そのゴリラは、かつてマリオの最初のライバルだった。
1981年、任天堂が社運を賭けて送り出したアーケードゲーム『ドンキーコング』。樽を投げる巨大なゴリラと、それを飛び越える赤い帽子の男(後のマリオ)。この一作がなければ、今の任天堂帝国は存在しなかったと言っても過言ではない。
その後、英国レア社による「スーパードンキーコング」での映像革命を経て、シリーズは2D、3D、リズムアクションと多彩に進化を遂げてきた。本記事では、ゲーム史を変えた初代アーケード版から、Nintendo Switch 2で発売された最新作『バナンザ』まで、ドンキーコングの豪快な歴史を紐解いていく。
シリーズ基礎データ
『ドンキーコング』(Donkey Kong)は、任天堂が発売するアクションゲームシリーズ。1981年のアーケード版でデビュー。宮本茂の初ディレクション作品であり、マリオのデビュー作でもある。1994年からは英国レア社開発の『スーパードンキーコング』シリーズが世界的な大ヒットを記録。「タル」や「バナナ」、「K-O-N-Gパネル」などがシリーズ共通のアイコンとなっている。
歴代シリーズ作品一覧(オリジナル版のみ)
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※売上については、(世界)は世界累計、(FC)および(WiiU)国内出荷・DL数の概算データ(リメイク版を含まないオリジナル版の数値)を参照。
| No | 発売日 | タイトル | 売上本数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1981/7/9 | ドンキーコング (AC) | ー |
| 2 | 1982/8/4 | ドンキーコングJR. | 111万本(FC) |
| 3 | 1983/10/26 | ドンキーコング3 | ー |
| 4 | 1994/11/26 | スーパードンキーコング | 930万本(世界) |
| 5 | 1995/11/21 | スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー | 515万本(世界) |
| 6 | 1996/11/23 | スーパードンキーコング3 謎のクレミス島 | 351万本(世界) |
| 7 | 1999/12/10 | ドンキーコング64 | 527万本(世界) |
| 8 | 2004/12/16 | ドンキーコングジャングルビート | 134万本(世界) |
| 9 | 2010/12/9 | ドンキーコング リターンズ | 653万本(世界) |
| 10 | 2014/2/13 | ドンキーコング トロピカルフリーズ | 202万本(WiiU) |
| 11 | 2025/7/17 | ドンキーコング バナンザ | 未確定 |
第1期:任天堂の救世主(1981-1984)
1980年代初頭、日本のアーケードゲーム市場は『スペースインベーダー』(タイトー)や『パックマン』(ナムコ)といった怪物が席巻しており、任天堂はまだ「数あるメーカーの一つ」に過ぎなかった。さらに、北米市場向けに輸出した『レーダースコープ』が大量に売れ残り、経営危機に瀕していたという切実な背景がある。
この在庫基板を再利用するために白羽の矢が立ったのが、入社数年目の宮本茂だった。彼は当初、アメリカで人気の『ポパイ』の版権ゲームを企画したが、権利交渉が破談。その代案として「ゴリラ・大工・美女」のオリジナルキャラを生み出した。これが、世界初の「ジャンプアクション」の誕生であり、後のマリオとドンキーコングの伝説の始まりである。
No.1 ドンキーコング (AC)

| 発売日 | 1981年7月9日(AC版稼働日) |
|---|---|
| 開発 | 任天堂 / 池上通信機 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | ー |
| 対応ハード | アーケード / ファミリーコンピュータ他 |
| プロデューサー | 横井軍平 |
| ディレクター | 宮本茂 |
| デザイナー | 宮本茂 |
| シナリオ | 宮本茂 |
| サウンド | 兼岡行男 |
【概要】
任天堂の名を世界に轟かせた歴史的傑作。巨大なゴリラ「ドンキーコング」にさらわれた恋人レディ(ポリーン)を救うため、配管工(当時は大工設定)の救助マンが鉄骨を登っていく。ボタンで「ジャンプする」という概念をゲームに定着させた作品であり、後の『スーパーマリオブラザーズ』の原型となった。ファミコン版はローンチタイトルとして発売され、本体の普及にも貢献した。『コロコロコミック』などの児童誌では、マリオよりもドンキーコングの方がキャラクターとして大きく扱われることも多かった。
【あらすじ】
ペットのゴリラ・ドンキーコングが、飼い主の恋人であるレディをさらい、建設中のビルへ逃げ込んだ。愛する人を助けるため、主人公は樽や火の粉が飛び交う危険な足場を駆け上がる。ハンマーを取れば無敵になり、樽を豪快に破壊できる。最上階でドンキーコングの足場を崩し、見事レディを救出できるか? ストーリー性のあるデモシーンが導入された最初期のゲームでもある。
大ヒットした本作だが、映画『キングコング』の権利を持つユニバーサル・スタジオから「著作権侵害である」と訴訟を起こされる事件が発生した。任天堂は徹底抗戦し、「ユニバーサル側は以前、キングコングの原作小説はパブリックドメイン(著作権切れ)であると主張して勝訴していた」という事実を突きつけて逆転勝訴。この勝利により、任天堂はアメリカ市場での足場を固め、最強の法務部伝説の幕開けとなった。
No.2 ドンキーコングJR.

