「時は後漢末期。黄巾の乱を皮切りに、群雄割拠の時代が幕を開ける……」
男たちの野望と知略が交錯する『三国志演義』の世界。その物語を自らの手で描き直すことができるゲーム、それがコーエーテクモゲームス(旧・光栄)の『三國志』シリーズだ。
1985年にPCで第1作が登場して以来、実に40年近くにわたって愛され続けるこのシリーズは、「歴史シミュレーションゲーム」というジャンルを確立し、多くのゲーマーに歴史の面白さを教えてくれた。劉備となって仁徳の世を目指すもよし、曹操となって覇道を突き進むもよし、あるいは弱小君主となって大国を手玉に取るもよし。プレイヤーの数だけ異なる歴史がそこには生まれる。
武将の能力値、内政と戦争のバランス、そして「パワーアップキット」という販売形態。シリーズが築き上げたシステムは、後の多くのゲームに影響を与えた。本記事では、進化を続ける『三國志』シリーズのナンバリング全14作品を振り返り、その変遷と色褪せない魅力を解説する。
シリーズ基礎データ
『三國志』シリーズは、コーエーテクモゲームス(旧・光栄)が開発・販売する歴史シミュレーションゲーム。第1作は1985年に発売。シブサワ・コウ(襟川陽一)がプロデュースを務める。プレイヤーは三国時代の君主(作品によっては一武将)となり、内政で国力を高め、外交で同盟を結び、戦争で領土を広げ、最終的に中国全土の統一を目指す。「武力」「知力」「政治」「魅力」といった数値で武将を表現するシステムは、歴史上の人物のイメージを決定づけるほどの影響力を持つ。シリーズ累計出荷本数は800万本を超えている。
歴代作品一覧
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※発売日はPC版(PC-88/98/Windows等)または家庭用初出の代表的な日付。
| No | 発売日 | タイトル | 売上本数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1985/12/10 | 三國志 | - |
| 2 | 1989/12/1 | 三國志II | - |
| 3 | 1992/2/5 | 三國志III | - |
| 4 | 1994/2/11 | 三國志IV | - |
| 5 | 1995/12/15 | 三國志V | - |
| 6 | 1998/3/13 | 三國志VI | - |
| 7 | 2000/2/18 | 三國志VII | - |
| 8 | 2001/6/29 | 三國志VIII | - |
| 9 | 2003/3/14 | 三國志IX | - |
| 10 | 2004/7/2 | 三國志X | - |
| 11 | 2006/3/17 | 三國志11 | - |
| 12 | 2012/4/20 | 三國志12 | - |
| 13 | 2016/1/28 | 三國志13 | - |
| 14 | 2020/1/16 | 三國志14 | - |
第1期:歴史シミュレーションの幕開け(1985-1993)
1980年代中盤、まだ「シミュレーションゲーム」というジャンルが一部のパソコンユーザーだけのものだった時代に、『信長の野望』に続く歴史SLG第2弾として『三國志』は誕生した。当時のPCゲーム市場において、1万円を超える価格(いわゆる「光栄価格」)でありながら、その圧倒的なデータ量と戦略性は多くの大人たちを虜にした。
この時期の作品(I~III)は、シリーズの基礎を築いた「確立期」と言える。「武力」「知力」などのパラメータで武将を格付けし、ヘックス(六角形)やスクエア(四角形)のマス目で区切られたマップで戦うスタイルは、ボードゲームの影響を色濃く残しつつも、コンピュータならではの複雑な計算処理を取り入れていた。特に『III』では、戦場マップと都市マップが統合されるなどの進化が見られ、PCエンジンのCD-ROM²やスーパーファミコンといった家庭用ゲーム機への移植も積極的に行われたことで、歴史マニア以外の層にも「三国志」の物語が浸透していく契機となった。横山光輝の漫画『三国志』や、NHKの人形劇『三国志』と共に、日本における三国志ブームの一翼を担った時代である。
No.1 三國志

