歴代作品|エンタメ文化史研究所

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歴代一覧|映画【名探偵コナン】全作を時系列で解説

この記事で分かる3つのこと
・1997年『時計じかけの摩天楼』から2026年最新作まで全29作を公開順で網羅
・初心者向け『話題作ルート』とコア向け『時系列ルート』を提示
・3つの時代区分・看板キャラ変遷・歴代主題歌の系譜を一気に把握

緻密な推理劇に、ハリウッド映画顔負けの派手なアクションが融合するのが劇場版コナンの最大の特徴だ。高層ビル爆破や巨大施設崩壊の規格外スケールで描かれる絶体絶命のピンチに、コナンが仲間と挑む。

サスペンス・ラブコメ・キャラ同士の熱い信頼が凝縮された作品群は、春休みの風物詩であるドラえもん映画と並び、ゴールデンウィークの国民的行事として日本映画史にその名を刻み続けている。

シリーズ基礎データ
青山剛昌による『週刊少年サンデー』(1994年連載開始・累計2.6億部超)原作の国民的推理漫画。謎の組織に小学生の姿にされた高校生探偵・工藤新一が「江戸川コナン」として難事件に挑む。
劇場版は1997年から2026年最新作まで全29作を数え(制作:トムス・エンタテインメント/配給:東宝)、国内累計興行収入は約1,000億円規模を誇る。
最高記録は第27作『100万ドルの五稜星』(158.8億円)。3年連続100億円超えを達成し、GW映画の定番として日本映画界を牽引している。

第1期:本格ミステリー期(1997-2003)

TVアニメ監督も務めたこだま兼嗣監督が指揮を執った初期7作(1997〜2003)を指す。
本格ミステリー構成と、蘭と新一の恋愛ドラマに重きが置かれているのが最大の特徴だ。CG技術が発展途上のため、派手な爆発より「トリックの緻密さ」と「犯人との心理戦」で魅せる演出が際立つ。
興行収入は11〜34億円規模と現在より控えめだが、ファンの間では「脚本の完成度が最も高い神時代」として神格化されている。

バンカー荒木 バンカー荒木
初期はCGこそ少ないが、『命がけのロマンス』と『トリックの密度』が凄まじかったんだ!赤と青のコードを切るシーン…あの緊張感は今見ても鳥肌が立つぜ!
ロジック中田 ロジック中田
データを見ても、この時期の作品はレビューサイトでの評価平均点が非常に高い傾向にあります。予算の制約を脚本力でカバーしていた時代と言えますね。
ポップ結衣 ポップ結衣
私は『蘭姉ちゃんの強さ』が、まだ人間レベルだった頃なので安心感があります。新一くんとのすれ違いドラマも、この頃が一番切なくて好きですね。

 

No.1 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼

公開日 1997年4月19日(土)
興行収入 11.0億円
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
主題歌 杏子「Happy Birthday」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、工藤新一(山口勝平)、阿笠博士(緒方賢一)、目暮警部(茶風林)、吉田歩美(岩居由希子)
ゲスト声優 2丁拳銃(小堀裕之、川谷修士):電車の乗客など

【見どころ】
シリーズ記念すべき劇場版第1作であり、爆弾魔・森谷帝二の挑戦状にコナンが挑む王道サスペンスである。建築・爆破・タイムリミットの三要素を融合させた構成と、クライマックスで赤か青の導線を選ぶ究極の二択が見どころ。新一だけが知る「蘭の好きな色」という記憶が鍵となる演出が秀逸だ。

【あらすじ】
建築家・森谷帝二が「芸術的な建造物を爆破する」と犯行声明を出し、東京都心で連続爆破事件が発生する。森谷の作品を高く評価していた新一は挑戦状を突きつけられた形で捜査に加わる。やがて爆弾を仕掛けられたビルに蘭が取り残され、コナンは起爆を止めるために導線を切る選択を迫られる。

【レビュー】
原点にして頂点。クライマックス、赤か青かを蘭の好きな色に賭けるあの瞬間、新一だけが知る記憶が二人の絆を証明する演出に胸が震えた。リボンに巻かれた爆弾と、雨上がりの屋上に響くキスシーン。シリーズ全ての物語はここから始まったのだと噛みしめたくなる傑作である。

1997年の時代背景(エンタメ事情)

1997年は日本のエンタメ史における「特異点」と呼べる奇跡の年だ。映画では『もののけ姫』が当時の邦画記録を塗り替え、夏には『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』が社会現象化、年末には『タイタニック』が公開され映画館がかつてない熱気に包まれた。(海外に目を向ければ、世界初のフルCG長編アニメである『トイ・ストーリー』が映像革命を起こし始めていた時期でもある)
ゲーム業界は『ファイナルファンタジーVII』がPlayStationの普及を加速、TVアニメ『ポケットモンスター』の放送開始や「たまごっち」ブームも最高潮。
音楽もCDバブル絶頂期でGLAY・安室奈美恵がミリオンを連発した。消費税増税や山一證券破綻の暗いニュースを吹き飛ばす圧倒的なエンタメエネルギーが渦巻いていた時代である。

No.2 名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)

公開日 1998年4月18日(土)
興行収入 18.5億円
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
主題歌 ZARD「少女の頃に戻ったみたいに」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、妃英理(高島雅羅)、目暮警部(茶風林)、阿笠博士(緒方賢一)、円谷光彦(大谷育江)
ゲスト声優 海原やすよ・ともこ(海原やすよ、海原ともこ):辻弘樹の彼女役など

【見どころ】
毛利小五郎の周辺人物が、名前にトランプの数字が含まれる順で次々と襲われる連続事件を描いた第2作である。小五郎と英理という別居中の夫婦関係に正面から切り込んだドラマ性と、クライマックスのアクアクリスタル海洋娯楽施設での大規模火災パニック演出が本作最大の見どころだ。

【あらすじ】
毛利小五郎の周囲で、名前に数字を持つ人物が「13」から順に襲撃される連続事件が起こる。標的には妃英理、目暮警部、阿笠博士らも含まれており、小五郎自身の過去の射撃事件が背景に潜んでいた。犯人は自身を14番目のジョーカーに見立てて犯行を組み立てており、舞台はアクアクリスタル海洋娯楽施設での大規模火災へ突入する。

【レビュー】
トランプの数字に沿って標的が絞られる仕掛けが鮮やかで、推理小説好きの心を直撃する一本だ。何より熱いのは、別居中の小五郎と英理が娘・蘭のために動き出す不器用な家族劇である。クズに見えて妻を守る小五郎の背中、英理の冷たく潤む眼差し。毛利家の根っこを覗ける貴重な一作だ。

 

No.3 名探偵コナン 世紀末の魔術師

公開日 1999年4月17日(土)
興行収入 26.0億円
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
主題歌 B'z「ONE」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、怪盗キッド(山口勝平)、服部平次(堀川りょう)、遠山和葉(宮村優子)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
怪盗キッドが劇場版に本格参戦し、服部平次も劇場版初登場を果たした記念碑的作品である。ロマノフ王朝の秘宝「メモリーズ・エッグ」を巡る争奪戦に、新一と平次の推理競演が重なる重層的構成が魅力。大阪から豪華客船、そして横須賀の古城へと移り変わる三幕構造の舞台設計も見どころだ。

【あらすじ】
怪盗キッドからロマノフ王朝の秘宝「メモリーズ・エッグ」を狙う予告状が届き、大阪で事件が動き出す。コナンと服部平次が合流して推理を競う一方、舞台は豪華客船へと移り、関係者を巡る連続事件が進行する。最終決戦は炎に包まれた横須賀の古城であり、キッドと共にエッグに秘められた王朝の記憶へたどり着く。

【レビュー】
キッドと平次がスクリーンに揃い踏みした瞬間、これは事件であると体が痺れた。メモリーズ・エッグに秘められたロマノフ王朝の哀しみ、炎に包まれる古城での三つ巴。月光に照らされたキッドの優雅さと平次の関西弁が交錯する画面は、何度観てもゾクゾクが止まらないシリーズ屈指の華やかさだ。

 

No.4 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者

公開日 2000年4月22日(土)
興行収入 25.0億円
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
主題歌 小松未歩「あなたがいるから」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、工藤新一(山口勝平)、佐藤美和子(湯屋敦子)、高木渉(高木渉)、鈴木園子(松井菜桜子)
ゲスト声優 大山のぶ代(大山千波役※カメオ出演)

【見どころ】
蘭が事件のショックで新一に関する記憶を失うという、シリーズ初の記憶喪失プロットを中核に据えた第4作である。佐藤美和子・高木渉ら捜査一課メンバーの本格的劇場版デビュー作でもあり、記憶を取り戻すために新一と蘭の初デートの場所を辿るという心理ミステリーと純愛ドラマの融合が見どころだ。

【あらすじ】
警視庁捜査一課の警察官を狙った連続殺人事件が発生し、米花サンプラザホテルで佐藤美和子刑事が銃撃される。現場に居合わせた蘭は犯人の顔を見たショックで記憶喪失となり、新一のこともわからなくなる。コナンは蘭を連れて営業中のトロピカルランドへ向かい、二人が初デートで訪れた場所を巡りながら記憶を取り戻そうとする。

【レビュー】
新一の名前すら忘れた蘭に、土砂降りの中で叫び続ける新一の姿。あのシーンを思い出すだけで今でも泣ける。トロピカルランドという二人の原点を辿り直す構成が反則級に切ない一本だ。佐藤・高木・白鳥の捜査一課組が一気に魅力を放ち始めた、シリーズ全体の屋台骨を変えた特別な作品である。

 

