「ハイ、僕はチャッキー。ずっと仲良しでいようね(Hi, I'm Chucky. Friends to the End.)」
可愛らしいおもちゃの挨拶が、これほどまでに恐怖の代名詞になると誰が想像しただろうか。1988年に第1作が公開された『チャイルド・プレイ』は、凶悪犯の魂が乗り移った人形「チャッキー」が人々を襲うというショッキングな設定で、瞬く間に世界を震撼させた。
しかし、本シリーズの魅力は単なる恐怖だけではない。シリーズを重ねるごとに増していくチャッキーのブラックユーモア、家族愛(?)、そして人形ならではのコミカルな動きは、いつしか観客に「恐怖」と同時に「愛着」さえ抱かせるようになった。ホラー映画界の小さなスーパースター、チャッキーの最恐の歴史を振り返ろう。
シリーズデータ
『チャイルド・プレイ(Child's Play)』は、ドン・マンシーニ原案・脚本によるアメリカのホラー映画シリーズ。1988年の第1作が大ヒットし、以降、続編やリブート版が制作されている。
殺人鬼チャールズ・リー・レイ(通称チャッキー)が、ブードゥー教の秘術で魂を移した「グッドガイ人形」。持ち主の少年アンディの体を乗っ取ろうと執拗に追いかける執念と、不死身の生命力が特徴。近年はホラーコメディ要素やメタフィクション要素を取り入れるなど、作風の幅広さも話題となっている。
歴代作品一覧
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| No | 公開年(米) | タイトル | 興行収入 (全世界) |
|---|---|---|---|
| 1 | 1988年 | チャイルド・プレイ | 約4,400万ドル |
| 2 | 1990年 | チャイルド・プレイ2 | 約3,500万ドル |
| 3 | 1991年 | チャイルド・プレイ3 | 約2,000万ドル |
| 4 | 1998年 | チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁 | 約5,000万ドル |
| 5 | 2004年 | チャイルド・プレイ/チャッキーの種 | 約2,400万ドル |
| 6 | 2013年 | チャイルド・プレイ/誕生の秘密 | ※ビデオ作品 |
| 7 | 2017年 | チャイルド・プレイ 〜チャッキーの狂気病棟〜 | ※ビデオ作品 |
| 8 | 2019年 | チャイルド・プレイ(リブート版) | 約4,500万ドル |
第1期:正統派オカルトホラーの恐怖(1988-1991)
記念すべき第1作から第3作までの初期三部作。この時期は「コメディ要素」は控えめで、正体不明の殺人人形が少年アンディを執拗に追い詰める「サイコ・サスペンス」としての色が濃い。
特に第1作は、人形が動くシーンを極力見せない演出で心理的な恐怖を煽り、批評家からも高く評価された。CGが未発達な時代、アニマトロニクス(機械仕掛けの人形)と子役の演技で表現されたチャッキーの生々しい表情は、今見ても色褪せない不気味さを放っている。
No.1 チャイルド・プレイ
| 公開年(米) | 1988年 |
|---|---|
| 監督 | トム・ホランド |
| 脚本 | ドン・マンシーニ ほか |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、アンディ(アレックス・ヴィンセント)、カレン(キャサリン・ヒックス) |
【概要】
伝説の始まり。逃走中に瀕死の重傷を負った連続殺人鬼チャールズ・リー・レイが、ブードゥー教の秘術で「グッドガイ人形」に魂を乗り移らせる。その人形を手に入れた少年アンディと、彼の言葉を信じない大人たち、そして忍び寄るチャッキーの影を描くサイコ・ホラー。「電池が入っていないのに動いていた」という真実が発覚するシーンは、ホラー映画史に残る名場面。
【あらすじ】
6歳の誕生日、アンディはずっと欲しかった「グッドガイ人形」を母親からプレゼントされ大喜びする。しかし、その人形には凶悪な殺人鬼の魂が宿っていた。チャッキーと名乗る人形は、アンディの前でだけ正体を現し、彼を利用して復讐を重ねていく。周囲の大人たちはアンディの言動を虚言だと決めつけるが、母親のカレンが人形の箱から「未使用の電池」を発見した時、戦慄の事実が明らかになる。
日本では『ドラゴンクエストIII』が社会現象となり、東京ドームが開業した年。ホラー映画界では『エルム街の悪夢』や『13日の金曜日』などのシリーズが人気を博しており、そこに「殺人人形」という新たなアイコンが加わった形となった。当時はレンタルビデオ文化が全盛期を迎えつつあり、パッケージのインパクトもあって日本でも多くの子供たちがトラウマを植え付けられた。
No.2 チャイルド・プレイ2
| 公開年(米) | 1990年 |
|---|---|
| 監督 | ジョン・ラフィア |