| 発売日 | 1985年12月10日 |
|---|---|
| 開発 | 光栄 |
| 発売 | 光栄 |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | PC-8801 / FC 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
歴史的記念碑となる第1作。プレイヤーは劉備、曹操、孫堅などの君主となり、中国全土の58の国を統一することを目指す。「武力」「知力」「カリスマ」などのパラメータで武将を個別にデータ化し、人事、内政、外交、軍事を行うターン制シミュレーションの基礎を作り上げた。武将の引き抜きや火計など、三国志らしい駆け引きも再現。シンプルながらも奥が深く、多くのプラットフォームに移植された。
【あらすじ(プレイ体験)】
189年、洛陽燃ゆ。董卓の暴政に対し、各地の群雄が立ち上がる。プレイヤーは弱小君主としてスタートし、まずは優秀な武将を集め、荒れ果てた土地を耕すことから始める。夏には洪水、秋にはイナゴの被害に怯えながら、民の忠誠度を高めていく。隣国との同盟、裏切り、そして決戦。呂布の圧倒的な武力に震え、諸葛亮の知略に頼る。何年もかけて国力を蓄え、ついに洛陽へと進軍する時の高揚感は、まさに覇者のそれである。
1985年はファミコンブームの真っ只中であり、『スーパーマリオブラザーズ』が社会現象となっていた年である。そんな中、パソコン市場では『三國志』のような大人向けのじっくり遊ぶゲームが支持を集めていた。アクションゲームの反射神経ではなく、知恵と時間をかけて攻略するスタイルは、当時のパソコン少年や歴史好きの大人たちにとって、知的遊戯の最高峰として受け入れられた。
No.2 三國志II

| 発売日 | 1989年12月1日 |
|---|---|
| 開発 | 光栄 |
| 発売 | 光栄 |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | PC-8801 / FC / SFC 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
前作のシステムを継承しつつ、あらゆる面をパワーアップさせた正統進化版。武将数は約350人に増え、「信用度」や「義理」といったマスクデータの概念が戦略に深みを与えた。「二虎競食」や「駆虎呑狼」といった多彩な計略が登場し、知力系武将の活躍の場が広がったのも特徴。アイテム(玉璽や赤兎馬など)の要素も追加され、武将収集の楽しさも増した。スーパーファミコン版も大ヒットし、シリーズの地位を不動のものにした。
【あらすじ(プレイ体験)】
群雄割拠の時代、どの君主を選ぶかが運命の分かれ道。曹操で覇道を歩むか、孫権で江南を守るか。外交で敵国同士を戦わせ、疲弊したところを攻め取る狡猾な戦略も可能になった。戦場では、一騎打ちが発生し、武将同士の手に汗握る戦いが繰り広げられる。裏切りによって信頼していた武将が去っていく悲しみ、そして新たな名将を登用できた時の喜び。君主としての孤独と栄光をより深く味わえる。
No.3 三國志III

| 発売日 | 1992年2月5日 |
|---|---|
| 開発 | 光栄 |
| 発売 | 光栄 |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | PC-9801 / MD / SFC / PCE 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
国単位ではなく「都市」単位での攻略へとシステムが変更され、より細やかな戦略が可能になった作品。戦場マップと都市マップが区別され、関所や城壁といった地形効果が重要になった。「文官」「武官」の身分設定や、命令書による行動回数の制限など、組織運営のリアリティも追求されている。初心者向けの「諸葛亮の助言」機能もあり、間口を広げた。メガドライブ版やPCエンジン版も発売され、ハードごとのアレンジも話題となった。
【あらすじ(プレイ体験)】
長江の天険をどう攻略するか、堅牢な城壁をどう破るか。戦争は単なる数値のぶつかり合いではなく、地形と補給、そして兵器の運用が鍵を握る戦術シミュレーションへと進化した。弩や投石機を開発し、圧倒的な軍事力で敵を粉砕する快感。一方で、内政をおろそかにすれば民忠誠度が下がり、反乱が起きる。為政者としてのバランス感覚が常に問われる、緊張感あふれる乱世の経営が楽しめる。
第2期:多様化するシステムとキャラクター性(1994-1998)
1990年代中盤、ゲームハードはスーパーファミコンからPlayStation、セガサターンといった次世代機へと移行していく。この時期の『三國志』は、グラフィックの向上だけでなく、ゲームシステム面でも大きな変革期を迎えた。
『IV』では、攻城兵器の導入や内政の簡略化が進み、よりダイナミックな戦争が楽しめるようになった。また、この作品から「パワーアップキット(PK)」という拡張ソフトの販売形態が確立され、エディット機能や追加シナリオを楽しむスタイルが定着した。『V』では「陣形」システムが導入され、ファンタジー要素(仙術など)も加わり、マルチプレイでの対戦が盛り上がりを見せた。『VI』では「天、地、人」の概念や、武将の「夢(理想)」システムが登場し、人間ドラマに焦点を当てたリアルタイム性の導入も試みられた。シリーズごとの個性が際立ち始め、プレイヤーによって「最高傑作」が分かれるのもこの時期の特徴である。
No.4 三國志IV