No.5 名探偵コナン 天国へのカウントダウン

公開日 2001年4月21日(土)
興行収入 29.0億円
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
主題歌 倉木麻衣「always」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、灰原哀(林原めぐみ)、ジン(堀之紀)、ウォッカ(立木文彦)、吉田歩美(岩居由希子)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
劇場版シリーズで初めて黒の組織のジンとウォッカが本格登場した第5作である。灰原哀の劇場版本格デビュー作でもあり、シリーズの縦軸ミステリーが劇場版に接続された記念碑的一本。西多摩市のツインタワービルが炎上するクライマックスと、倉木麻衣「always」の主題歌が物語を締め括る。

【あらすじ】
完成間近の西多摩市ツインタワービルで殺人事件が発生し、コナンたちは現場に居合わせる。周辺ではジンとウォッカの動きが察知され、灰原哀の挙動の異変からも組織の関与が浮かび上がる。やがてツインタワーは組織の放火により炎上し、少年探偵団と灰原を含むコナン一行はビル内に取り残されることになる。

【レビュー】
ジンとウォッカが劇場版に降臨した瞬間、空気が一気に凍りついた衝撃を今も忘れない。炎に呑まれるツインタワー、髪型を変えた園子をシェリーと誤認するジンの間抜けさと冷酷さが同居する怖さ。灰原がポニーテールで覚悟を決める姿は、宮野志保という女性の強さを画面に刻みつけた名場面だ。

 

No.6 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊

公開日 2002年4月20日(土)
興行収入 34.0億円
監督 こだま兼嗣
脚本 野沢尚
主題歌 B'z「Everlasting」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、工藤優作(田中秀幸)、工藤有希子(島本須美)、ヒロキ・サワダ(折笠愛)、諸星秀樹(緒方恵美)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
江戸川乱歩賞作家・野沢尚が脚本を担当し、仮想現実デスゲームと19世紀末ロンドン切り裂きジャック事件を二重構造で描いた第6作である。新世代ゲーム機「コクーン」と人工知能「ノアズ・アーク」というSF設定に、大人たちへの批判と子供の自立という社会派テーマを織り込んだ脚本が見どころだ。

【あらすじ】
新ゲーム機「コクーン」のお披露目で、天才少年が開発した人工知能「ノアズ・アーク」が暴走する。有力者の子供50人が仮想空間に閉じ込められ、日本のリセットが宣言される。ゲーム内ではヴィクトリア朝ロンドンで切り裂きジャックを追う一方、現実では工藤優作がコクーン開発責任者・樫村殺害事件を追い、犯人としてヒロキ・サワダを暴いていく。二つの世界が交錯し、子どもたちの自立がテーマとして浮き上がる。

【レビュー】
シリーズ最高傑作と語り継ぐファンが多いのも納得の一本だ。仮想ロンドンで子どもたちが命を懸け合い、世襲制度に切り込む硬派な物語に背筋が伸びる。蘭が走る列車から身を投げる絶望の美しさ、ヒロキ少年の孤独、優作との時空を超えた親子の対話。子ども向けの皮を被った社会派の極北である。

 

No.7 名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)

公開日 2003年4月19日(土)
興行収入 32.0億円
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
主題歌 倉木麻衣「Time after time〜花舞う街で〜」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、服部平次(堀川りょう)、遠山和葉(宮村優子)、綾小路文麿(置鮎龍太郎)、工藤新一(山口勝平)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
こだま兼嗣監督の最終作であり、服部平次が主役級の活躍を見せる京都編である。劇場版で唯一、コナンが一時的に工藤新一の姿に戻るシーンを含み、清水寺や先斗町、鞍馬山など京都の実在観光地を丁寧に描いた映像美が魅力。2016年の歴代19作人気投票で第1位を獲得したファン人気の頂点でもある。

【あらすじ】
東京・大阪・京都で、翁の能面を被った犯人が窃盗団「源氏蛍」のメンバーを次々と殺害する事件が発生する。同じ頃、山能寺の住職から薬師如来像のありかを示す謎の絵が届き、コナン一行は京都へ向かう。服部平次は8年前に京都で出会った初恋の少女の記憶を辿りながら、鞍馬山の玉龍寺で誘拐された和葉の救出へと向かう。

【レビュー】
玉龍寺の境内で新一が一瞬だけ姿を取り戻し、和葉を救う名場面。原作ファンへのご褒美のような演出に、初めて観た時は声を上げてしまった。平次が燃え盛る寺院で日本刀を振るう殺陣の美しさ、八年越しの初恋の謎解き、京都の祭り囃子。すべてが完璧な調和で成立した、平次回の絶対王者である。

 

第2期:大規模アクション期(2004-2017)

監督が山本泰一郎、後に静野孔文へ交代し、シリーズ長期化の中で「マンネリ打破」に挑んだ変革期だ。
ハリウッド級「大規模アクション」を導入し、ダム決壊・スタジアム爆破・観覧車崩落とスケールが年々拡大。
怪盗キッド・服部平次・黒の組織といった人気キャラを積極的にメインに据え、ミステリーファン以外の層も取り込んだ重要な成長期である。

ロジック中田 ロジック中田
ここから『アクション比率』がデータ的に急増します。特にコナン君のスケボーの挙動が、物理法則を無視し始めた…いえ、大胆になり始めたのもこの頃ですね。
ポップ結衣 ポップ結衣
怪盗キッド様や平次くんの出番が増えて、画面が華やかになりましたよね。でも、犯人の動機がたまに怖すぎて…私、資料室に逃げてもいいですか?
バンカー荒木 バンカー荒木
こらこら逃げるな!そのハラハラ感がたまらないんだ!推理だけじゃ飽きが来るから、爆破規模をどんどんデカくして『映画館で見る意味』を必死に作った熱い時代なんだよ!

 

No.8 名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン)

公開日 2004年4月17日(土)
興行収入 28.0億円
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
主題歌 愛内里菜「Dream×Dream」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、怪盗キッド(山口勝平)、鈴木園子(松井菜桜子)、妃英理(高島雅羅)、中森警部(石塚運昇)
ゲスト声優 戸田恵子:牧樹里役(※特別出演)

【見どころ】
山本泰一郎の初メガホン作であり、以降のアクション路線への橋渡しとなった第8作である。怪盗キッドがコナン以外のレギュラーキャラと本格的に絡む初の劇場版で、劇場「そら」と汐留でのキッド争奪戦から、スカイジャパン航空865便での航空パニックへとつながる二部構成が見どころだ。

【あらすじ】
舞台女優・牧樹里が演じる公演の宣伝を兼ね、スターサファイア「運命の宝石」に怪盗キッドが予告状を送る。コナンたちは劇場と汐留ビル屋上でキッドと対峙したのち、函館行きのスカイジャパン航空865便に搭乗する。機内で毒物による事件が発生して機長と副操縦士が倒れ、操縦不能となった旅客機の運命が託される。

【レビュー】
操縦不能の旅客機を、新庄に化けたキッドとコナンが叡智を尽くして函館空港へ着陸させる終盤は鳥肌ものだ。普段は飄々と宝石を狙う怪盗が、命を救う側に回るコントラストがたまらない。蘭が機内で見せる気丈さ、キッドのウインク。空という閉鎖空間で繰り広げられる手に汗握る一本である。

2004年の時代背景(エンタメ事情)

2004年は日本のエンタメ界がキャラクタービジネスと国際化の加速を迎えた転換点だ。
映画では宮崎駿『ハウルの動く城』が興収196億円を叩き出し、ハリウッドからは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『スパイダーマン2』が相次いで日本上陸した。
TVアニメでは『鋼の錬金術師』『BLEACH』が始まり、原作『名探偵コナン』も10周年を迎え、安室・赤井ら後の人気人物登場の伏線が張られ始めた時期である。
音楽はORANGE RANGEや平井堅が主題歌を席巻し、劇場版コナンの『Dream×Dream』も紅白で披露されるほどの存在感を示した。

No.9 名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)

公開日 2005年4月9日(土)
興行収入 21.5億円
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
主題歌 ZARD「夏を待つセイル(帆)のように」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、鈴木園子(松井菜桜子)、阿笠博士(緒方賢一)、灰原哀(林原めぐみ)、目暮警部(茶風林)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
毛利小五郎が劇場版で初めてほぼ単独で真犯人を追い詰める「眠りの小五郎」の逆転劇が最大の見どころである。神谷明の長年の念願が叶った作品でもあり、八代グループ所有の豪華客船アフロディーテ号を舞台にしたクローズドサークル型本格ミステリーとしての完成度も高い一本だ。

【あらすじ】
豪華客船アフロディーテ号の処女航海で、八代造船の関係者が相次いで襲われる事件が発生する。15年前の貨物船沈没事故と半月前の設計士の不審死が伏線として絡み、600名の乗客の中から容疑者を絞り込む捜査が進む。船上で小五郎は独自捜査の末に真犯人・秋吉美波子と対峙し、一本背負いで制圧する。

【レビュー】
ようやく小五郎おっちゃんが眠らされずに自力で犯人を追い詰めた、ファン待望の一本だ。豪華客船という閉鎖空間でじっくり進む正統派ミステリーが心地よい。終盤、独自捜査を貫いた小五郎が一本背負いで真犯人を制圧する瞬間、長年の鬱憤を全部吹き飛ばす爽快感が押し寄せてくる傑作である。

 

No.10 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)

