「ガノンを倒して姫を救う」。言葉にすれば単純なその目的のために、私たちは何度ハイラルへ旅立っただろうか。
1986年、宮本茂氏の「子供の頃、近所の野山を冒険した体験」を原点として生まれた『ゼルダの伝説』。謎解きとアクションが融合したこのシリーズは、ディスクシステム、NINTENDO64、Wii、Switchと、任天堂ハードの進化と共に常に「新しい遊び」を定義し続けてきた。
「謎解き音」が鳴った時の快感、広大なハイラル平原を馬で駆ける高揚感。2023年には『ティアーズ オブ ザ キングダム』が発売3日で1000万本を売り上げるギネス記録を樹立し、ハリウッドでの実写映画化も発表されるなど、その伝説は拡大の一途を辿っている。本記事では、アクションアドベンチャーの歴史そのものである本編シリーズ全12作品の軌跡を、その進化の過程と共に完全網羅する。
シリーズ基礎データ
『ゼルダの伝説』(The Legend of Zelda)は、任天堂が開発・発売するアクションアドベンチャーゲームシリーズ。第1作は1986年にファミリーコンピュータ ディスクシステムで発売。主人公の少年「リンク」を操作し、剣と魔法、そして多彩なアイテムを駆使してダンジョンの謎を解き、ガノンなどの悪からゼルダ姫や世界を救う物語。「トライフォース」を巡る壮大な年代記(タイムライン)が存在し、ファンの間では時系列の考察も盛んに行われている。シリーズ世界累計販売本数は1億6000万本以上。
歴代主要作品一覧
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※売上は世界累計(リメイク版を含まないオリジナル版の概算データ)を参照。
| No | 発売日 | タイトル | 売上本数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1986/2/21 | ゼルダの伝説 | 651万本 |
| 2 | 1987/1/14 | リンクの冒険 | 438万本 |
| 3 | 1991/11/21 | ゼルダの伝説 神々のトライフォース | 461万本 |
| 4 | 1993/6/6 | ゼルダの伝説 夢をみる島 | 383万本 |
| 5 | 1998/11/21 | ゼルダの伝説 時のオカリナ | 760万本 |
| 6 | 2000/4/27 | ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 | 336万本 |
| 7 | 2002/12/13 | ゼルダの伝説 風のタクト | 443万本 |
| 8 | 2006/12/2 | ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス | 885万本 |
| 9 | 2011/11/23 | ゼルダの伝説 スカイウォードソード | 367万本 |
| 10 | 2017/3/3 | ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド | 3,185万本 |
| 11 | 2023/5/12 | ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム | 2,061万本 |
| 12 | 2024/9/26 | ゼルダの伝説 知恵のかりもの | 258万本(初週) |
第1期:2Dゼルダの完成と「アタリマエ」の確立(1986-1993)
ファミリーコンピュータ ディスクシステムのローンチタイトルとして登場した初代『ゼルダの伝説』。当時は『ドラゴンクエスト』が発売される3ヶ月前であり、RPGというジャンルがまだ家庭用ゲーム機に定着していなかった時代だ。そんな中、アクションに謎解き要素と成長要素を加え、さらにディスクシステムの機能を生かして「セーブ(中断)」を可能にした本作は、長時間遊べる大作ゲームの先駆けとなった。
その後、横スクロールアクションに挑戦した『リンクの冒険』を経て、スーパーファミコンで発売された『神々のトライフォース』で、トップビュー(見下ろし型)アクションとしての「ゼルダの文法」が完成を見る。表と裏の世界を行き来する構成や、フックショットなどのアイテムを使った謎解きは、後のシリーズの基礎となった。携帯機ゲームボーイでの『夢をみる島』も、少ない容量ながら濃密なストーリーを描き、シリーズの幅を広げた。