| 発売日 | 1994年2月11日 |
|---|---|
| 開発 | 光栄 |
| 発売 | 光栄 |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | PC-9801 / SFC / PS / SS 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
全世界でヒットした人気作。内政を簡略化し、担当官を任命するだけで自動的に数値が上がるシステムを採用、戦争や外交に集中できるようになった。最大の特徴は、衝車や発石車などの「攻城兵器」の登場と、野戦・攻城戦の区別化。また、武将の特殊能力(スキル)が「天変」「落雷」など多彩になり、キャラクター性が強調された。本作から「パワーアップキット」が発売され、追加シナリオやエディット機能が楽しめるようになった。
【あらすじ(プレイ体験)】
城門を破壊するために衝車を組み立て、城壁の上から矢を射掛ける敵を焼き払う。戦争はより立体的でダイナミックになった。捕虜にした武将を牢屋に入れておくことができるようになり、人材登用の駆け引きも熱い。辺境の異民族(烏丸や南蛮など)も登場し、彼らとの戦いや外交も天下統一の鍵を握る。多様なスキルを持つ武将たちを適材適所に配置し、大陸の覇者を目指す。
1994年は、プレイステーションとセガサターンが発売された次世代機元年。ゲームの容量が増大する中、コーエーは既存のソフトに追加ディスクを適用して機能を拡張する「パワーアップキット」というビジネスモデルを発明した。これは、長く遊びたいシミュレーションゲームファンにとって画期的な仕組みであり、後のDLC(ダウンロードコンテンツ)の先駆けとも言える。ユーザーは自分だけの理想の三国志を作る楽しさに目覚めた。
No.5 三國志V

| 発売日 | 1995年12月15日 |
|---|---|
| 開発 | 光栄 |
| 発売 | 光栄 |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | PC-9801 / PS / SS 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
| サウンド | 服部隆之 |
【概要】
「陣形」システムを導入し、戦闘の戦術性を極限まで高めた作品。部隊に「錐行」「鶴翼」「魚鱗」などの陣形を指示することで、機動力や攻撃力が変化する。また、「名声」システムにより、民衆の支持が行動回数に影響するなど、君主の徳が重要視された。BGMに服部隆之氏を起用したフルオーケストラサウンドは評価が高く、シリーズ屈指の人気作として挙げられることが多い。ファンタジー色の強い特殊能力(仙術など)も特徴。
【あらすじ(プレイ体験)】
黄巾の乱から始まる激動の時代。民のために巡察を行い、名声を高めることが国力増強への近道となる。戦場では、地形に合わせて陣形を使い分ける知的な采配が求められる。速攻には錐行、防御には方円。一斉攻撃や側面攻撃で敵を包囲殲滅する快感は格別だ。仙人や幻術といった超自然的な力も戦局を左右し、史実を超えたドラマチックな展開がプレイヤーを待ち受ける。
No.6 三國志VI

| 発売日 | 1998年3月13日 |
|---|---|
| 開発 | コーエー |
| 発売 | コーエー |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows 95 / PS / DC |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
Windows環境へ移行した最初の作品。「天の時、地の利、人の和」をテーマに、人間ドラマを深く掘り下げた。武将全員に「夢(理想)」が設定されており、君主の方針と合わないと不満を持つなど、中間管理職的な苦労が味わえる。戦闘は「半リアルタイム制」を採用し、命令を出した後は自動で数日間進行するシステム。一騎打ちもコマンド入力式になるなど、独自の試みが多く盛り込まれた。ショートシナリオモードも充実している。
【あらすじ(プレイ体験)】
帝を擁立して大義名分を得るか、力でねじ伏せるか。君主としての振る舞いが武将たちの忠誠心に直結する。義を重んじる関羽は、略奪を繰り返す君主には従わない。部下たちの夢を叶え、派閥のバランスを取りながら国を運営する難しさは、まさに現代社会の縮図。戦場では、敵の動きを予測して指示を出す指揮官としての能力が試される。献帝イベントが豊富で、朝廷との関わりが深く描かれるのも魅力。
第3期:武将プレイの幕開けと多様性(2000-2004)
2000年代に入り、PlayStation 2が市場を席巻する中、『三國志』シリーズは革命的な進化を遂げた。それが『VII』で初めて導入された「全武将プレイ」システムである。
これまでのシリーズは「君主」として国を富ませ軍を動かすことが目的だったが、この時期からは「一人の武将」として乱世を生き抜くというRPG的なアプローチが取り入れられた。在野武将として各地を放浪するもよし、太守として一つの都市を治めるもよし、軍師として君主を補佐するもよし。このシステムは『VIII』『X』でさらに洗練され、結婚や子育てといった人生シミュレーションの要素も強化された。
一方で、『IX』ではあえて全武将プレイを廃止し、君主プレイに回帰。一枚マップ上での戦略と戦闘がリアルタイムに進行するシステムを採用し、シリーズ屈指の戦略性を実現した。このように、「個人の人生を楽しむ」作品と、「組織の戦略を楽しむ」作品が交互にリリースされ、ファン層を大きく広げたのがこの時代の特徴である。PC版の発売後、コンシューマ機へ移植される流れも定着した。
No.7 三國志VII