公開日 2006年4月15日(土)
興行収入 30.3億円
監督 山本泰一郎
脚本 柏原寛司
主題歌 B'z「ゆるぎないものひとつ」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、服部平次(堀川りょう)、怪盗キッド(山口勝平)、白馬探(石田彰)、遠山和葉(宮村優子)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
劇場版10周年記念作として、服部平次、怪盗キッド、遠山和葉、服部平蔵、遠山銀司郎、横溝重悟ら歴代サブキャラが総結集した第10作である。腕時計型フリーパスIDに仕込まれた爆弾と12時間タイムリミットというサスペンス構造に、第30回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞の実績が光る。

【あらすじ】
謎の依頼人から調査依頼を受けた毛利小五郎は、コナンたちと横浜のテーマパーク「ミラクルランド」を訪れる。敷地内のレッドキャッスルホテルで全員に配られた腕時計型フリーパスIDには爆弾が仕込まれており、敷地外へ出れば爆発する仕様。12時間以内に指定の事件を解決せよと迫られたコナンと小五郎は、途中で服部平次と合流し、横浜海洋大学と現金輸送車襲撃事件の真相へ迫っていく。

【レビュー】
10周年記念の名にふさわしい、シリーズ全部入りの祝祭である。平次・キッド・白馬・服部平蔵まで集結する豪華さに、初見でテンションが振り切れた。終盤、元太の腕に残った爆弾IDを空中でキッドがさらう一瞬の連携は涙腺直撃の名場面。仲間総出で命を救う、コナン世界の温度を凝縮した一本だ。

 

No.11 名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)

公開日 2007年4月21日(土)
興行収入 25.3億円
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
主題歌 愛内里菜「七つの海を渡る風のように」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(神谷明)、鈴木園子(松井菜桜子)、灰原哀(林原めぐみ)、阿笠博士(緒方賢一)、佐藤美和子(湯屋敦子)
ゲスト声優 なし

【見どころ】
シリーズ初の海洋アドベンチャーとして、南海の孤島・神海島を舞台に海賊財宝伝説と連続殺人を絡めた第11作である。『ワンピース』の歴代映画を彷彿とさせる大冒険のロマンに、本格ミステリーを融合させた異色の舞台設定が光る。蘭が空手で敵を撃退するアクションと、沈む船内でコナンが蘭に口移しで酸素を送る名場面は必見。蘭が「この子は新一かもしれない」と確信へ近づく、蘭メイン回屈指の一本だ。

【あらすじ】
蘭と園子が南海の孤島・神海島でダイビング中、女海賊アン・ボニーを名乗る美女・水無怜子に襲撃される。島には海賊船クイーン・アン号の財宝伝説が残り、観光客と島の関係者が相次いで殺害される連続殺人事件へと発展する。真犯人は観光課長・岩永城児で、島の観光利権と財宝独占のために犯行を重ねていた。

【レビュー】
沈む船内で意識を失いかける蘭に、コナンが口移しで酸素を送る場面は、何度観ても胸が締め付けられる。「この子は新一かもしれない」と蘭が確信へにじり寄る心の機微がたまらない一本だ。空手で武装ダイバーを蹴散らす彼女の強さと、海賊伝説の島という舞台設定が完璧に絡む蘭ファン必修作だ。

 

No.12 名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)

公開日 2008年4月19日(土)
興行収入 24.2億円
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
主題歌 ZARD「翼を広げて」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、秋庭怜子(桑島法子)、毛利小五郎(神谷明)、鈴木園子(松井菜桜子)、灰原哀(林原めぐみ)、目暮警部(茶風林)
ゲスト声優 山里亮太(南海キャンディーズ):ゲームの少年役など
坂下千里子:TVレポーター役

【見どころ】
「音」と「絶対音感」を事件の鍵に据えた、シリーズ初の音楽サスペンスである第12作である。爆弾の周波数と特定のピアノ音で起爆する仕掛けに、歌姫・秋庭怜子の「アメイジング・グレイス」が共振するクライマックスが聴きどころ。白鳥警部の歌声がコミカルなフックとして機能する点も見逃せない。

【あらすじ】
堂本音楽アカデミー創立50周年記念リサイタルの練習中、練習室が爆発し卒業生2名が死亡する。コナンは絶対音感を持つ歌姫・秋庭怜子とともに、音楽業界に潜む連続殺人の犯人を追う。真犯人は日本音響ホール館長・譜和匠で、過去にアカデミーで起きた不祥事の揉み消しが動機であった。

【レビュー】
絶対音感が事件の鍵という尖った発想が光る隠れた名作である。歌姫・秋庭怜子が炎に包まれた礼拝堂で「アメイジング・グレイス」を歌い上げ、爆弾の周波数を共振で外す終盤は鳥肌ものだ。白鳥警部のずっこけ歌唱でクスッとさせる小ネタも嬉しい。音楽好きほど深く刺さる、味わい深い一本だ。

 

No.13 名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)

公開日 2009年4月18日(土)
興行収入 35.0億円
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
主題歌 倉木麻衣「PUZZLE」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、ジン(堀之紀)、ウォッカ(立木文彦)、ベルモット(小山茉美)、アイリッシュ(幹本雄之)、毛利蘭(山崎和佳奈)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 DAIGO:水谷浩介役

【見どころ】
劇場版で初めて黒の組織とコナンが真正面から対決した第13作である。組織オリジナルキャラのアイリッシュが警察内部に潜入し、コナンが工藤新一であると突き止める緊迫の展開。東都タワーからのヘリ脱出、仲間すら切り捨てるジンの冷酷な狙撃と、シリーズ屈指のスケールで描かれた一本だ。

【あらすじ】
東京・神奈川・静岡・長野を横断し、被害者の身体の一部が切り取られる連続殺人が発生する。警察組織に潜入していた黒の組織の一員アイリッシュは、別の経路で持ち去られたメモリーカードの回収と並行して捜査を進めるなかで、シルバーブレットと呼ばれる存在がコナンであることを突き止める。クライマックスは東都タワーでのヘリ攻撃と決死の脱出劇となる。

【レビュー】
組織と劇場版が真正面から殴り合った歴史的な一本だ。アイリッシュがコナン=新一の正体に肉薄する緊張、東都タワーから命懸けで脱出する熾烈さに息が止まる。仲間ごと撃ち抜くジンの非情な狙撃が突き付ける組織の冷酷さ。蘭が拳銃の弾道を読み切る規格外アクションも語り草の特濃シリアス回だ。

 

No.14 名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)

公開日 2010年4月17日(土)
興行収入 32.0億円
監督 山本泰一郎
脚本 古内一成
主題歌 GARNET CROW「Over Drive」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、怪盗キッド(山口勝平)、毛利蘭(山崎和佳奈)、服部平次(堀川りょう)、毛利小五郎(小山力也)、鈴木園子(松井菜桜子)、遠山和葉(宮村優子)
ゲスト声優 大橋のぞみ:川口聡役
優木まおみ:女性キャスター役

【見どころ】
コナンと怪盗キッドの本格バディ映画として、劇場版4度目のキッド登場作となった第14作である。世界最大級の飛行船ベルツリーI世号が自由落下する空中アクションと、奈良・東大寺大仏殿屋根上の逃走劇が見どころ。キッドが工藤新一に変装し、蘭に正体を見破られる寸前まで迫るドキリとする名場面も収録。

【あらすじ】
鈴木次郎吉が所有する飛行船ベルツリーI世号の処女航行に、コナンたちが招待される。上空で怪盗キッドが奈良の国宝仏像を狙う予告状を実行する最中、テロリスト集団・赤いシャムネコが飛行船を占拠し、高度1万メートルからウイルス散布で日本を脅迫する。コナンはキッドと共闘し、東大寺大仏殿での決着へ挑む。

【レビュー】
キッドが工藤新一に変装し、正体を見破られる寸前まで蘭に顔を寄せる緊張の名場面に、何度観ても心臓が跳ねる。コナンとキッドのバディが完成形に至った一本だ。墜ちゆく飛行船から東大寺大仏殿へ繋がる空中活劇のスケール感、月明かりに浮かぶ怪盗のシルエット。キッド回の華麗さが頂点に達した傑作である。

 

No.15 名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)

公開日 2011年4月16日(土)
興行収入 31.5億円
監督 静野孔文(総監督:山本泰一郎)
脚本 櫻井武晴
主題歌 B'z「Don't Wanna Lie」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、灰原哀(林原めぐみ)、吉田歩美(岩居由希子)、小嶋元太(高木渉)、円谷光彦(大谷育江)
ゲスト声優 渡部陽一:渡部刑事役
宮根誠司:記者役

【見どころ】
静野孔文が監督デビューを果たし、以降7作続く長期政権の出発点となった第15作である。脚本も古内一成から櫻井武晴へと交代し、社会派テロと大型アクションを融合する以降の路線を決定づけた。雪崩から逃れるスノーボード脱出劇は、シリーズの記憶に刻まれたスペクタクルの一つだ。

【あらすじ】
東京・東都線の地下鉄開通記念式典で爆発が起こり、大臣が重傷を負う。事件の鍵は8年前、新潟の北ノ沢村がダム建設で水没した過去にあった。出所した宝石強盗・山尾渓介は北陵ダム決壊で水底の宝石回収を企てる。並行して、当時の事件で立原冬馬を崖から突き落としていた遠野みずきが、覚醒した冬馬の口封じを再び図る。クライマックスは雪山からの大脱出である。

【レビュー】
ダム決壊という未曾有のスケールに、雪山スノーボードの脱出劇まで詰め込んだ大盤振る舞いの一本だ。地下鉄爆破から始まる息詰まる展開と、強制水没した故郷を抱える兄の慟哭が胸を抉る。少年探偵団が雪原を全力で駆け抜けるラストの躍動感に、子ども映画の枠を超えた熱量を確信させられる。

 