| 脚本 | ドン・マンシーニ |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、アンディ(アレックス・ヴィンセント)、カイル(クリスティーン・エリス) |
【概要】
前作の直後を描く続編。黒焦げになったチャッキーが玩具メーカーによって修復され復活。里子に出されたアンディを執拗に追いかける。クライマックスのおもちゃ工場での対決は、色とりどりの玩具と残虐な描写のコントラストが強烈。義理の姉カイルという頼もしい味方が登場し、アンディと共に戦う姿が熱い。
【あらすじ】
事件後、アンディの母は精神病院へ入れられ、アンディは里子に出される。一方、グッドガイ人形の製造元は悪い噂を払拭するため、黒焦げのチャッキーを回収し修理してしまう。復活したチャッキーは、自分の魂を移す器として再びアンディを狙う。新しい家でも孤立するアンディだったが、不良っぽい義姉カイルだけは彼の味方となり、二人はチャッキーとの決戦の地、おもちゃ工場へ向かう。
No.3 チャイルド・プレイ3
| 公開年(米) | 1991年 |
|---|---|
| 監督 | ジャック・ベンダー |
| 脚本 | ドン・マンシーニ |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、アンディ(ジャスティン・ホエリン) |
【概要】
前作から8年後、16歳に成長したアンディを描く。舞台は陸軍幼年学校。またしても復活したチャッキーが、今度は新しいターゲット(幼い少年タイラー)に魂を移そうと画策する。遊園地の「お化け屋敷」での最終決戦が見どころ。シリーズの中では興行的に苦戦し、ここから長期間の沈黙に入ることになる。
【あらすじ】
グッドガイ人形の製造が再開され、材料に前回のチャッキーの血が混入したことでまたもや復活。16歳になったアンディが入隊した陸軍学校へチャッキーが郵送されてくる。しかし、チャッキーはそこで出会った少年タイラーを新たな器として狙い始める。アンディはタイラーを守るため、そして自らの悪夢を終わらせるため、軍事訓練演習の混乱に乗じてチャッキーを追う。
第2期:ブラックコメディへの転換と「花嫁」の登場(1998-2004)
7年の沈黙を破って公開された『チャッキーの花嫁』は、それまでの正統派ホラーから一転、ブラックユーモア満載のホラー・コメディへと大胆な路線変更を行った。チャッキーの恋人ティファニーが登場し、人形同士の殺戮ロードムービーという異色の展開に。
続く『チャッキーの種』では、二人の子供が登場し、さらにメタフィクション要素も取り入れるなど、カルト的な人気を博す独自の路線を突き進んだ。この時期のチャッキーは顔がツギハギだらけで、最もアイコニックなビジュアルとして知られている。
No.4 チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁
| 公開年(米) | 1998年 |
|---|---|
| 監督 | ロニー・ユー |
| 脚本 | ドン・マンシーニ |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、ティファニー(ジェニファー・ティリー) |
【概要】
チャッキーの元恋人・ティファニーが登場。バラバラになったチャッキーを縫い合わせて復活させるが、喧嘩の末にティファニーも花嫁人形に魂を移されてしまう。人形カップルが人間に戻るための秘宝を求めて、若いカップルの車に便乗して旅をするロードムービー。ロックなBGMとブラックジョーク満載で、シリーズ中最も興行的に成功した作品の一つ。
【あらすじ】
人間時代のチャッキーの恋人ティファニーは、警察の証拠品保管庫からチャッキーの残骸を盗み出し、ブードゥー教の秘術で復活させる。しかし、結婚に対する考えの違いからチャッキーに殺され、魂を花嫁人形に移されてしまう。二人は人間に戻るために必要な「ダンバラの心臓」を手に入れるため、駆け落ちカップルの車に潜り込み、殺戮のハネムーンへと出発する。
No.5 チャイルド・プレイ/チャッキーの種
| 公開年(米) | 2004年 |
|---|---|
| 監督・脚本 | ドン・マンシーニ |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、ティファニー(ジェニファー・ティリー)、グレン/グレンダ(ビリー・ボイド) |
【概要】
チャッキーとティファニーの間に子供がいた!? 心優しい人形シットフェイスが、両親を探しにハリウッドへ。そこで再会したチャッキーたちは、息子を「グレン(男)」か「グレンダ(女)」かで揉めながら教育を始める。ジェニファー・ティリーが「本人役」で登場するなど、メタフィクション全開のコメディ色が強い作品。
【あらすじ】