No.1 ゼルダの伝説

| 発売日 | 1986年2月21日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 651万本 |
| 対応ハード | FCディスクシステム |
| ディレクター | 宮本茂 / 手塚卓志 |
| デザイナー | 手塚卓志 |
| サウンド | 近藤浩治 |
【概要】
ディスクシステム第1弾ソフトとして発売され、「書き換え可能」「セーブ機能」というハードの特性を最大限に活かした記念碑的作品。広大なフィールドをノーヒントで探索し、隠されたダンジョンを見つけ出すという自由度の高さが特徴。謎解き音が鳴った時の快感はここから始まった。海外でもNES版が大ヒットし、「Zelda」の名を世界に轟かせた。主人公の名前を「ゼルダ」にすると裏モードから始まる裏技も有名。
【あらすじ】
ハイラル地方にある小王国。魔王ガノンが侵攻し、力のトライフォースを奪い取った。ゼルダ姫は捕まる直前、知恵のトライフォースを8つに砕き、各地に隠した。旅の途中でゼルダ姫の乳母インパを助けた少年リンクは、姫を救うため立ち上がる。各地のダンジョンに隠された8つのトライフォースの欠片を集め、デスマウンテンへ。知恵のトライフォースを完成させ、魔王ガノンを倒し、ハイラルの平和を取り戻すまでの孤独な戦いが描かれる。
1986年は、5月に『ドラゴンクエスト』が発売され、日本にRPGブームが到来する「RPG元年」とも呼べる年である。アクション主体の『ゼルダ』と、コマンド主体の『ドラクエ』。この2本がほぼ同時期に生まれたことで、日本の家庭用ゲームの方向性が決定づけられた。ディスクシステムは書き換え(500円)という安価なシステムで人気を博したが、やがて大容量化するROMカセットにシェアを奪われていくことになる。
No.2 リンクの冒険

| 発売日 | 1987年1月14日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 438万本 |
| 対応ハード | FCディスクシステム |
| ディレクター | 杉山直 / 山村康久 |
| デザイナー | 宮本茂 |
| サウンド | 中塚章人 |
【概要】
シリーズ唯一の「横スクロールアクションRPG」。見下ろし型マップで移動し、敵と遭遇すると横スクロールのアクション画面に切り替わるシステムを採用。経験値によるレベルアップや、上段・下段の突き分けなど、アクション性が非常に高い。難易度はシリーズ屈指の高さで、デスマウンテンの過酷さは語り草。街の住人の「I AM ERROR.」という台詞はネットミームとして有名。長らく異色作扱いされていたが、その硬派な剣戟アクションは近年再評価されている。
【あらすじ】
ガノン討伐から数年後。リンクの左手の甲に紋章が浮かび上がる。それはハイラル王家に伝わる「勇気のトライフォース」の継承者の証だった。リンクはインパから、初代ゼルダ姫が「北の城」で永遠の眠りについていることを知らされる。彼女を目覚めさせるには、勇気のトライフォースが必要だ。一方、ガノンの残党たちは、リンクの血を捧げてガノンを復活させようと暗躍していた。リンクは6つの神殿を守護するガーディアンを倒し、大神殿の試練に挑む。最後に待ち受けるのは、己自身の影「ダークリンク」だった。
No.3 ゼルダの伝説 神々のトライフォース

| 発売日 | 1991年11月21日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 461万本 |
| 対応ハード | スーパーファミコン |
| プロデューサー | 宮本茂 |
| ディレクター | 手塚卓志 |
| サウンド | 近藤浩治 |
【概要】
スーパーファミコンで発売された、2Dゼルダの完成形。再び見下ろし型に戻り、フックショットやハンマーなど多彩なアイテムを使った謎解きが確立された。光の世界と闇の世界を行き来するシステム、ビンを使ったアイテム管理、そして回転斬り。後のシリーズに受け継がれる要素の多くが本作で出揃った。ファミ通クロスレビューでは39点(ほぼ満点)を記録。その完璧なゲームバランスは、今なお「最高傑作」に推す声が多い。