No.16 名探偵コナン 11人目のストライカー

公開日 2012年4月14日(土)
興行収入 32.9億円
監督 山本泰一郎 / 静野孔文
脚本 古内一成
主題歌 いきものがかり「ハルウタ」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、灰原哀(林原めぐみ)、比護隆佑(櫻井孝宏)、真田貴大(吉野裕行)、赤木英雄(辻谷耕史)
ゲスト声優 桐谷美玲:香田薫役
Jリーグ選手(三浦知良、遠藤保仁、今野泰幸、中村憲剛、楢崎正剛):本人役

【見どころ】
シリーズ初のサッカー題材となった第16作である。Jリーグ・JFA全面協力の下、三浦知良・遠藤保仁・中村俊輔・今野泰幸ら現役日本代表クラスが本人役で声を当てた豪華さが見どころ。全国10カ所のスタジアムに爆弾を仕掛けた犯人と、東都スタジアム上空へ爆弾を蹴り上げるラストの爆破劇は圧巻である。

【あらすじ】
毛利探偵事務所に爆破予告電話が入り、直後に路上の車が爆発する。コナンは暗号から、犯人が全国10カ所のJリーグスタジアムに爆弾を設置したと推理する。真犯人は中岡一雅で、数カ月前の事件で親友・本浦知史を失った復讐として小五郎ら関係者を国立霞ヶ丘競技場で爆殺しようとしていた。ラストは東都スタジアムでのキック力増強シューズによる救出となる。

【レビュー】
サッカー少年だった頃の自分を呼び覚ましてくれる一本だ。Jリーグ全面協力の臨場感、スタジアムを爆破するという無茶を成立させる迫力に圧倒される。ラスト、コナンがキック力増強シューズで爆弾を上空へ蹴り上げる瞬間の解放感は格別だ。スポーツ映画として観ても満足度の高い快作である。

 

No.17 名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)

公開日 2013年4月20日(土)
興行収入 36.3億円
監督 静野孔文
脚本 櫻井武晴
主題歌 斉藤和義「ワンモアタイム」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、服部平次(堀川りょう)、遠山和葉(宮村優子)、灰原哀(林原めぐみ)、阿笠博士(緒方賢一)
ゲスト声優 柴咲コウ:藤井七海役

【見どころ】
シリーズ初の本格スパイミステリーとして、以降の社会派テロ路線の起点となった第17作である。防衛省・海上自衛隊が全面協力し、あたご型護衛艦をモデルにしたイージス艦「ほたか」の艦内描写はリアリティの塊だ。京都・舞鶴沖でX国潜水艦とイージス艦が対峙するクライマックスは、アニメ映画離れした緊迫感を放つ。

【あらすじ】
京都・舞鶴沖で、最新鋭イージス艦「ほたか」の体験航海にコナンたちが招待される。航海中、艦内で切断された人間の片腕が発見され、某国スパイ「X」の潜入が判明する。日本語教師を装っていた藤井七海は、実は防衛省・情報保全隊の隊員で、機密データを狙うスパイ「X」を追い続けていた。終盤は艦載ヘリと護衛艦の追跡劇、潜水艦との一触即発へと加速する。

【レビュー】
イージス艦の艦内描写がガチすぎて、初見でこれが本当にコナンなのかと唸った一本だ。スパイの潜入と機密データを巡る緊迫感は、子ども向けアニメの枠を完全に飛び越えている。潜水艦と護衛艦の一触即発、艦載ヘリの追跡。水面下で進む駆け引きの重さが好きな人にこそ刺さる、骨太な大人向け作品だ。

 

No.18 名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)

公開日 2014年4月19日(土)
興行収入 41.1億円
監督 静野孔文
脚本 古内一成
主題歌 柴咲コウ「ラブサーチライト」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、沖矢昴(置鮎龍太郎)、世良真純(日髙のり子)、赤井秀一(池田秀一)、ジェイムズ・ブラック(土師孝也)、ジョディ・スターリング(一城みゆ希)、アンドレ・キャメル(梁田清之)
ゲスト声優 福士蒼汰:ケビン・吉野役
パトリック・ハーラン:ジャック・ウォルツ役

【見どころ】
赤井秀一・沖矢昴・世良真純・ジョディら原作FBIサイドが劇場版に本格初登場した記念碑的第18作である。舞台は高さ635mの架空タワー・ベルツリータワー(東京スカイツリーがモデル)。2,000ヤード(約1,800m)の超長距離狙撃という本格スナイパー描写と、展望台での赤井とケビンによる狙撃手対決は、緋色シリーズ直前の原作ファンを熱狂させた。

【あらすじ】
ベルツリータワーのオープニングセレモニー中、展望台の男性客が外部から狙撃される。常識を超えた超長距離からの狙撃に、世良真純とコナンが犯人を追う。容疑者として元米海軍ネイビーシールズの伝説的スナイパー・ティモシー・ハンターが浮上するが、真犯人は元米海兵隊伍長のケビン・吉野で、恩人ハンターを陥れた関係者への復讐を仕掛けていた。

【レビュー】
FBIサイドが劇場版に本格上陸した瞬間、原作ファンの心はもう完全に持っていかれた。赤井秀一が展望台で構える長距離ライフル、世良真純の鋭い洞察、ジョディの軽妙さ。2,000ヤードの狙撃という常識外れの設定に痺れる一本だ。緋色シリーズへの助走として、何度でも見返したくなる必修作である。

 

No.19 名探偵コナン 業火の向日葵

公開日 2015年4月18日(土)
興行収入 44.8億円
監督 静野孔文
脚本 櫻井武晴
主題歌 ポルノグラフィティ「オー!リバル」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、怪盗キッド(山口勝平)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、鈴木園子(松井菜桜子)、鈴木次郎吉(富田耕生)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 榮倉奈々:宮台なつみ役
知英:美術館案内キャスト役

【見どころ】
シリーズ初のアートミステリーとなった第19作である。ゴッホ「ひまわり」全7枚をモチーフに、箱根・芦ノ湖畔に鍾乳洞を改装して建てられた架空のレイクロック美術館を舞台とした。怪盗キッドが『天空の難破船』以来5年ぶりに本格参戦し、鈴木次郎吉が集めた「七人の侍」の中に潜む「ユダ」を予告状で示唆する駆け引きが熱い。

【あらすじ】
ニューヨークのクリスティーズで、1945年に日本で焼失したはずのゴッホ「ひまわり(芦屋バージョン)」が3億ドルで鈴木次郎吉に落札される。次郎吉は世界に散らばる7枚をレイクロック美術館に集結させる計画を発表するが、輸送ヘリ墜落と放火事件が連続発生する。真犯人はセブン・サムライの一人・美術鑑定士の宮台なつみで、贋作と信じる絵を焼き払おうとしていた。

【レビュー】
ゴッホの「ひまわり」全7枚を一堂に集めるという発想自体が痛快だ。アートを巡る攻防という新機軸に、5年ぶりに帰ってきたキッドの華やかさが完璧に噛み合う。鍾乳洞を改装した美術館の幻想的な美しさ、贋作と本物を巡る切ない動機。絵画好きでも楽しめる、シリーズの幅を広げた意欲作だ。

 

No.20 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)

公開日 2016年4月16日(土)
興行収入 63.3億円
監督 静野孔文
脚本 櫻井武晴
主題歌 B'z「世界はあなたの色になる」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、赤井秀一(池田秀一)、安室透(古谷徹)、ジン(堀之紀)、ベルモット(小山茉美)、水無怜奈(三石琴乃)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 天海祐希:キュラソー役

【見どころ】
劇場版20作記念作品として、黒の組織・FBI・公安が一堂に会する「オールスター」構成を採った第20作である。劇場版初の赤井秀一対安室透(降谷零)の対決が実現し、ゲスト声優・天海祐希が演じる組織幹部キュラソーが物語の中心を担う。大観覧車併設の東都水族館を舞台にしたカーチェイスと爆破劇は、シリーズ史上屈指のスケールだ。

【あらすじ】
警察庁サーバー室に何者かが侵入し、NOCリストが強奪される。謎の女は追跡の末に橋から身を投げ記憶喪失となり、少年探偵団が東都水族館で発見して「キュラソー」と名付ける。正体は組織No.2・RUMの右腕で、オッドアイと写真記憶能力を持つ切り札であった。灰原との交流で忠誠心が揺らいだキュラソーは、暴走する大観覧車を自ら止め、少年探偵団を救って爆発に散る。

【レビュー】
観覧車の上で赤井と安室が素手で殴り合う、あの場面の作画クオリティに度肝を抜かれた。記憶を失ったキュラソーが少年探偵団との交流で人間性を取り戻し、巨大観覧車を身を挺して止める自己犠牲のラストは何度見ても号泣必至だ。組織・FBI・公安が一枚絵に揃う、20作目の貫禄を見せつけた傑作である。

 

No.21 名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)

公開日 2017年4月15日(土)
興行収入 68.9億円
監督 静野孔文
脚本 大倉崇裕
主題歌 倉木麻衣「渡月橋 〜君 想ふ〜」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、服部平次(堀川りょう)、遠山和葉(宮村優子)、大岡紅葉(ゆきのさつき)、毛利蘭(山崎和佳奈)、灰原哀(林原めぐみ)、伊織無我(小野大輔)
ゲスト声優 吉岡里帆:枚本未来子役
宮川大輔:関根康史役

【見どころ】
服部平次・遠山和葉・大岡紅葉の三角関係を真正面から描いた、シリーズ屈指の関西ラブコメ回である。競技かるたを軸に、千年の都・京都の雅と大阪の爆破アクションを融合させた二都物語の構成が魅力。倉木麻衣「渡月橋 〜君 想ふ〜」が嵐山の情景を情緒豊かに歌い、シリーズ主題歌最多記録としてギネス申請された節目の一本だ。

