | 吉川ひなの |
| 20 | のび太の宇宙漂流記(1999) | 季節がいく時 | SPEED |
| 21 | のび太の太陽王伝説(2000) | この星のどこかで | 由紀さおり・安田祥子 |
| 22 | のび太と翼の勇者たち(2001) | Love you close | 知念里奈 |
| 23 | のび太とロボット王国(2002) | いっしょに歩こう | KONISHIKI |
| 24 | のび太とふしぎ風使い(2003) | またあえる日まで | ゆず |
| 25 | のび太のワンニャン時空伝(2004) | YUME日和 | 島谷ひとみ |
| 26 | のび太の恐竜2006(2006) | ボクノート | スキマスイッチ |
| 27 | のび太の新魔界大冒険(2007) | かけがえのない詩 | mihimaru GT |
| 28 | のび太と緑の巨人伝(2008) | 手をつなごう | 絢香 |
| 29 | 新・のび太の宇宙開拓史(2009) | 大切にするよ | 柴咲コウ |
| 30 | のび太の人魚大海戦(2010) | 帰る場所 | 青山テルマ |
| 31 | 新・のび太と鉄人兵団(2011) | 友達の唄 | BUMP OF CHICKEN |
| 32 | のび太と奇跡の島(2012) | 生きてる生きてく | 福山雅治 |
| 33 | のび太のひみつ道具博物館(2013) | 未来のミュージアム | Perfume |
| 34 | 新・のび太の大魔境(2014) | 光のシグナル | Kis-My-Ft2 |
| 35 | のび太の宇宙英雄記(2015) | 360° | miwa |
| 36 | 新・のび太の日本誕生(2016) | 空へ | 山崎まさよし |
| 37 | のび太の南極カチコチ大冒険(2017) | 僕の心をつくってよ | 平井堅 |
| 38 | のび太の宝島(2018) | ドラえもん | 星野源 |
| 39 | のび太の月面探査記(2019) | THE GIFT | 平井大 |
| 40 | のび太の新恐竜(2020) | Birthday/君と重ねたモノローグ | Mr.Children |
| 41 | のび太の宇宙小戦争 2021(2022) | Universe | Official髭男dism |
| 42 | のび太と空の理想郷(2023) | Paradise | NiziU |
| 43 | のび太の地球交響楽(2024) | タイムパラドックス | Vaundy |
| 44 | のび太の絵世界物語(2025) | スケッチ | あいみょん |
| 45 | 新・のび太の海底鬼岩城(2026) | Honto | sumika |
主題歌の系譜を辿ると、大山ドラ期(1980〜2004)は岩渕まこと・大杉久美子・武田鉄矢・西田敏行ら作品テーマと密接に結びついた歌い手が中心で、宇宙小戦争の「少年期」、日本誕生の「時の旅人」、雲の王国の「雲がゆくのは…」など、作品世界をそのまま歌い上げる名曲が数多く生まれた。
2000年代に入るとSPEED・知念里奈・KONISHIKI・ゆず・島谷ひとみら主題歌アーティストが声優を兼任する流行が定着し、楽曲とキャラが一体化した独自の文化が育った。
水田ドラ期(2006〜)は邦楽トップシーンの総動員フェーズに入る。
スキマスイッチ「ボクノート」で口火を切り、絢香・柴咲コウ・福山雅治・Perfume・BUMP OF CHICKEN・Kis-My-Ft2など各時代の最前線アーティストが続々参戦した。
ターニングポイントは2018年『宝島』の星野源「ドラえもん」で、テレビCMでも国民的に流れたこの主題歌が、興収53.7億円という歴代1位記録の追い風となり、シリーズの社会現象化を音楽面から牽引した。
以降はMr.Children「Birthday」、Official髭男dism「Universe」、NiziU「Paradise」、Vaundy「タイムパラドックス」、あいみょん「スケッチ」、sumika「Honto」とJ-POP重量級のラインナップが続き、興収40億円台維持の黄金期を音楽面でも支え続けている。