| 発売日 | 2000年2月18日 |
|---|---|
| 開発 | コーエー |
| 発売 | コーエー |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows 95 / PS / PS2 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
シリーズで初めて「全武将プレイ」を導入した革新作。君主だけでなく、軍師、太守、一般武将、在野武将と、あらゆる立場の人物としてプレイ可能になった。「交友」コマンドで他の武将と親密度を上げたり、能力を鍛えたりと、個人の人生シミュレーションとしての側面が強い。イベントも多数用意され、武術大会や漢詩大会などが開催される。このシステムは同社の『太閤立志伝』の影響を強く受けており、ファンの間でも賛否両論あったが、新たな楽しみ方を提示した。
【あらすじ(プレイ体験)】
一介の武将として仕官し、手柄を立てて出世していくサクセスストーリー。君主からの無理難題な命令に舌打ちしつつ任務をこなし、時には反乱を起こして独立することも可能。親密になった武将から「義兄弟」の契りを持ちかけられたり、訪問先でアイテムをもらったりと、人間関係の構築が攻略の鍵となる。戦場での視界システムも導入され、索敵の重要性が増した。
2000年はPlayStation 2が発売され、ゲームのグラフィック表現が飛躍的に向上した年である。DVD再生機能を持つPS2は家庭用エンターテインメントの中心となり、『三國志』シリーズもPS2へ参入することで、PCユーザー以外への訴求力を高めた。また、インターネットの普及も進み始めており、ユーザー同士で作成した新武将データを交換するといった楽しみ方も徐々に広まっていった。
No.8 三國志VIII

| 発売日 | 2001年6月29日 |
|---|---|
| 開発 | コーエー |
| 発売 | コーエー |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows 95 / PS2 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
前作の全武将プレイをさらに発展させた作品。結婚が可能になり、配偶者との間に子供が生まれ、その子供を育成して跡を継がせるシステムが追加された。シナリオ数が非常に多く、184年の黄巾の乱から234年の五丈原まで、1年刻みで開始年を選べるのが最大の特徴。戦闘マップも改良され、戦術性が向上した。「放浪軍」を結成して各地を転戦するプレイスタイルも人気が高く、リメイク版『8 Remake』が2024年に発売されるほど根強い人気を誇る。
【あらすじ(プレイ体験)】
乱世において、愛する人と家庭を築く喜び。子供に武芸を教え、やがて立派な武将としてデビューさせる親心。もちろん戦争も忘れてはならない。「戦法」システムにより、突撃や奇襲といった個性的な攻撃が可能になり、武将ごとの役割が明確になった。人間ドラマと戦略シミュレーションの融合が、かつてない没入感を生み出す。
No.9 三國志IX

| 発売日 | 2003年3月14日 |
|---|---|
| 開発 | コーエー |
| 発売 | コーエー |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows 98 / PS2 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
君主プレイに回帰し、シリーズ最高傑作との呼び声も高い作品。最大の特徴は、内政と戦闘が同一の一枚マップ上で行われるシステム。プレイヤーは「戦略フェイズ」で命令を出し、「進行フェイズ」でリアルタイムに結果を見守る。国境の概念がなくなり、部隊の配置や行軍ルートが極めて重要になった。異民族(烏丸、羌など)が非常に強力な勢力として登場し、彼らとの攻防も熱い。シンプルながら奥深い戦略性が評価されている。
【あらすじ(プレイ体験)】
広大な中国大陸が一枚の地図となり、そこで複数の軍勢が同時に動くダイナミズム。砦を建設して敵の進行を阻み、兵法(スキル)の連鎖「兵法連鎖」で敵部隊を一瞬で壊滅させる爽快感は格別だ。命令を出した後は介入できないため、事前の計画と武将への信頼がすべて。呂布が命令を無視して突撃し、罠にかかるのもまた一興。君主としての孤独な決断が試される。
No.10 三國志X