【あらすじ】
大阪の日売テレビ生放送中に爆破事件が発生し、平次と和葉が崩落するビルから脱出する。同時期、京都では百人一首団体「皐月会」のメンバー連続殺人が進行していた。高校生日本一の才媛・大岡紅葉が平次を「未来の旦那様」と慕って登場し、競技かるた皐月杯で和葉と対峙する。コナンと平次は架空の競技会場・皐月堂の爆破計画を阻止すべく南禅寺へ急行する。

【レビュー】
平次が和葉に告げる「お前は俺の…」の続きを巡るじれったさで、観ているこちらが悶絶した一本だ。大岡紅葉という強敵ヒロインの登場が三角関係に火を付け、競技かるたの札が舞う緊張感に夢中になる。嵐山の渡月橋を背に咲く百人一首の恋歌。関西カップル推しなら絶対に外せない至高のラブコメ回だ。

 

第3期:キャラクターエンタメ期(2018-現在)

立川譲監督『ゼロの執行人』を皮切りに、興行収入が爆発した現在の黄金期だ。
安室・赤井・キッド・灰原・大和敢助・松田陣平など特定キャラを徹底フィーチャーする「キャラクターエンターテインメント」が確立。
「推しを応援するために何度も映画館に通う」リピーター文化が定着し、3年連続100億円超え(『黒鉄の魚影』138.8億/『100万ドルの五稜星』158.8億/『隻眼の残像』147.4億)を達成。社会現象として日本のエンタメ界を牽引している。

ポップ結衣 ポップ結衣
ここからです!安室さんがとんでもない運転テクニックを見せて、映画館が黄色い悲鳴に包まれたのは!あの瞬間、コナン映画は『推し活』になったんですよね。
ロジック中田 ロジック中田
『ゼロの執行人』が特異点でしたね。あれ以降、リピーター率が激増し、興収の桁が変わりました。もはやミステリー映画という枠組みを超越しています。
バンカー荒木 バンカー荒木
昔の渋い路線も大好物だが、今の『年に一度のド派手なお祭り』感もワクワクして悪くないぜ!老若男女、カップルからコアなファンまで全員集合だ!

 

No.22 名探偵コナン ゼロの執行人

公開日 2018年4月13日(金)
興行収入 91.8億円
監督 立川譲
脚本 櫻井武晴
主題歌 福山雅治「零 -ZERO-」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、安室透(古谷徹)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、風見裕也(飛田展男)、黒田兵衛(岸野幸正)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 上戸彩:橘境子役
博多大吉:羽場二三一役

【見どころ】
安室透/降谷零を劇場版メインキャラに初抜擢し、女性ファンを中心としたリピート鑑賞ブームを巻き起こした歴史的作品である。公安サスペンスとIoTテロ、法廷劇を組み合わせたハードボイルド路線に、R34型スカイラインによる首都高カーチェイスを重ねた構成が魅力。興収91.8億円は当時シリーズ最高で、100億円時代の扉を開いた一本だ。

【あらすじ】
東京サミット開催直前、お台場の国際会議場エッジ・オブ・オーシャンが爆破され、毛利小五郎が冤罪で逮捕される。コナンは公安刑事・安室透と弁護士・橘境子とともに小五郎の無実を証明すべく奔走する。事件の黒幕は東京地検公安部の検事で、一年前に「NAZU不正アクセス事件」の罪を被って自殺した協力者・羽場二三一の遺志を歪めた形で、大型無人探査機はくちょうのカプセルを警視庁と東京地検に落下させるサイバーテロを画策していた。

【レビュー】
「僕の恋人はこの国です」のセリフで日本中のオタクが安室透に堕ちた、伝説の一本である。公安・喫茶ポアロのマスター・黒の組織のスパイという三つの顔を全部背負う男のかっこよさが反則級だ。R34で首都高をかっ飛ばすカーチェイスの興奮と、無人探査機に祈る安室の覚悟。推し活の起点になった革命作だ。

2018年の時代背景(エンタメ事情)

2018年は日本のエンタメ界で「推し活」文化が名実ともに定着した年だ。
『アイドリッシュセブン』『あんさんぶるスターズ』『A3!』等の女性向けコンテンツが勢いを増し、映画では『ボヘミアン・ラプソディ』が異例のロングランで興収135億円を記録、観客が同じ作品に何度も足を運ぶリピーター文化が開花した。
漫画では『鬼滅の刃』のアニメ化決定が発表され、原作コナンも組織との対決が佳境へ。
映画版『ゼロの執行人』が興収91.8億円という当時シリーズ最高を叩き出したのは、この時代の追い風を完全に捉えた結果である。

No.23 名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)

公開日 2019年4月12日(金)
興行収入 93.7億円
監督 永岡智佳
脚本 大倉崇裕
主題歌 HIROOMI TOSAKA「BLUE SAPPHIRE」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、怪盗キッド(山口勝平)、京極真(檜山修之)、毛利蘭(山崎和佳奈)、鈴木園子(松井菜桜子)、毛利小五郎(小山力也)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 山崎育三郎:レオン・ロー役
河北麻友子:レイチェル・チェオング役

【見どころ】
シリーズ初の海外単独舞台となるシンガポール編であり、永岡智佳がシリーズ初の女性監督として登板した記念碑的作品である。京極真の劇場版初主役化、怪盗キッドが工藤新一に変装してコナンを密入国させる絶妙なスリル、マリーナベイ・サンズ屋上プールでの総力戦と、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイやマーライオンなど実在観光地の精緻な描写が見どころだ。

【あらすじ】
弁護士シェリリン・タンが殺害され、現場に怪盗キッドのカードが残される。京極真が空手トーナメント出場のためシンガポールを訪れるのに園子や蘭が同行する。怪盗キッドは工藤新一に変装し、コナンを連れてシンガポールに密入国していた。目的は実業家レオン・ローが保有する世界最大のブルーサファイア「紺青の拳」。五年前の海洋学者殺害を巡る因縁が、マリーナベイ・サンズ屋上へ繋がっていく。

【レビュー】
キッドが新一に変装してコナンを連れシンガポールに密入国する出だしから掴みが強い一本だ。蘭が小五郎の呼び方の違和感から偽新一を見抜く瞬間がたまらなく胸に刺さる。マリーナベイ・サンズ屋上での京極真の死闘、紺青の宝石を巡る駆け引き。海外ロケのワクワク感を全力で楽しめる派手な傑作だ。

 

No.24 名探偵コナン 緋色の弾丸

公開日 2021年4月16日(金)
興行収入 76.5億円
監督 永岡智佳
脚本 櫻井武晴
主題歌 東京事変「永遠の不在証明」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、赤井秀一(池田秀一)、世良真純(日髙のり子)、羽田秀吉(森川智之)、メアリー(田中敦子)、毛利蘭(山崎和佳奈)、灰原哀(林原めぐみ)
ゲスト声優 浜辺美波:石岡エリー役

【見どころ】
赤井家四人(秀一・秀吉・真純・メアリー)が劇場版で初めて総結集した、赤井ファン念願の家族会議編である。舞台は架空のWSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)開会式を控えた東京。真空超電導リニアでの時速千キロ格闘、赤井秀一による超長距離ライフル狙撃、そして東京事変「永遠の不在証明」が作品世界を貫く緊張感が見どころだ。

【あらすじ】
WSG開幕直前の東京で、真空超電導リニアの開通式を控える最中、スポンサー企業の幹部が連続誘拐される。捜査に加わる赤井秀一の前に、十五年前ボストンのWSGで父・石原誠を冤罪死で失った女性・白鳩舞子の復讐計画が浮上する。暴走するリニアに対し、コナンは万国旗を丸めたサッカーボールで軌道を反らし、赤井の狙撃が磁力発生装置を撃ち抜く。

【レビュー】
秀一・秀吉・真純・メアリー、赤井家四人が劇場版に勢揃いする待望の家族会議編だ。時速千キロのリニア車内で繰り広げられる超高速格闘の緊迫感、赤井秀一が放つ緋色の銃弾の美しさに痺れた。羽田秀吉のキングを守る一手、世良の機転、母メアリーの存在感。赤井ファミリー推しは絶対に泣ける一本だ。

 

No.25 名探偵コナン ハロウィンの花嫁

公開日 2022年4月15日(金)
興行収入 97.8億円
監督 満仲勧
脚本 大倉崇裕
主題歌 BUMP OF CHICKEN「クロノスタシス」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、安室透(古谷徹)、高木渉(高木渉)、佐藤美和子(湯屋敦子)、松田陣平(神奈延年)、萩原研二(三木眞一郎)、諸伏景光(緑川光)、伊達航(東地宏樹)
ゲスト声優 白石麻衣:エレニカ・ラブレンチエワ役

【見どころ】
殉職した警察学校組(松田陣平・萩原研二・諸伏景光・伊達航)の若き日の青春回想を劇場版の軸に据えた、シリーズ初の追悼編である。安室透の戦闘力全開、渋谷スクランブルスクエア屋上ヘリポートでの緊迫したアクション、BUMP OF CHICKEN「クロノスタシス」が失われた時間と記憶の主題と完全にシンクロする演出が見どころだ。

【あらすじ】
冒頭の結婚式は警察庁OB・村中努の本番を控えたテロ対策予行演習であり、訓練中に暴漢が乱入する。同時期、三年前の東京連続爆破事件(松田陣平殉職の事件)の犯人が脱獄し、降谷零は追跡中に仮装人物から首輪型爆弾を装着される。花嫁姿で現れたクリスティーヌ・リシャールこそが国際爆弾テロリスト「プラーミャ」であり、渋谷スクランブルスクエア屋上で安室と決着の時を迎える。