| 発売日 | 1982年8月4日(AC版稼働日) |
|---|---|
| 開発 | 任天堂 / R&D1 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約111万本(FC版) |
| 対応ハード | アーケード / ファミリーコンピュータ |
| プロデューサー | 横井軍平 |
| ディレクター | 宮本茂 |
| デザイナー | 宮本茂 |
| シナリオ | 宮本茂 |
| サウンド | 兼岡行男 |
【概要】
前作で捕まった父ドンキーコングを、息子のジュニアが助けに行くという逆転の構図。マリオが唯一「悪役」としてムチを振るって登場する珍しい作品である。ツルを登り降りするアクションが特徴で、2本のツルを掴んで高速移動したり、フルーツを落として敵を倒したりと戦略性が増した。アーケード版稼働から1年後にファミコン版も発売されミリオンセラーを記録。1982年にはアメリカのテレビアニメ『Saturday Supercade』にも登場し、メディアミックスも積極的に行われた。
【あらすじ】
前作の戦いの末、檻に幽閉されてしまった父ドンキーコング。息子のジュニアは、マリオの妨害をかいくぐりながら、父を救うための冒険に出る。ジャングルやマリオの隠れ家など4つのステージを突破し、最後に檻の鍵を全て差し込むと父は解放される。マリオが高い所から落ちて気絶し、ドンキー親子が仲良く去っていくエンディングは、当時のプレイヤーに「正義とは何か」を問いかけた(かもしれない)。
No.3 ドンキーコング3

| 発売日 | 1983年10月26日(AC版稼働日) |
|---|---|
| 開発 | 任天堂 / R&D1 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | ー |
| 対応ハード | アーケード / ファミリーコンピュータ |
| プロデューサー | 横井軍平 |
| ディレクター | 宮本茂 |
| デザイナー | 宮本茂 |
| シナリオ | 宮本茂 |
| サウンド | 田中宏和 |
【概要】
主人公がマリオではなく「スタンリー」という新キャラに変更された異色作。ジャンルもアクションから固定画面シューティングへと変化した。殺虫スプレーでドンキーコングのお尻を押し上げ、最上段まで追いやればクリアとなる。『ギャラクガ』などのシューティングブームを意識した作りだが、前2作ほどのヒットにはならなかった。スタンリーはその後『スマブラ』等にカメオ出演するまで長い眠りにつくことになるが、スプレー攻撃というアイデアは後のゲームにも影響を与えた。
【あらすじ】
植物園の管理をしているスタンリーの元に、ドンキーコングが迷い込んできた。ドンキーは凶暴な蜂たちをけしかけ、植物園を荒らそうとする。スタンリーは愛用のスプレーを手に、蜂を撃退しながらドンキーコングを撃ち上げる。3つの植物園を守り抜く戦い。ドンキーコングがなぜ植物園を襲ったのかは謎のままである。
第2期:レア社革命とCGの衝撃(1994-1999)
1990年代半ば、ゲーム業界は次世代機戦争の真っただ中にあった。1994年末にセガサターンとPlayStationが相次いで発売され、「これからは3Dの時代」「スーパーファミコンはもう古い」という空気が漂い始めていた。任天堂の次世代機NINTENDO64の発売は遅れており、SFC市場の延命が急務だった。
そんな中、任天堂はイギリスの「レア社」と提携し、シリコングラフィックス社(SGI)の高性能ワークステーションを用いたプリレンダリングCG技術を導入。「SFCで3Dが動いている!」と世界中を驚愕させたのが『スーパードンキーコング』である。
美しいグラフィック、デビッド・ワイズによる環境音を取り入れた幻想的な音楽、そしてやり応えのあるアクション。当時の『ファミ通』クロスレビューでも「次世代機泣かせ」と評され、多くの批評家が満点近いスコアをつけた。このシリーズの爆発的ヒットは、SFC市場の寿命を数年延ばしたと言われている。
No.4 スーパードンキーコング

| 発売日 | 1994年11月26日 |
|---|---|