【あらすじ】
ハイラル王国に災いが迫る夜、リンクはテレパシーでゼルダ姫の助けを求める声を聞く。城に潜入したリンクは、司祭アグニムがゼルダ姫を生贄にし、封印された「闇の世界」への扉を開こうとしていることを知る。リンクは長老サハスラーラの助言に従い、伝説の退魔の剣「マスターソード」を手に入れるために3つの紋章を集める。しかし、一足遅くゼルダ姫は闇の世界へ送られてしまった。リンクは自らも闇の世界へ飛び込み、ガノンの野望を阻止するために、光と闇、二つの世界を巡る冒険を繰り広げる。
No.4 ゼルダの伝説 夢をみる島

| 発売日 | 1993年6月6日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 383万本(GB版) |
| 対応ハード | ゲームボーイ |
| プロデューサー | 宮本茂 |
| ディレクター | 手塚卓志 |
| サウンド | 戸高一生 他 |
【概要】
シリーズ初の携帯機向けタイトル。ゼルダ姫もガノンも登場しない異色の外伝的作品。マリオシリーズのキャラ(ワンワンやクリボー)がゲスト出演するなど、遊び心に溢れている。特筆すべきはそのストーリー性の高さ。「島からの脱出」が目的だが、物語が進むにつれて明らかになる島の真実と、切ない結末は多くのプレイヤーの涙を誘った。Switchでリメイクもされた人気作。
【あらすじ】
修行の旅を終えたリンクは、船でハイラルへ帰る途中に嵐に巻き込まれ、一度入ると出られないと言われる「コホリント島」に漂着する。島で目覚めたリンクは、少女マリンやタリンに助けられる。島を脱出するには、巨大な卵の中で眠る「かぜのさかな」を目覚めさせなければならない。リンクは島中のダンジョンを巡り、8つの「セイレーンの楽器」を集める。しかし、冒険の過程で、この島とかぜのさかな、そして島の人々の存在に隠された、衝撃的な真実を知ることになる。
第2期:3D革命と表現の模索(1998-2002)
1998年、NINTENDO64で発売された『時のオカリナ』は、ゲーム業界そのものを変える革命だった。敵を自動でロックオンする「Z注目」システムは、3Dアクションにおけるカメラワークと操作性の問題を一挙に解決し、その後の全ての3Dゲームの教科書となった。ファミ通クロスレビューでは史上初の40点満点を獲得。
続く『ムジュラの仮面』では「3日間システム」という異色のループものを、『風のタクト』では「トゥーンレンダリング」によるアニメ調のグラフィックを採用。3Dという新たな次元で、ゼルダは何ができるのか。技術革新と表現の模索が繰り返された、シリーズにとってもっともエネルギッシュな時代である。
No.5 ゼルダの伝説 時のオカリナ

| 発売日 | 1998年11月21日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 760万本 |
| 対応ハード | NINTENDO64 |
| プロデューサー | 宮本茂 |
| ディレクター | 青沼英二 / 小泉歓晃 他 |
| サウンド | 近藤浩治 |
【概要】
シリーズ初の3D作品にして、ゲーム史に輝く最高傑作。対象をロックオンする「Z注目」により、3D空間での戦闘を快適にした。子供時代と大人時代、7年の時を行き来する壮大なストーリー、オカリナ演奏による謎解き、エポナでの乗馬など、要素の全てが画期的だった。国内外で数々の賞を総なめにし、「オールタイム・ベスト」の常連となっている。本作の結末によって、後のシリーズの時系列が「勝利」「敗北」「子供時代」の3つに分岐することになる。
【あらすじ】
コキリの森に住む少年リンクは、妖精ナビィに導かれ、デクの樹サマの呪いを解くために旅立つ。ハイラル城でゼルダ姫と出会ったリンクは、魔盗賊ガノンドロフの野望を知り、それを阻止するために3つの精霊石を集める。しかし、時の神殿でマスターソードを引き抜いたことで、リンクは7年間の眠りについてしまう。目覚めた時は、ガノンドロフによってハイラルが支配された絶望の未来だった。「時の勇者」として覚醒したリンクは、七賢者を救い出し、ガノンドロフとの最終決戦に挑む。