| 発売日 | 2004年7月2日 |
|---|---|
| 開発 | コーエー |
| 発売 | コーエー |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows 98 / PS2 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
再び全武将プレイを採用し、RPG色を強めた作品。シリーズで初めて「舌戦(ぜっせん)」システムが導入され、文官同士の議論がカードゲーム形式で楽しめるようになった。マップは2Dと3Dを融合させた美しいグラフィックになり、個人のクエスト依頼を受ける「酒場」なども登場。戦闘は部隊単位の局地戦と、都市攻略戦に分かれている。「歴史イベント」が豊富で、条件を満たすと史実通りの展開が発生するため、歴史の追体験がしやすい。
【あらすじ(プレイ体験)】
乱世をどう生きるか、自由度はシリーズ随一。私兵を募って義勇軍を立ち上げることも、商売に精を出すこともできる。舌戦では、孔明のような知将が圧倒的な語彙力で相手を論破する様が痛快。戦役モードでは、赤壁の戦いなどの大規模な戦争をキャンペーン形式で楽しめる。一人の人間として三国志の世界に没入できる、まさに「ライフシミュレーション」である。
第4期:3D一枚マップと新たな戦略性(2006-現在)
2006年の『11』以降、シリーズは3Dグラフィックによる表現力を大幅に強化していく。『11』では水墨画調の美しい3D一枚マップを採用し、箱庭的な内政と戦術的な戦闘を融合させた。『12』ではオンライン対戦を意識したリアルタイムバトルと、タブレットPCでも遊べるような簡略化された内政システムを導入し、賛否を呼んだ。
30周年記念作品である『13』では、再び全武将プレイを採用し、武将同士の「絆」に焦点を当てた人間ドラマを描いた。そして最新ナンバリングの『14』では、再び君主プレイに回帰。「土地を塗る」という陣取り合戦の要素を取り入れ、補給線(兵站)の概念を視覚的に表現することで、シンプルかつ奥深い戦略性を実現した。近年ではSteamなどのプラットフォームを通じて世界展開も進んでおり、AI強化やコラボレーションなど、時代のニーズに合わせた進化を続けている。
No.11 三國志11

| 発売日 | 2006年3月17日 |
|---|---|
| 開発 | コーエー |
| 発売 | コーエー |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows / PS2 / Wii 等 |
| プロデューサー | シブサワ・コウ |
【概要】
水墨画調の美しい3D一枚マップが特徴の君主プレイ作品。内政は都市周辺の空き地に施設を建設する「箱庭」方式を採用し、開発の楽しさを追求。戦闘はターン制で、敵を突き飛ばして罠にハメたり、火球を転がしたりといった戦術的なプレイが可能。「特技」システムにより、武将ごとの個性が際立っており(例:劉備の「逃走」、呂布の「飛将」など)、組み合わせを考えるのが楽しい。現在でも最高傑作に推す声が多い人気作。
【あらすじ(プレイ体験)】
大陸全土が美しい3Dマップで表現され、季節の移ろいを感じながら天下を争う。敵部隊をZOC(支配領域)で足止めし、業火球で焼き払う爽快感。内政では、造幣所や穀倉を計画的に配置し、コンボ効果で収入を倍増させるパズル的な面白さがある。一騎打ちや舌戦も3D化され、迫力満点。武将の育成要素も充実しており、弱小武将を最強に育てる楽しみもある。
2006年は、任天堂からWii、ソニーからPlayStation 3が発売され、ゲーム業界が新たなハード戦争に突入した年である。ハイデフ(HD)画質の時代が到来し、ゲームの表現力は格段に向上した。一方で、『三国志大戦』などのアーケードゲームも人気を博しており、三国志というコンテンツ自体が多様な形で楽しまれていた時期でもある。
No.12 三國志12