| 開発 | レア |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約930万本(世界) |
| 対応ハード | スーパーファミコン |
| プロデューサー | 宮本茂 / ティム・スタンパー |
| ディレクター | ティム・スタンパー |
| デザイナー | グレッグ・メイルズ |
| シナリオ | - |
| サウンド | デビッド・ワイズ 他 |
【概要】
「デジタル・レンダリング」という新技術を引っ提げて登場したシリーズ新生作。アーケード時代のドンキーの孫という設定の2代目ドンキーコングと、相棒ディディーコングが活躍する。国内300万本、世界930万本というメガヒットを記録。ファミ通クロスレビューでは平均9点以上をマークし、「まるで映画のような美しさ」と絶賛された。発売前のTVCMでは、CGで描かれたドンキーコングがバナナを食べながら喋る映像が流れ、その滑らかな動きがお茶の間に衝撃を与えた。
【あらすじ】
ドンキーコング・アイランドのバナナ倉庫から、全てのバナナが盗まれてしまった! 犯人はワニの軍団「クレムリン軍団」の王、キングクルール。ドンキーコングは相棒のディディーコングと共に、奪われたバナナを取り戻す旅に出る。ジャングル、鉱山、雪山、工場など、バラエティ豊かなステージを駆け抜け、海賊船に乗り込みキングクルールとの決戦に挑む。シンプルながらも、アクションゲームの根源的な楽しさが詰まった物語。
1994年11月にセガサターン、12月にPlayStationが発売され、ゲーム業界は32bit機による「次世代機戦争」へ突入した。ポリゴンによる3Dグラフィックがトレンドになる中、任天堂はあえて旧世代機であるスーパーファミコンで『スーパードンキーコング』を投入。その圧倒的なグラフィックと面白さは「32bit機なんていらない」とユーザーに思わせるほどのインパクトを与え、SFC市場の底力を見せつけた。
No.5 スーパードンキーコング2 ディクシー&ディディー

| 発売日 | 1995年11月21日 |
|---|---|
| 開発 | レア |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約515万本(世界) |
| 対応ハード | スーパーファミコン |
| プロデューサー | 宮本茂 / ティム・スタンパー |
| ディレクター | ティム・スタンパー |
| デザイナー | グレッグ・メイルズ |
| シナリオ | - |
| サウンド | デビッド・ワイズ |
【概要】
前作の主人公ドンキーコングがさらわれ、ディディーコングと新キャラ「ディクシーコング」が救出に向かう続編。ポニーテールを使ったホバリングなどアクション性が向上。難易度はシリーズ屈指の高さを誇るが、やり込み要素(ロストワールド)や音楽の完成度が極めて高く、「シリーズ最高傑作」に推すファンも多い。『ファミ通』等のレビューでも前作同様の高評価を得た。CMでは「スーパーなのはグラフィックだけじゃない」と、ゲーム性の高さをアピールしていた。
【あらすじ】
バナナを取り戻して平和に暮らしていたドンキーコングが、キャプテン・クルール(キングクルールの変装)に誘拐されてしまった。身代金として「バナナ倉庫のバナナ全て」を要求されるが、ディディーコングはこれを拒否。ガールフレンドのディクシーと共に、敵の本拠地「クレムリン島」へと乗り込む。不気味な遊園地や溶岩地帯、茨の森など、前作以上に過酷なステージを越え、ドンキーコングを救出する愛と勇気の物語。
No.6 スーパードンキーコング3 謎のクレミス島

| 発売日 | 1996年11月23日 |
|---|---|
| 開発 | レア |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約351万本(世界) |
| 対応ハード | スーパーファミコン |
| プロデューサー | 宮本茂 / ティム・スタンパー |
| ディレクター | ティム・スタンパー |
| デザイナー | - |
| シナリオ | - |