イギリスで見世物にされていた腹話術人形のシットフェイスは、テレビでチャッキーたちの存在を知り、自分が彼らの子供だと確信する。ハリウッドで映画撮影中のチャッキーとティファニーを復活させた彼は、「グレン」と名付けられる。しかし、殺しを楽しむ両親に対し、グレンは殺人を嫌う優しい性格だった。教育方針の違いで対立するチャッキー家。彼らは人間に戻るターゲットとして、女優ジェニファー・ティリーを狙う。
第3期:原点回帰とAI時代の恐怖(2013-2019)
コメディ路線から一転、本来の「ゴシック・ホラー」への回帰を目指した『誕生の秘密』と『狂気病棟』。これらはアメリカでは劇場公開されずビデオ作品としてリリースされたが、そのクオリティの高さからファンに熱狂的に迎えられた。
そして2019年、ついにシリーズのリブート版『チャイルド・プレイ』が公開。ここではチャッキーの設定が「殺人鬼の魂」から「暴走したAI搭載スマート家電」へと変更され、現代社会ならではのテクノロジー・ホラーとして生まれ変わった。
No.6 チャイルド・プレイ/誕生の秘密
| 公開年(米) | 2013年(ビデオ作品) |
|---|---|
| 監督・脚本 | ドン・マンシーニ |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、ニカ(フィオナ・ドゥーリフ) |
【概要】
原点回帰を掲げたゴシック・ホラー。チャッキーの顔の傷がなくなり、第1作のような不気味な人形に戻っている。足の不自由な女性ニカを主人公に、屋敷という閉鎖空間での恐怖を描く。チャールズ・リー・レイが人形になる前の「過去の因縁」が明かされ、シリーズのミッシングリンクが繋がる重要作。ニカ役のフィオナ・ドゥーリフは、チャッキーの声優ブラッド・ドゥーリフの実の娘である。
【あらすじ】
とある屋敷に差出人不明のグッドガイ人形が届く。その夜、母親が謎の死を遂げ、車椅子の娘ニカは悲しみに暮れる。葬儀のために姉家族が集まるが、幼い姪のアリスが人形を気に入ってしまう。次々と起こる不審死。ニカは人形に隠された恐ろしい秘密と、自分とチャッキーとの間に隠された衝撃的な過去を知ることになる。
No.7 チャイルド・プレイ 〜チャッキーの狂気病棟〜
| 公開年(米) | 2017年(ビデオ作品) |
|---|---|
| 監督・脚本 | ドン・マンシーニ |
| キャスト(声) | チャッキー(ブラッド・ドゥーリフ)、ニカ(フィオナ・ドゥーリフ)、アンディ(アレックス・ヴィンセント) |
【概要】
前作の続編。精神病院を舞台に、チャッキーが増殖(分裂)するという新たな能力を見せる。真っ白な病院内での鮮血のコントラストが狂気を煽る。大人になった初代主人公アンディが本格的に参戦し、チャッキーとの因縁の対決に挑む。物語は後のテレビシリーズ『チャッキー』へと続いていく。
【あらすじ】
一家殺害の罪を着せられ、精神病院に収容されたニカ。治療の一環として「グッドガイ人形」がセラピーに使われることになるが、それを機に病院内で残虐な殺人が発生する。自分の妄想だと思い込まされていたニカだったが、人形は生きていた。一方、チャッキーへの復讐を誓うアンディも病院へ潜入する。しかし、チャッキーは秘術によって複数の人形に魂を分け与え、軍団となっていた。
No.8 チャイルド・プレイ(2019年 リブート版)
| 公開年(米) | 2019年 |
|---|---|
| 監督 | ラース・クレヴバーグ |
| 脚本 | タイラー・バートン・スミス |
| キャスト(声) | チャッキー(マーク・ハミル)、アンディ(ガブリエル・ベイトマン) |
【概要】
シリーズ初のリブート(再起動)作品。設定を一新し、チャッキーはオカルトではなく「AI搭載のハイテク人形(バディ人形)」として描かれる。安全装置を解除されたAIが暴走し、持ち主への歪んだ愛情から殺人を犯すという現代的な恐怖。チャッキーの声は『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカー役で知られるマーク・ハミルが担当し、無邪気ゆえの狂気を見事に演じた。
【あらすじ】
引っ越してきたばかりで友達がいない少年アンディは、母から最新のAI人形「バディ」をプレゼントされる。チャッキーと名付けられたその人形は、学習機能を持ち、アンディの親友になろうとする。しかし、その人形は不良品としてリミッターが解除された個体だった。「アンディを傷つける奴は許さない」。チャッキーの愛情は暴走し、スマート家電をハッキングして殺戮を開始する。
まとめ:恐怖は形を変えて生き続ける
ブードゥー教の呪いから、AIの暴走へ。時代に合わせてその正体を変えながらも、「チャッキー」というキャラクターが持つ根源的な恐怖と魅力は変わることがない。無邪気な笑顔の裏に隠された狂気は、いつの時代も私たちに問いかける。「ねえ、僕と遊ばない?」と。



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