| 発売日 | 2012年4月20日 |
|---|---|
| 開発 | コーエーテクモゲームス |
| 発売 | コーエーテクモゲームス |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows / PS3 / Wii U / PS Vita |
| プロデューサー | 北見健 |
【概要】
前作から6年の沈黙を破り発売された作品。タブレットPCなどの低スペック環境やタッチ操作でのプレイを想定し、内政やマップシステムが大幅に簡略化された。戦闘はリアルタイム制(RTS)を採用し、視界の概念や「戦法」の発動タイミングが勝敗を分ける。オンライン対戦モードが実装され、ガチャで武将カードを集めて対戦するという新しい試みが行われた。この大幅な仕様変更は、古参ファンの間で大きな議論を呼んだ。
【あらすじ(プレイ体験)】
カード化された武将のイラストは非常に美しく、コレクション欲をそそる。内政は施設に武将を配置するだけで効果が出るシンプル設計。戦闘では、槍・騎・弓の3すくみを意識し、敵の本陣を奇襲するか、城門を突破するかという駆け引きが熱い。「秘策」を使えば、戦局を一気に覆すことも可能。短時間で決着がつくテンポの良さは、現代のプレイスタイルに合っているとも言える。
No.13 三國志13
| 発売日 | 2016年1月28日 |
|---|---|
| 開発 | コーエーテクモゲームス |
| 発売 | コーエーテクモゲームス |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows / PS4 / PS3 / Xbox One / Switch |
| プロデューサー | 鈴木亮浩 |
【概要】
シリーズ30周年記念作品。「百花繚乱の英傑劇」をコンセプトに、再び全武将プレイを採用。武将同士の人間関係を示す「相関図」や「絆」システムを導入し、親しい武将と協力して任務を行ったり、戦場で能力ボーナスを得たりできる。戦闘はリアルタイム制で、采配戦闘と英傑伝モード(チュートリアルを兼ねたドラマモード)が充実。パワーアップキットでは「威名」システムが追加され、商人や暗殺者といった独自の生き方も可能になった。
【あらすじ(プレイ体験)】
一人の英傑として乱世を駆けるドラマチックな体験。劉備・関羽・張飛の桃園の誓いのような、熱い絆を他の武将とも結ぶことができる。戦闘では、大軍同士がぶつかり合う迫力のビジュアルと、士気のコントロールが重要。水上戦や攻城戦も進化し、戦場の臨場感が増した。イベントエディタを使えば、自分だけのオリジナルストーリーを作成して楽しむこともできる。
No.14 三國志14
| 発売日 | 2020年1月16日 |
|---|---|
| 開発 | コーエーテクモゲームス |
| 発売 | コーエーテクモゲームス |
| 売上本数 | - |
| 対応ハード | Windows / PS4 / Switch |
| プロデューサー | 越後谷和広 |
【概要】
シリーズ35周年記念作品。君主プレイに回帰し、シリーズの原点である「土地の奪い合い」を現代的に再構築した。マップを細かいヘックス(六角形)で区切り、自勢力の色で塗りつぶしていく「塗る」システムが特徴。塗られた土地は補給線となり、敵の補給線を分断して孤立させる「兵站切り」が極めて強力な戦術となる。1000名以上の武将が登場し、それぞれに個性的なAIと「個性(パッシブスキル)」が設定されており、適材適所の采配が求められる。
【あらすじ(プレイ体験)】
中華全土を自分の色で染め上げる征服の喜び。前線に軍を進めるには、背後の補給路を確保しなければならない。敵の裏をかき、補給線を切断して大軍を混乱させた時のカタルシスは、シリーズ屈指。武将たちはそれぞれの「個性」に基づいて自律的に行動するため、猪突猛進する張飛をなだめたり、勝手に提案してくる部下を採用したりと、君主としてのマネジメント能力が試される。AIの進化により、手ごわい敵との知恵比べが楽しめる。
まとめ:終わらない乱世、紡がれる歴史
『三國志』シリーズは、単なるゲームの枠を超え、私たちに歴史の面白さ、人間ドラマの奥深さ、そして戦略的思考の楽しさを教えてくれた。君主として覇道を歩む『I』から『14』まで、そして武将として人生を謳歌する『VII』以降の作品群。システムは変遷すれど、そこにあるのは常に「男たちの(そして女たちの)熱き生き様」である。
40年にわたり進化を続けてきたこのシリーズは、これからも最新の技術と解釈で、私たちに新しい「三国志」を見せてくれるだろう。さあ、次はどの時代の、誰になって、この中華の大地を駆け抜けようか。