1998年は『メタルギアソリッド』や『バイオハザード2』など、PlayStationの名作が市場を席巻していた時期である。NINTENDO64はソフト不足に苦しんでいたが、『時のオカリナ』の発売はその空気を一変させた。ポリゴンによる3D表現が「新奇なもの」から「表現のスタンダード」へと定着した年であり、本作はその到達点として世界中のクリエイターに衝撃を与えた。
No.6 ゼルダの伝説 ムジュラの仮面

| 発売日 | 2000年4月27日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 336万本 |
| 対応ハード | NINTENDO64 |
| プロデューサー | 宮本茂 |
| ディレクター | 青沼英二 / 小泉歓晃 |
| サウンド | 近藤浩治 / 峰岸透 |
【概要】
『時のオカリナ』のシステムを流用し、わずか1年強で開発された異色作。「3日後に月が落ちて世界が滅びる」という極限状況の中、オカリナで時間を巻き戻しながら冒険するループもの。仮面を被ることでデクナッツ、ゴロン、ゾーラに変身できるアクションが特徴。NPC全員に詳細なスケジュールが設定されており、彼らの悩みを解決するサブイベントが充実している。全体的に漂う不気味でダークな雰囲気は、シリーズの中でも独特の存在感を放つ。
【あらすじ】
旅の途中、小鬼「スタルキッド」に襲われたリンクは、異世界「タルミナ」へと迷い込む。そこは3日後に月が落下し、滅びることが確定した世界だった。ムジュラの仮面の魔力に取り憑かれたスタルキッドの仕業である。リンクは「時の歌」で最初の朝に戻り、同じ3日間を繰り返しながら、4つの地方の神殿にいる巨人を呼び覚ます。滅びの運命に抗い、人々の悩みや後悔を救いながら、最後に月の内部でムジュラの仮面との決戦に挑む。
No.7 ゼルダの伝説 風のタクト

| 発売日 | 2002年12月13日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 443万本 |
| 対応ハード | ニンテンドーゲームキューブ |
| プロデューサー | 宮本茂 / 手塚卓志 |
| ディレクター | 青沼英二 |
| サウンド | 永田権太 他 |
【概要】
「トゥーンレンダリング」技術を採用し、アニメーションのようなグラフィックを実現した作品。通称「猫目リンク(トゥーンリンク)」が初登場。当初はリアル路線を期待していたファンから賛否両論があったが、表情豊かなキャラクターと、風を操って大海原を冒険する開放感は高く評価された。敵の武器を拾って使うなどアクションも進化。青沼英二氏がディレクターとして本格的に指揮を執った作品でもある。
【あらすじ】
伝説の勇者の伝説が風化した、海ばかりの世界。プロロ島に住む少年リンクは、妹のアリルを怪鳥ジークロックにさらわれてしまう。リンクは海賊テトラの船に乗せてもらい、妹を救うために大海原へ。冒険の中で、この世界がかつてガノンによって滅ぼされ、海に沈んだハイラル王国であることを知る。赤獅子の王(ハイラル王)の導きにより、マスターソードの輝きを取り戻し、トライフォースを集めたリンクは、海底に眠るハイラル城でガノンドロフとの因縁に決着をつける。
第3期:体感アクションと原点回帰(2006-2011)
Wiiの登場により、ゲームは「リモコンを振る」という体感操作の時代へ。ファン待望のリアル頭身ゼルダである『トワイライトプリンセス』は、GCとWiiの縦マルチで発売され、北米を中心に爆発的なヒットを記録した。
続く『スカイウォードソード』では、Wiiリモコンプラスの機能を活用し、剣を振る方向まで正確に反映するチャンバラアクションを実現。物語の時系列で「最も古い時代」を描き、マスターソードの誕生やゼルダとリンクの運命の始まりを明かした。この時期は、携帯機でもタッチペン操作を取り入れた『夢幻の砂時計』などが発売され、ハードのギミックを活かした遊びが追求された。
No.8 ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス

| 発売日 | 2006年12月2日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 885万本 |
| 対応ハード | Wii / GC |
| プロデューサー | 宮本茂 |
| ディレクター | 青沼英二 |
| サウンド | 峰岸透 他 |
【概要】
『時のオカリナ』の路線を継承した、リアルでダークなグラフィックのゼルダ。Wiiのローンチタイトルとして発売され(GC版もオンライン限定等で発売)、Wiiリモコンを振って剣を振る操作や、ポインターによる弓矢操作が没入感を高めた。主人公リンクが狼に変身し、謎の魔物「ミドナ」と協力して進むバディアクションが特徴。ダンジョンの規模や謎解きの密度はシリーズ最大級で、重厚な冒険を楽しめる。
【あらすじ】
トアル村で牧童として暮らしていたリンクは、魔物の襲撃に遭い、「影の世界(トワイライト)」に引きずり込まれてしまう。狼の姿に変えられてしまったリンクは、そこで出会った影の住人ミドナと契約し、元の姿に戻るために光の精霊を解放していく。ハイラル王国を影の領域に変えようとする簒奪王ザントと、その背後にいるガノンドロフ。光と影、二つの世界を巡る戦いの中で、ミドナの正体と「黄昏の姫」の真実が明かされる。
No.9 ゼルダの伝説 スカイウォードソード

| 発売日 | 2011年11月23日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂情報開発本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 367万本(Wii版) |
| 対応ハード | Wii |
| プロデューサー | 青沼英二 |
| ディレクター | 藤林秀麿 |
| サウンド | 若井淑 他 |
【概要】
ゼルダ25周年記念作品。「Wiiリモコンプラス」による1:1の剣戟アクションを実現。プレイヤーの手の動きに合わせてリンクが剣を振り、敵のガードの隙間を狙って斬るという直感的な戦闘が可能になった。シリーズ最古の時代を描き、マスターソードの誕生や、ハイラルの創世神話に深く切り込んだストーリーが特徴。水彩画のようなグラフィックも美しい。一方で、フィールドとダンジョンの境目をなくす試みや、ダッシュによるスタミナ管理など、後のBotWに繋がる要素も多く見られる。
【あらすじ】
空に浮かぶ島「スカイロフト」で、騎士を目指すリンクと幼馴染のゼルダは平和に暮らしていた。しかし、ゼルダは黒い竜巻に巻き込まれ、雲の下の大地へと落下してしまう。リンクは女神の剣の精霊「ファイ」に導かれ、雲の下に広がる未知の世界へ降り立つ。そこは魔族が支配する危険な土地だった。ゼルダを探して各地の神殿を巡り、剣を鍛え、マスターソードを完成させるリンク。魔族の長「終焉の者」との決戦を経て、マスターソードに宿る魂と、繰り返される転生の呪いの始まりが描かれる。
第4期:アタリマエを見直す、自由への飛翔(2017-現在)
「ゼルダのアタリマエを見直す」。青沼英二プロデューサーの号令の下、開発された『ブレス オブ ザ ワイルド』は、世界中のゲームの常識を覆した。目に見える場所どこへでも行ける広大なオープンエア、物理演算を駆使した謎解き、そして決まった攻略順序を持たない究極の自由。Nintendo Switchのローンチタイトルとして発売された本作は、数々のゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞し、シリーズの売上記録を大幅に更新した。
その続編『ティアーズ オブ ザ キングダム』では、空と地底に世界を拡張し、クラフト要素「ウルトラハンド」で遊びの幅を無限大に広げた。そして2024年、『知恵のかりもの』ではついにゼルダ姫自身が主人公となり、テーブルをコピーして足場にするなど、戦闘力に頼らない新しい「知恵」の遊びを提示。ゼルダシリーズは、常に破壊と創造を繰り返し、進化の最前線を走り続けている。
No.10 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