全作品の公開日・興行収入一覧
本シリーズの全45作品を公開順で一覧化した。各タイトルをタップで詳細解説へジャンプできる。
※No.1〜25は配給収入、No.26以降は興行収入で記載。
| No | 公開日 | タイトル | 興行収入 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1980/3/15 | のび太の恐竜 | 15.5億円 |
| 2 | 1981/3/14 | のび太の宇宙開拓史 | 17.5億円 |
| 3 | 1982/3/13 | のび太の大魔境 | 12.2億円 |
| 4 | 1983/3/12 | のび太の海底鬼岩城 | 10.0億円 |
| 5 | 1984/3/17 | のび太の魔界大冒険 | 16.5億円 |
| 6 | 1985/3/16 | のび太の宇宙小戦争 | 12.0億円 |
| 7 | 1986/3/15 | のび太と鉄人兵団 | 13.0億円 |
| 8 | 1987/3/14 | のび太と竜の騎士 | 15.0億円 |
| 9 | 1988/3/12 | のび太のパラレル西遊記 | 13.6億円 |
| 10 | 1989/3/11 | のび太の日本誕生 | 20.2億円 |
| 11 | 1990/3/10 | のび太とアニマル惑星 | 19.1億円 |
| 12 | 1991/3/9 | のび太のドラビアンナイト | 18.0億円 |
| 13 | 1992/3/7 | のび太と雲の王国 | 16.8億円 |
| 14 | 1993/3/6 | のび太とブリキの迷宮 | 16.5億円 |
| 15 | 1994/3/12 | のび太と夢幻三剣士 | 13.5億円 |
| 16 | 1995/3/4 | のび太の創世日記 | 13.0億円 |
| 17 | 1996/3/2 | のび太と銀河超特急 | 16.0億円 |
| 18 | 1997/3/8 | のび太のねじ巻き都市冒険記 | 20.0億円 |
| 19 | 1998/3/7 | のび太の南海大冒険 | 21.0億円 |
| 20 | 1999/3/6 | のび太の宇宙漂流記 | 20.0億円 |
| 21 | 2000/3/11 | のび太の太陽王伝説 | 30.5億円 |
| 22 | 2001/3/10 | のび太と翼の勇者たち | 30.0億円 |
| 23 | 2002/3/9 | のび太とロボット王国 | 23.1億円 |
| 24 | 2003/3/8 | のび太とふしぎ風使い | 25.4億円 |
| 25 | 2004/3/6 | のび太のワンニャン時空伝 | 30.5億円 |
| 26 | 2006/3/4 | のび太の恐竜2006 | 32.8億円 |
| 27 | 2007/3/10 | のび太の新魔界大冒険 | 35.4億円 |
| 28 | 2008/3/8 | のび太と緑の巨人伝 | 33.7億円 |
| 29 | 2009/3/7 | 新・のび太の宇宙開拓史 | 24.5億円 |
| 30 | 2010/3/6 | のび太の人魚大海戦 | 31.6億円 |
| 31 | 2011/3/5 | 新・のび太と鉄人兵団 | 24.6億円 |
| 32 | 2012/3/3 | のび太と奇跡の島 | 36.2億円 |
| 33 | 2013/3/9 | のび太のひみつ道具博物館 | 39.8億円 |
| 34 | 2014/3/8 | 新・のび太の大魔境 | 35.8億円 |
| 35 | 2015/3/7 | のび太の宇宙英雄記 | 39.3億円 |
| 36 | 2016/3/5 | 新・のび太の日本誕生 | 41.2億円 |
| 37 | 2017/3/4 | のび太の南極カチコチ大冒険 | 44.3億円 |
| 38 | 2018/3/3 | のび太の宝島 | 53.7億円 |
| 39 | 2019/3/1 | のび太の月面探査記 | 50.2億円 |