| サウンド | エブリン・フィッシャー 他 |
【概要】
SFC三部作の完結編。今度はドンキーとディディーが行方不明になり、ディクシーと赤ちゃんゴリラ「ディンキー」が主役となる。マップ上を自由に移動できる要素や、アイテム交換イベントなど、アドベンチャー要素が強化された。1996年夏にNINTENDO64が既に発売されており、市場の関心が次世代機へ移っていたため売上は前作より落ちたが、SFC成熟期の作品として完成度は非常に高い。
【あらすじ】
ドンキーとディディーが探検に出かけたまま帰ってこない。心配したディクシーは、従弟のディンキーコングを連れて、謎の「クレミス島」へと向かう。島では機械化されたクレムリン軍団と、謎の指導者「バロンクルール」が暗躍していた。乗り物を駆使して島中を探索し、捕らわれた二人を救い出す。すべての黒幕を倒した時、SFC時代のドンキーコングの物語は幕を閉じる。
No.7 ドンキーコング64

| 発売日 | 1999年12月10日 |
|---|---|
| 開発 | レア |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約527万本(世界) |
| 対応ハード | NINTENDO64 |
| プロデューサー | 宮本茂 / ティム・スタンパー |
| ディレクター | ジョージ・アンドレアス |
| デザイナー | - |
| シナリオ | - |
| サウンド | グラント・カークホープ |
【概要】
シリーズ初の3D箱庭アクション。『スーパーマリオ64』や『バンジョーとカズーイの大冒険』の流れを汲む作品。5匹のコングを使い分け、広大なステージを探索して「ゴールデンバナナ」を集めるコレクタソン(収集ゲー)の極致。グラフィック強化のために周辺機器「メモリー拡張パック」が必須で、ソフトに同梱されて販売された。CMでの「ドンキーが3Dになった!」というアピールや、オープニングの「モンキーラップ」は強烈なインパクトを残した。
【あらすじ】
キングクルールが新兵器「ブラストマティック」でDKアイランドを破壊しようと企むが、故障により失敗。クルールは修理の時間を稼ぐため、ドンキーの仲間たちを誘拐し、ゴールデンバナナを盗み出した。ドンキーコングは仲間たち(ディディー、ランキー、タイニー、チャンキー)を救出しながら、島を守るために戦う。各キャラの固有アクションを駆使した謎解きがカギとなる。
第3期:実験と模索の時代(2003-2005)
2002年、任天堂がレア社株をマイクロソフトへ売却したことで、レア社によるドンキーコング開発は終了を迎えた。主要スタッフを失ったドンキーコングは、しばらくの間、アクションゲームとしての正統続編が途絶えることになる。PlayStation 2が市場を支配する中、任天堂はゲームキューブで苦戦を強いられており、ドンキーコングIPの維持も課題となっていた。
この時期は、ナムコ開発のリズムゲーム『ドンキーコンガ』や、独自のコントローラーを使った『ジャングルビート』など、実験的なタイトルが展開された。コロコロコミック等では「新しい遊び」として大きく特集されたが、コアなアクションファンからは「普通のアクションがやりたい」という声も聞かれた。しかし、これらの作品はキャラクター性を維持し、次代へ繋ぐための重要な架け橋となった。
No.8 ドンキーコングジャングルビート

| 発売日 | 2004年12月16日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂東京制作部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約134万本(世界) |
| 対応ハード | ニンテンドーゲームキューブ |
| プロデューサー | 小泉歓晃 |
| ディレクター | 清水欣一 |
| デザイナー | - |
| シナリオ | - |
| サウンド | 長田真 |
【概要】