【レビュー】
松田陣平・萩原研二・諸伏景光・伊達航。失われた警察学校組四人の若き日の青春が画面に蘇る瞬間、涙腺が完全に決壊した。降谷零が首輪型爆弾を抱え、亡き親友たちの面影を背負って走る姿の重さが堪らない。渋谷スクランブルスクエア屋上での激闘、過ぎ去った時間に捧げる鎮魂の傑作である。

 

No.26 名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)

公開日 2023年4月14日(金)
興行収入 138.8億円
監督 立川譲
脚本 櫻井武晴
主題歌 スピッツ「美しい鰭」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、灰原哀(林原めぐみ)、ジン(堀之紀)、ウォッカ(立木文彦)、ベルモット(小山茉美)、赤井秀一(池田秀一)、安室透(古谷徹)
ゲスト声優 沢村一樹:牧野洋輔役

【見どころ】
劇場版シリーズで初めて灰原哀を主役級に据えた記念碑的な第26作である。八丈島沖の海洋施設「パシフィック・ブイ」を舞台に、老若認証システムが宮野志保の過去を照合してしまう緊張と、水中・潜水艦で展開されるシリーズ史上最高峰の水中アクションが見どころ。黒の組織の若手ピンガとの攻防も必見だ。

【あらすじ】
インターポールの世界防犯カメラ網と接続される海洋施設のお披露目に、コナン達はエンジニアとして参加する。老若認証システムが灰原の顔を宮野志保と照合したことから、黒の組織のピンガが襲撃作戦を敢行。施設は魚雷で沈められ、コナンと灰原は海中で窮地に陥る。赤井秀一の援護と水無怜奈の機転で脱出劇が動き出す。

【レビュー】
ついに灰原哀=宮野志保が劇場版の主役に立った、宿願の一本である。海中で意識を失いかける哀ちゃんを抱きしめるコナンの絶望、ピンガという若き組織員の不気味さ、組織内紛が炙り出す人間模様の深さに息を呑んだ。シリーズ最高峰の水中アクションと哀の覚悟、二つを同時に味わえる宝物のような作品だ。

 

No.27 名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)

公開日 2024年4月12日(金)
興行収入 158.8億円
監督 永岡智佳
脚本 大倉崇裕
主題歌 aiko「相思相愛」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、服部平次(堀川りょう)、怪盗キッド(山口勝平)、遠山和葉(宮村優子)、大岡紅葉(ゆきのさつき)、伊織無我(小野大輔)、沖田総司(遊佐浩二)
ゲスト声優 大泉洋:川添善久役

【見どころ】
シリーズ初の「怪盗キッド×服部平次」直接共闘が実現した第27作である。舞台は北海道函館・五稜郭、狙われるのは刀工・東窪榮龍が遺した6本の日本刀と150年前の幕末財宝。青山剛昌のもう一つの代表作『YAIBA』から沖田総司らがクロスオーバー参戦し、刀と奇術が同じ画面で交差する夢の競演が見どころだ。

【あらすじ】
斧江財閥の収蔵庫へ怪盗キッドから予告状が届き、コナンと服部平次は函館へ向かう。同じ頃、函館倉庫街で胸に十字の切り傷を持つ遺体が発見され、土方歳三ゆかりの6本の刀に隠された幕末財宝の争奪戦が始まる。クライマックスは函館山上空のセスナ機内であり、平次が福城聖と剣を交えて決着をつけることとなる。

【レビュー】
シリーズ歴代1位、3年連続100億円超えを叩き出した怪物作。新一・キッド・平次の三重奏に、刀と奇術と推理が絡み合う夢の競演で目眩がした一本だ。函館山上空のセスナで剣を交わす平次、エンドロール後に明かされた新一とキッドの血の繋がり。原作30年の伏線が解放される、奇跡の傑作である。

 

No.28 名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)

公開日 2025年4月18日(金)
興行収入 147.4億円
監督 立川譲
脚本 櫻井武晴
主題歌 King Gnu「TWILIGHT!!!」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、灰原哀(林原めぐみ)、大和敢助(高田裕司)、上原由衣(小清水亜美)、諸伏高明(速水奨)、降谷零/安室透(草尾毅)

【見どころ】
長野県警トリオ・大和敢助/上原由衣/諸伏高明が劇場版で初めて主役級にフィーチャーされた第28作である。舞台は八ヶ岳連峰の架空の山「未宝岳」と長野の裁判所屋上。毛利小五郎が第9作『水平線上の陰謀』以来19作ぶりに事件のキーパーソンに据えられ、元刑事としての矜持を取り戻す一撃が見どころだ。

【あらすじ】
10カ月前に未宝岳でライフル弾に左眼を奪われ雪崩で負傷した大和敢助が、奇跡的に生還して天文台研究員襲撃事件の捜査に合流する。同時刻、毛利小五郎は元同僚の鮫谷浩二が胸を撃ち抜かれる現場に居合わせる。真犯人は山梨県警の林篤信であり、婚約者を失った恨みから司法改革を阻むための連続狙撃を企てていた。

【レビュー】
長野県警三羽烏に光が当たる瞬間を、ずっと待っていた。隻眼となった大和敢助が雪山から生還する執念、上原由衣の凛とした強さ、諸伏高明の静かな闘志。雪山と裁判所屋上を舞台にしたサスペンスが息を呑むほど美しい。小五郎が元刑事の矜持を取り戻す一撃、おっちゃん格好良すぎだ、と叫びたくなる。

 

No.29 名探偵コナン ハイウェイの堕天使

劇場版 名探偵コナン ハイウェイの堕天使

劇場版 名探偵コナン ハイウェイの堕天使

  • 監督:蓮井隆弘
  • 公開:2026年4月10日(金)
公式サイト
公開日 2026年4月10日(金)
興行収入 公開中(2026年4月時点)
監督 蓮井隆弘
脚本 大倉崇裕
主題歌 MISIA「ラストダンスあなたと」
メイン声優 江戸川コナン(高山みなみ)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎(小山力也)、世良真純(日髙のり子)、萩原千速(沢城みゆき)、松田陣平(神奈延年)、萩原研二(三木眞一郎)
ゲスト声優 横浜流星、畑芽育

【見どころ】
蓮井隆弘の劇場版監督デビュー作であり、神奈川県警交通機動隊の白バイ隊員・萩原千速を主役級に据えた第29作である。舞台は横浜みなとみらいから首都高速、箱根まで広がる広域バトルミステリー。白バイ「エンジェル」と黒バイク「ルシファー」の対比、松田陣平・萩原研二ら爆弾処理班の過去との交錯が見どころだ。

【あらすじ】
バイクの祭典に世良真純と向かったコナン達の前に、黒い謎のバイクが現れる。神奈川県警の風の女神様・萩原千速が追跡するも取り逃がし、事件は首都高・箱根まで広がっていく。データ取得側と復讐側の二重構造の黒幕が並行進行し、弟・萩原研二の記憶を抱えた千速が、タイトルに込められた堕天使の意味へたどり着く。

【レビュー】
風の女神様こと萩原千速が劇場版で躍動する、待望の白バイ回が来た。横浜みなとみらいから箱根まで広がる広域追跡劇のスケールに、心拍数が上がりっぱなしだ。エンジェルとルシファー、白と黒のバイクが交差する画面の格好良さ。亡き弟・研二の記憶を抱える千速の覚悟が胸を熱くする最新の傑作である。

 

おすすめ名作ランキングTOP3

全29作品の中から、特に語り継がれている3本を厳選した。あらすじだけでは伝わらない名場面の深掘りを、熱量を込めて語っていく(※ネタバレ含む)。

第1位|AI仮想現実で世襲制度に切り込むシリーズ屈指の傑作『ベイカー街の亡霊』

バンカー荒木 バンカー荒木
堂々の第1位はこれだ!政財界の二世たちが命懸けで戦うAI仮想現実『ノアズ・アーク』、世襲制度というタブーに踏み込んだ硬派な社会派メッセージが熱いんだ!

1位はNo.6 ベイカー街の亡霊(2002)。本作の魅力は、人工知能「ノアズ・アーク」が作り出した仮想現実での命懸けのデスゲームという、当時としてはあまりに早すぎたSF設定だ。
参加者である政財界の二世・三世の子供たちが、己の身を呈してコナンたちを庇い次々と脱落していく自己犠牲の展開は涙なしには見られない。
終盤、暴走する列車の上で切り裂きジャックと対峙し、蘭が自ら谷底へ身を投げることで活路を開くシーンの絶望感と美しさは圧巻。
天才少年ヒロキの孤独と、父親である優作とコナンの時空を超えた親子の絆が胸を打つ、シリーズ屈指のシナリオ完成度を誇る傑作である。

 

第2位|赤井vs安室の素手バトルとキュラソー自己犠牲『純黒の悪夢』

ロジック中田 ロジック中田
第2位はこれです。観覧車という高所での赤井と安室の素手戦闘は作画クオリティが異常で、記憶喪失キュラソーの自己犠牲ラストは涙腺崩壊レベルですね。

2位はNo.20 純黒の悪夢(2016)。本作のマニアックな見どころは、観覧車という高所(しかも稼働中)で繰り広げられる赤井秀一と安室透の因縁の肉弾戦だ。
常人なら足がすくむ状況で、互いの信念をぶつけ合いながら素手で殺し合う作画の異常なクオリティは必見。そして何より、記憶喪失の黒の組織の幹部・キュラソーと少年探偵団の純粋な交流が切なすぎる。
終盤、組織に見捨てられ裏切り者となった彼女が、自らの命と引き換えにクレーン車を操縦し、落下する巨大観覧車を身を挺して止める自己犠牲のラストは何度見ても号泣必至。
アクションの派手さとドラマの切なさが奇跡的なバランスで融合した一本だ。