| 40 | 2020/8/7 | のび太の新恐竜 | 33.5億円 |
| 41 | 2022/3/4 | のび太の宇宙小戦争 2021 | 26.9億円 |
| 42 | 2023/3/3 | のび太と空の理想郷 | 43.4億円 |
| 43 | 2024/3/1 | のび太の地球交響楽 | 43.1億円 |
| 44 | 2025/3/7 | のび太の絵世界物語 | 46.1億円 |
| 45 | 2026/2/27 | 新・のび太の海底鬼岩城 | 公開中 |
関連作品
劇場版シリーズ45作の外側にも、ドラえもんファンが押さえておきたい関連作が存在する。本編鑑賞に慣れた後でこそ刺さる「裏ラインナップ」を整理した。
いずれも本編とは別系統で楽しめる作品群であり、コレクター視点で押さえる価値が高い。
STAND BY ME ドラえもん(2014)
山崎貴・八木竜一監督による、ドラえもん初の3DCG長編映画である。
原作短編「ぼくの生まれた日」「未来の国からはるばると」「プロポーズ大作戦」「のび太の結婚前夜」「さようならドラえもん」など7エピソードを再構成し、ドラえもんとのび太の出会いから別れ、そして再会までを一本の物語として描き直した。
主題歌は秦基博「ひまわりの約束」で、興行収入83.8億円という番外編実質歴代最高記録を打ち立てた。
春休み大長編とは別系統の「大人が泣ける」ドラえもん像を確立し、世代を超えた新規ファンを大量に劇場へ呼び込んだ画期的な一本である。
STAND BY ME ドラえもん 2(2020)
2014年の3DCG版第1作の続編にあたる劇場版である。
原作短編「おばあちゃんのおもいで」「のび太の結婚前夜」を軸に、大人になったのび太としずかちゃんの結婚式当日を描いた感動作で、ばあちゃんとの再会、そして結婚式直前のしずかちゃんに父・源蔵が語る言葉が観客の涙腺を直撃した。
主題歌は菅田将暉「虹」で、興行収入は27.8億円を記録。コロナ禍真っ只中での公開ながら、家族で観たい映画として高い支持を集めた。
前作の余韻を受け継ぎながら、のび太の結婚という人生の節目に正面から踏み込んだ意欲作だ。
THE☆ドラえもんズ ザ・ムービー シリーズ(1995〜2002)
『月刊コロコロコミック』発の派生キャラ群で、ドラ・ザ・キッド(西部劇)、エル・マタドーラ(スペイン闘牛士)、ドラリーニョ(サンバ)、ドラニコフ(ロシア)、ドラメッド三世(アラビア)、ワン・ドラ(中国)、ドラえもん(日本)の7体のロボット親友が世界各地から集結する。
春休み大長編と同時上映された短編シリーズ『THE☆ドラえもんズ』は1995年から2002年まで断続的に展開され、当時の劇場体験を象徴するノスタルジー要素となった。
本編とは異なる軽快な冒険活劇のテイストで、子供たちが映画館で受け取る「もう一本のお土産」として愛された存在である。
春休み大長編を観終わった後の高揚感を倍増させた、当時の劇場文化を語る上で外せない関連作だ。
まとめ
『のび太の恐竜』から始まった46年・全45作の大冒険の歴史。
昭和・平成・令和と時代が変わっても、ドラえもんとのび太が教えてくれる「勇気」と「友情」の尊さは変わらない。藤子・F・不二雄の哲学が結晶した黄金期、原作不在の中で挑戦を続けたオリジナル脚本期、声優総入替を経て名作リメイクと完全新作を両立させた水田ドラ前期、そして川村元気・辻村深月・古沢良太ら個性派クリエイターを起用して興収53.7億円の到達点を刻んだ近年期。
それぞれの時代に、それぞれの春休み映画として、子供たちの記憶に勇気の種を蒔き続けてきた。
親から子へ、子から孫へ受け継がれるこの素晴らしいバトンは、これからも春の訪れと共に、私たちの心に夢の花を咲かせ続けてくれるはずだ。
2026年の『新・のび太の海底鬼岩城』が証明したように、過去の名作は時代と共に新たな顔を見せ、シリーズ全体の物語はまだまだ続いていく。













































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