専用コントローラー「タルコンガ」を使って操作する異色のアクションゲーム。右の太鼓で右移動、左で左移動、両方叩いてジャンプ、手拍子で攻撃という直感的な操作が特徴。開発は『スーパーマリオギャラクシー』などを手掛けた任天堂東京制作部。敵を連続で踏みつけるコンボアクションの爽快感は凄まじく、隠れた名作として評価が高い。ファミ通クロスレビューでは33点。アクションゲームとしての質の高さは認められつつも、専用コントローラー必須というハードルの高さが指摘された。
【あらすじ】
これまでのキングクルールとの戦いとは異なり、ドンキーコングがジャングルの王者の座をかけて、各地のキングたち(土佐犬や鳥など)と戦うストーリー。バナナを集めて「音」で王国を制覇していく、より野性味あふれるドンキーコングの姿が描かれる。
2004年12月、任天堂から「ニンテンドーDS」、ソニーから「PSP」が相次いで発売され、携帯ゲーム機市場で激しいシェア争いが始まった。据え置き機ではPS2が圧倒的なシェアを誇る中、『ジャングルビート』はGC末期のタイトルとして発売された。世間の注目が携帯機の新ギミック(タッチパネル等)に向く中で、タルコンガというフィジカルな遊びを提案した本作は、任天堂らしい独創性の塊だったと言える。
第4期:レトロスタジオによる原点回帰(2010-2014)
『New スーパーマリオブラザーズ Wii』の大ヒットにより、横スクロールアクションゲームの再評価が進んでいた2010年。『メトロイドプライム』シリーズで実績を上げた米国のレトロスタジオが開発を担当し、ドンキーコングが2D横スクロールアクションとして復活した。
この時期の最大の特徴は「高難易度への回帰」である。同時期には『モンスターハンター』シリーズのブームなどもあり、歯ごたえのあるアクションを求めるゲーマーが増えていた。
レトロスタジオは、レア社時代をリスペクトしつつ、ダイナミックなカメラワーク演出と、精密な操作を要求されるレベルデザインを融合。海外先行で発売され、高い評価を得てからの日本上陸という流れもあり、往年のファンと新規層の両方を唸らせた。
No.9 ドンキーコング リターンズ
| 発売日 | 2010年12月9日 |
|---|---|
| 開発 | レトロスタジオ |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約653万本(世界) |
| 対応ハード | Wii |
| プロデューサー | 田邊賢輔 |
| ディレクター | ブライアン・ウォーカー |
| デザイナー | ヴィンス・ジョリー |
| シナリオ | - |
| サウンド | 山本健誌 他 |
【概要】
『スーパードンキーコング』以来、約14年ぶりとなる横スクロールアクションの正統続編。CMには俳優の松本潤と大野智(嵐)が起用され、幅広い層へアピールされた。Wiiリモコンを振って地面を叩くアクションや、奥の画面へ移動するギミックなど、3D空間を活かした2Dアクションとして完成された。難易度は非常に高いが、お助けアイテムも充実しており、世界中でヒットした。ファミ通クロスレビューは32点と意外に辛口だったが、これは高難易度と操作性の好みが分かれたためと思われる。
【あらすじ】
ドンキーコング・アイランドの火山が噴火し、現れた「ティキ族」が動物たちを催眠術で操り、バナナを奪っていった。ドンキーコングとディディーコングは、奪われたバナナを取り戻すため冒険に出る。夕日が美しい海岸、崩れ落ちる遺跡、トロッコが暴走する洞窟など、美しいグラフィックで描かれた島を駆け巡る。
2010年は、PSPの『モンスターハンターポータブル 3rd』が社会現象となり、協力プレイブームが頂点に達していた時期。一方で、AKB48などのアイドルブームも全盛期を迎えていた。Wii市場は成熟期に入り、カジュアル層向けのタイトルが多くなる中で、『ドンキーコング リターンズ』のような「ガチなアクション」は、コアゲーマーにとって待望のタイトルだった。
No.10 ドンキーコング トロピカルフリーズ
| 発売日 | 2014年2月13日 |
|---|---|
| 開発 | レトロスタジオ |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 約202万本(WiiU版) |
| 対応ハード | Wii U |