 

第3位|京都で新一の劇的復活と平次の刀殺陣『迷宮の十字路』

ポップ結衣 ポップ結衣
3位は京都の美しい街並みと、平次くんの初恋の甘酸っぱさがたまらない本作です。あの人が一時的に復活するシーンは何度見てもキャーッとなります。

3位はNo.7 迷宮の十字路(2003)。本作の最大の見どころは、やはり工藤新一の奇跡的な一時復活シーンだろう。
月明かりが差し込む玉龍寺の境内で、犯人に追い詰められた和葉の前に、コナンの代わりに新一が姿を現す演出は、原作ファンへの最高のご褒美だ。さらに、服部平次の日本刀を使った華麗な殺陣アクションも見逃せない。
燃え盛る寺院を舞台に、平次が二刀流で敵の凶刃を捌くシーンは、アクションアニメとして快感の極みだ。
手毬唄の謎解き、幼い日の初恋の記憶、そして蘭と新一の切ない再会。すべての要素が美しい京都の情景の中で完璧に調和した神作である。

 

名探偵コナン映画はこの順番で見るのがおすすめ

29年で29本の長大シリーズ、全部観る時間はないが押さえておきたい読者のため、切り口別の厳選ルートを3つ提示する。
ハマったルートから派生で他作品へ手を広げてもらえれば、自然とコンプリートへの道が開ける。

ルートA:初見・ライトファン向け「話題作セレクトルート」

No.6 ベイカー街の亡霊(2002)→ No.22 ゼロの執行人(2018)→ No.25 ハロウィンの花嫁(2022)→ No.28 隻眼の残像(2025)→ No.29 ハイウェイの堕天使(2026)

この5本はシリーズ評価が常に上位に来る話題作で、初見でも内容を掴みやすい単発完結の構成だ。
ベイカー街の亡霊で原点の本格ミステリー完成度、ゼロの執行人で安室透の全貌、ハロウィンの花嫁で警察学校組の関係性、隻眼の残像で長野県警フィーチャーの到達点、ハイウェイの堕天使で最新の横浜ハイウェイアクションを体感できる。
現代の100億円シリーズが推し活コンテンツへ進化した道筋を短期間で理解できる導線である。

ルートB:コア層向け「黒の組織編コンプリートルート」

No.5 天国へのカウントダウン(2001)→ No.13 漆黒の追跡者(2009)→ No.20 純黒の悪夢(2016)→ No.24 緋色の弾丸(2021)→ No.26 黒鉄の魚影(2023)

シリーズの縦軸である黒の組織との対決にフォーカスした5本だ。
天国へのカウントダウンでジンとウォッカが劇場版に本格初登場、漆黒の追跡者でアイリッシュとの東京タワー死闘、純黒の悪夢で赤井vs安室の素手バトルとキュラソーの自己犠牲、緋色の弾丸で赤井ファミリー全員集結、黒鉄の魚影で組織のピンガと興収138.8億円という到達点。
原作で組織編が佳境のいま、劇場版でも組織との因縁を体系的に追える流れは、コアファン必修の系譜である。

ルートC:キャラ目当て向け「怪盗キッド劇場版ルート」

No.3 世紀末の魔術師(1999)→ No.8 銀翼の奇術師(2004)→ No.14 天空の難破船(2010)→ No.19 業火の向日葵(2015)→ No.23 紺青の拳(2019)

劇場版で常連登場する怪盗キッド回を5作厳選した。
世紀末の魔術師でキッドが劇場版初参戦、銀翼の奇術師で新庄に変装した旅客機緊急着陸劇、天空の難破船で飛行船と海洋ロマン、業火の向日葵でゴッホ「ひまわり」を巡るアート×強奪劇、紺青の拳でシンガポール・マリーナベイサンズを舞台にした日韓海外ヒット作。
キッドファンならまずこの5本で「もう一人の主役」の魅力を一気に堪能できる。

 

質問(FAQ)コーナー

名探偵コナン映画29年の歴史を深掘りする、マニアック度の高いQ&Aを5問用意した。
公式情報と劇中描写をベースに、ファンがつい誰かに話したくなる事実を厳選している。

 

Q1. 蘭姉ちゃんの人間離れした身体能力が堪能できる、ぶっ飛んだ作品はどれ?

蘭の規格外アクションを語る上で絶対に外せないのが『No.13 名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』だ。
黒の組織の凄腕工作員・アイリッシュと東京タワーで対峙する場面で、拳銃の引き金が引かれるわずかな動きと弾道を先読みし、至近距離から放たれた弾丸をライフル弾すら避けるかのような身のこなしで回避するシーンは伝説となった。
「ライフル弾のスピードは秒速1000m…拳銃なら!」と瞬時に計算して避ける女子高生の姿に、観客全員が度肝を抜かれた場面である。
他にも『No.5 名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では、消火ホースを体に巻き付けて高層ビルから飛び降りる決死の脱出を披露するなど、彼女の身体能力そのものがもはや映画の目玉エンタメとして完全に定着している。

 

Q2. 黒の組織の幹部「ジン」が少しポンコツに見えてしまう作品はある?

ジンの人間くさい一面が最も愛おしく描かれているのは『No.5 名探偵コナン 天国へのカウントダウン』である。
組織を裏切ったシェリー(灰原哀)を暗殺するため隣のビルからライフルで狙撃を試みるジンだが、パーマをかけて髪型を変えただけの鈴木園子をシェリーと完全に誤認。
「フン…髪型を変えたぐらいで誤魔化せると思ったか…」とドヤ顔で言い放ち、躊躇なく引き金を引くシーンは、ファンの間で永遠の語り草となっている。
さらに『No.13 名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』では、目立つ武装ヘリで東京タワーに乱入し、コナン一人に対してガトリング銃を乱射した挙句、サスペンダーでヘルメットをぶつけられてヘリごと撃墜されるという、組織の隠密行動とは程遠いド派手なやらかしを披露した。
冷徹な殺し屋としての描写と、こうした奇妙に抜けている描写が同居している点こそ、ジンという人物の尽きせぬ人気の源泉だ。

 

Q3. 純粋な「本格ミステリー」として伏線回収が最も秀逸な初期作品はどれ?

本格ミステリーとしての完成度を求めるなら、文句なしで『No.6 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊』と『No.7 名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)』の2本を強く推す。
特に『ベイカー街の亡霊』は、仮想現実の19世紀ロンドンという舞台設定を極限まで活かし、切り裂きジャックの正体やホームズの世界観を見事にシナリオへ落とし込んでいる。
現実世界で起きている殺人事件のダイイング・メッセージと、ゲーム内の謎解きがリンクする構成の美しさは、野沢尚脚本ならではの圧倒的な密度である。
また『迷宮の十字路』は、京都の通り名の童歌(手毬唄)や、仏像の白毫に隠されたトリックなど、日本の歴史と風土に根ざした暗号解読が秀逸。
犯人の動機からトリックの仕掛けに至るまで、一切の無駄がない完璧なパズルボックスを堪能できる。どちらも公式パンフレットで脚本家の構成意図が詳しく語られている、初期屈指の二大傑作だ。

 

Q4. 興行収入100億円を突破したコナン映画は何作あって、きっかけは何だった?

2026年4月時点で興行収入100億円を突破しているコナン劇場版は計3作、いずれも2023年以降に集中している。
具体的には『No.26 黒鉄の魚影(サブマリン)』138.8億円、『No.27 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』158.8億円、『No.28 隻眼の残像(フラッシュバック)』147.4億円と3年連続で100億円超えを達成。『No.29 ハイウェイの堕天使』も2026年4月時点で公開中で4作目突破ペースを継続している。
100億の手前で象徴的だったのが『No.22 ゼロの執行人』91.8億円、『No.23 紺青の拳(フィスト)』93.7億円、『No.25 ハロウィンの花嫁』97.8億円である。
きっかけは、2018年『ゼロの執行人』で安室透が掴んだ社会現象級の人気だ。
同作は当時のシリーズ最高を更新し、「推しに会うために何度も劇場へ通う」というリピーター文化を国内で確立させた。
以降は赤井・キッド・灰原・長野県警・警察学校組といった人気人物を主題に据えるフォーマットが定着し、興収の桁が一段上がったままの構造となっている。

 

Q5. コナン劇場版シリーズで「最も早く完成形で登場した超絶アクションシーン」はどれ?

公式にシリーズ転換点として引き合いに出されるのが、『No.10 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』だ。
2006年公開のシリーズ10周年記念作は、横浜のテーマパーク「ミラクルランド」を舞台に、腕時計型フリーパスIDに仕込まれた爆弾と12時間タイムリミットという極限のサスペンス構造を採用。敷地外へ出れば爆発する仕様の爆弾IDを人質に、指定の事件を解決せよと迫られる展開は劇場版に新しいフォーマットを持ち込んだ。
服部平次・怪盗キッド・遠山和葉・服部平蔵・遠山銀司郎・横溝重悟ら歴代サブキャラが大集結するオールスター方式は以降の節目作の定番となり、終盤で元太が着けたままの爆弾付きIDを怪盗キッドが空中で回収する演出は、祝祭性と緊張感を両立させた劇場版屈指の名場面として語り継がれている。
第30回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した本作以降、『No.12 戦慄の楽譜』『No.14 天空の難破船』と大規模演出のスケールが年々拡張され、10作目にしてオールスター+タイムリミットサスペンス路線の雛形が提示されたことが、以降20年にわたるシリーズ成長の土台となった。

歴代主題歌・テーマ曲一覧

名探偵コナン劇場版29作の主題歌を公開順で一覧化した。各作品名から個別解説へジャンプできる。

No 作品(公開年) 楽曲 アーティスト
1 時計じかけの摩天楼(1997) Happy Birthday 杏子
2 14番目の標的(1998) 少女の頃に戻ったみたいに ZARD
3 世紀末の魔術師(1999) ONE B'z
4 瞳の中の暗殺者(2000) あなたがいるから 小松未歩
5 天国へのカウントダウン(2001) always 倉木麻衣
6 ベイカー街の亡霊(2002) Everlasting B'z
7 迷宮の十字路(2003) Time after time〜花舞う街で〜 倉木麻衣
8 銀翼の奇術師(2004) Dream×Dream 愛内里菜
9 水平線上の陰謀(2005) 夏を待つセイル(帆)のように ZARD
10 探偵たちの鎮魂歌(2006) ゆるぎないものひとつ B'z
11 紺碧の棺(2007) 七つの海を渡る風のように 愛内里菜
12 戦慄の楽譜(2008) 翼を広げて ZARD
13 漆黒の追跡者(2009) PUZZLE 倉木麻衣
14 天空の難破船(2010) Over Drive GARNET CROW
15 沈黙の15分(2011) Don't Wanna Lie B'z
16 11人目のストライカー(2012) ハルウタ いきものがかり
17 絶海の探偵(2013) ワンモアタイム 斉藤和義
18 異次元の狙撃手(2014) ラブサーチライト 柴咲コウ
19 業火の向日葵(2015) オー!リバル ポルノグラフィティ
20 純黒の悪夢(2016) 世界はあなたの色になる B'z
21 から紅の恋歌(2017) 渡月橋 〜君 想ふ〜 倉木麻衣
22 ゼロの執行人(2018) 零 -ZERO- 福山雅治
23 紺青の拳(2019) BLUE SAPPHIRE HIROOMI TOSAKA
24 緋色の弾丸(2021) 永遠の不在証明 東京事変
25 ハロウィンの花嫁(2022) クロノスタシス BUMP OF CHICKEN
26 黒鉄の魚影(2023) 美しい鰭 スピッツ
27 100万ドルの五稜星(2024) 相思相愛 aiko
28 隻眼の残像(2025) TWILIGHT!!! King Gnu
29 ハイウェイの堕天使(2026) ラストダンスあなたと MISIA

主題歌の系譜を辿ると、初期は杏子・ZARD・小松未歩のビーイング系女性ボーカルが起点となり、2000年代はB'z・倉木麻衣・愛内里菜・GARNET CROWのビーイング体制が定着した。
2010年代に入るといきものがかり・斉藤和義・柴咲コウ・ポルノグラフィティ・東京事変など起用幅が一気に広がり、2018年『ゼロの執行人』以降は福山雅治・スピッツ・aiko・King Gnu・MISIAら重量級が連続起用され、興収100億円突破時代の社会現象化を音楽面でも牽引している。

名場面と主題歌の組み合わせも語り草が多い。第7作『迷宮の十字路』のエンドロールで倉木麻衣「Time after time〜花舞う街で〜」が嵐山の朱色の橋と完璧にシンクロした瞬間は、当時の劇場で観客が席を立てなかった伝説の名場面として語り継がれている。
第10作『探偵たちの鎮魂歌』ラストのB'z「ゆるぎないものひとつ」は、シリーズ10周年の重みを総括する稲葉浩志の歌唱が涙腺を直撃。第21作『から紅の恋歌』では倉木麻衣「渡月橋〜君想ふ〜」が彼女のシリーズ主題歌5回目(ギネス世界記録「同一アニメシリーズの映画版主題歌最多担当」)の集大成として歌い上げられた。
第22作『ゼロの執行人』ラストの福山雅治「零-ZERO-」は安室透の使命感と完全に同期して興収100億円超え時代の幕を開け、第26作『黒鉄の魚影』のスピッツ「美しい鰭」はオリコン1位とBillboard JAPAN HOT 100首位を獲得して138.8億円ヒットを音楽面から押し上げた。

 

全作品の公開日・興行収入一覧

本シリーズの全29作品を公開順で一覧化した。各タイトルをタップで詳細解説へジャンプできる。

No 公開日 タイトル 興行収入
1 1997/4/19 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 11.0億円
2 1998/4/18 名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット) 18.5億円
3 1999/4/17 名探偵コナン 世紀末の魔術師 26.0億円
4 2000/4/22 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者 25.0億円
5 2001/4/21 名探偵コナン 天国へのカウントダウン 29.0億円
6 2002/4/20 名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊 34.0億円
7 2003/4/19 名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード) 32.0億円
8 2004/4/17 名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン) 28.0億円
9 2005/4/9 名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー) 21.5億円
10 2006/4/15 名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(レクイエム) 30.3億円
11 2007/4/21 名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー) 25.3億円
12 2008/4/19 名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア) 24.2億円
13 2009/4/18 名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー) 35.0億円
14 2010/4/17 名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ) 32.0億円
15 2011/4/16 名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター) 31.5億円
16 2012/4/14 名探偵コナン 11人目のストライカー 32.9億円
17 2013/4/20 名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ) 36.3億円
18 2014/4/19 名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー) 41.1億円
19 2015/4/18 名探偵コナン 業火の向日葵 44.8億円
20 2016/4/16 名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア) 63.3億円
21 2017/4/15 名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター) 68.9億円
22 2018/4/13 名探偵コナン ゼロの執行人 91.8億円
23 2019/4/12 名探偵コナン 紺青の拳(フィスト) 93.7億円
24 2021/4/16 名探偵コナン 緋色の弾丸 76.5億円
25 2022/4/15 名探偵コナン ハロウィンの花嫁 97.8億円
26 2023/4/14 名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン) 138.8億円
27 2024/4/12 名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) 158.8億円
28 2025/4/18 名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック) 147.4億円
29 2026/4/10 名探偵コナン ハイウェイの堕天使 公開中

 

関連作品

劇場版シリーズ29作の外側にも、コナンファンが押さえておきたい関連作が存在する。本編鑑賞に慣れた後でこそ刺さる「裏ラインナップ」を整理した。
いずれも本編とは別系統で楽しめる作品群であり、コレクター視点で押さえる価値が高い。

モンキー・パンチ作品とのまさかのクロスオーバー企画で、2009年TVスペシャルで助走をつけた後、2013年12月7日に完全新作の劇場版が公開された。
ルパンの軽妙さとコナンの推理が真正面からぶつかる異種格闘技戦は、本家劇場版シリーズの番号には含まれないが、興行収入42.6億円を記録した堂々のヒット作である。
監督は亀垣一、原作・脚本は青山剛昌+柏原寛司、音楽は大野克夫が担当した、両作ファン必見の特別編だ。

 

原作第1話の「工藤新一が毛利蘭と遊園地に行き、黒の組織に薬を盛られて体が縮んだ夜」を、現代の作画で描き直した前日譚スペシャルである。
厳密には劇場作品ではないが、シリーズ全体を振り返る上で欠かせない入門映像として位置づけられる。
新一と蘭の出会い直前の物語が現代クオリティで蘇る、原作ファンへの最高の贈り物となる一本だ。

 

劇場版コナンに常連で登場する怪盗キッドこと黒羽快斗を主人公にした、青山剛昌のもう一つの代表作のアニメ化作品である。
2014年10月から2015年3月まで全24話で放送され、コナン世界観と緩やかに繋がる「黒羽快斗の高校生活と父の謎」を中心に物語が展開する。
キッドの正体・魔術師としての矜持・前任キッド誕生秘話を知ることで、劇場版コナンでのキッド登場回(第3作・第8作・第14作・第19作・第23作)の理解が一段深まる必修関連作だ。

 

まとめ

29年で29作、四半世紀以上にわたって日本のゴールデンウィークを彩り続けてきた『名探偵コナン』劇場版シリーズ。
本格ミステリー、迫力の大規模アクション、安室・赤井・長野県警組・警察学校組ら人気人物をフィーチャーしたキャラクターエンタメへと、時代に合わせてOSを進化させ続けてきた。

特筆すべきは、長期シリーズにありがちなマンネリを打破し、年々ファン層を拡大している点だ。
かつての子供世代が大人になっても劇場へ足を運び、新たな若い世代やキャラ目当ての新規層も巻き込んで、アニメ映画で興収100億円超えを常態化させるモンスターコンテンツへと成長した。

緻密な伏線回収・心揺さぶる人間ドラマ・劇場の大スクリーンでしか味わえない映像体験。
コナン映画は単なるアニメ作品の枠を超え、日本のエンタメ最前線として、これからも映画史を更新し続けていくはずだ。

ロジック中田 ロジック中田
結論として、コナン映画は時代に合わせてOSをアップデートし続けてきました。『ミステリー』から『アクション』、そして『キャラクターエンターテインメント』へ。変わることを恐れなかったからこそ、30年近くトップを走れているんです。
バンカー荒木 バンカー荒木
おお、データ野郎にしては熱いことを言うじゃないか!結局、俺たちはコナンという巨大なエンタメの手のひらの上で踊らされてるってことだな。だが、それがたまらなく心地いいんだよ!
ポップ結衣 ポップ結衣
ふふっ。歴史を振り返ると、それぞれの時代に良さがあって、また第1作から見直したくなっちゃいました♪ 今度の週末、ここで上映会しませんか?