| プロデューサー | 田邊賢輔 |
| ディレクター | ライアン・ハリス |
| デザイナー | - |
| シナリオ | - |
| サウンド | デビッド・ワイズ 他 |
【概要】
HD画質に対応し、ドンキーコングの毛並みまでリアルに表現された作品。ファン待望のデビッド・ワイズがコンポーザーとして復帰し、名曲の数々がアレンジされて蘇った。ディクシーとクランキーコングもプレイアブルキャラとして参加。ファミ通クロスレビューは35点のプラチナ殿堂入り。Wii U版の売上はハード普及台数に苦しんだが、後にSwitch版が発売され、そちらは400万本以上を売り上げている。高難易度アクションの最高峰として現在でも評価が高い。
【あらすじ】
ドンキーコングの誕生日を祝っている最中、北の海からバイキング「ザ・スノーマッズ」が襲来。島は氷漬けにされ、ドンキーたちは遠くの島まで吹き飛ばされてしまう。奪われた故郷を取り戻すため、6つの島を巡る冒険が始まる。水中ステージの復活や、ダイナミックなカメラアングルが冒険を盛り上げる。
第5期:新ハードでの再始動(2025)
『トロピカルフリーズ』から約11年の沈黙を破り、ついにドンキーコングが帰ってきた。舞台は次世代機「Nintendo Switch 2」。『スーパーマリオ オデッセイ』などを手掛けた任天堂EPD(企画制作本部)が開発を主導し、ドンキーコング本来の「パワフルな破壊」と「冒険」にフォーカスした完全新作が登場した。
発売前からThe Game Awardsなどの海外イベントで大きく取り上げられ、Amazonの予約ランキングでは4週連続1位を独占するなど、世界中の期待を背負ってのリリースとなった。
No.11 ドンキーコング バナンザ
| 発売日 | 2025年7月17日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂EPD |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 未確定(好評発売中) |
| 対応ハード | Nintendo Switch 2 |
| プロデューサー | 小泉歓晃 |
| ディレクター | - |
| デザイナー | - |
| シナリオ | - |
| サウンド | - |
【概要】
『ドンキーコング64』以来、約26年ぶりとなる完全新作3Dアクションゲーム。Nintendo Switch 2専用タイトルとして発売された。タイトルの「バナンザ(Bananza)」は「バナナ」と「ボナンザ(大当たり/大鉱脈)」を掛けた造語。地面や壁を破壊して進む豪快なアクションと、地底世界を掘り進む探索要素が特徴。The Game Awards 2025で「Best Family Game」を受賞するなど評価は上々。長らく姿を消していたキングクルールも復活し、往年のファンを歓喜させた。
【あらすじ】
ドンキーコングはある日、コング長老から「どんな願いも叶う」とされる秘宝「バナルート」の存在を聞かされる。時を同じくして、謎の採掘企業「ヴォイドカンパニー」が島の地下を荒らし始めた。ドンキーコングは、岩に封印されていた少女・ポリーン(子供の姿)と共に、星の中心を目指して地下深くへと潜っていく。ツルハシを持った敵や、復活した宿敵キングクルール、そして謎の社長ヴォイドコング。全てをぶっ壊して突き進む、地底大冒険が始まる。
まとめ:ドンキーコングは進化を止めない
1981年のアーケード稼働から40年以上。マリオの最初のライバルとして生を受けたゴリラは、レア社の魔法によって主役の座を射止め、任天堂を代表するアクションスターへと成長を遂げました。
2Dから3Dへ、ドット絵からプリレンダリングCG、そして超美麗なHDグラフィックへ。表現手法や開発スタジオが変わっても、このシリーズの根底に流れる「タルを投げ、バナナを集め、敵を踏みつける」という野性味あふれる楽しさは決して変わりません。
最新作『バナンザ』で新たな地平を切り拓いたドンキーコング。その豪快なアクションは、これからも世代を超えてゲーマーたちの野生を呼び覚まし続けることでしょう。