| 発売日 | 2017年3月3日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂企画制作本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 3,185万本 |
| 対応ハード | Nintendo Switch / Wii U |
| プロデューサー | 青沼英二 |
| ディレクター | 藤林秀麿 |
| サウンド | 片岡真央 他 |
【概要】
Nintendo Switchのローンチタイトルにして、シリーズ最高傑作の呼び声高い作品。「広大な世界をどこへでも行ける」オープンエア(オープンワールド)を採用。壁を登り、パラセールで空を飛び、物理演算を利用して謎を解く。武器が壊れる、料理を作るなどサバイバル要素も追加された。従来の「ダンジョンの順番」を撤廃し、開始直後にラスボスへ挑むことも可能。その圧倒的な自由度と完成度は、世界中のメディアで満点を獲得し、ゲームの歴史を変えたと言われる。
【あらすじ】
100年の眠りから目覚めたリンクは、記憶を失っていた。ハイラル王国は100年前に復活した「厄災ガノン」によって滅ぼされ、現在はガノンの瘴気に覆われている。リンクは広大なハイラルの大地を旅しながら、かつての英傑たちの魂を解放し、自身の記憶を取り戻していく。ハイラル城でたった一人、ガノンの力を抑え込み続けているゼルダ姫を救うため、リンクは野生の息吹(ブレス)の中で力を蓄え、厄災討伐へと向かう。
2017年は『Horizon Zero Dawn』などの高品質なオープンワールドゲームが数多くリリースされた年だが、『ブレス オブ ザ ワイルド』はそれらとは一線を画していた。マップ上のアイコンを潰していく作業的なプレイではなく、「あの山の向こうには何があるんだろう?」という純粋な好奇心を喚起するゲームデザインは、世界中のプレイヤーと開発者に衝撃を与え、「オープンワールドの到達点」と評された。
No.11 ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム
| 発売日 | 2023年5月12日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂企画制作本部 |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 2,061万本 |
| 対応ハード | Nintendo Switch |
| プロデューサー | 青沼英二 |
| ディレクター | 藤林秀麿 |
| サウンド | 片岡真央 他 |
【概要】
前作BotWの正統続編。舞台は地上だけでなく、空(空島)と地底にまで拡張された。最大の特徴は、物をくっつけて乗り物や兵器を作る「ウルトラハンド」や、天井を通り抜ける「トーレルーフ」などの新能力。プレイヤーの想像力次第でどんな攻略も可能になり、「開発者が想定していない解法」すら許容する懐の深さが話題を呼んだ。発売3日で1000万本を売り上げ、「最も早く売れた任天堂ゲーム」としてギネス記録に認定された。
【あらすじ】
厄災ガノン消滅後、ハイラル城の地下を調査していたリンクとゼルダは、謎のミイラを発見する。封印が解かれたミイラの攻撃によりリンクは右手の機能を失い、マスターソードは砕け散り、ゼルダは地割れの底へ落ちてしまう。空に浮かぶ島で目覚めたリンクは、右手に宿った古代文明「ゾナウ」の力を使い、行方不明になったゼルダを探す旅に出る。過去の時代に飛ばされたゼルダの決意と、魔王ガノンドロフの復活。時を超えた龍の涙の物語が完結する。
No.12 ゼルダの伝説 知恵のかりもの
| 発売日 | 2024年9月26日 |
|---|---|
| 開発 | 任天堂 / グレッゾ |
| 発売 | 任天堂 |
| 売上本数 | 258万本(初週) |
| 対応ハード | Nintendo Switch |
| プロデューサー | 青沼英二 |
| ディレクター | 佐野朋子 / 寺田智史 |
【概要】
長年の歴史の中で初めて、ゼルダ姫自身が主人公(プレイアブル)となった本編作品。見下ろし型の2Dゼルダスタイルだが、グラフィックは『夢をみる島(Switch版)』のようなジオラマ風。剣で戦うのではなく、妖精トリィのロッドを使ってテーブルや魔物などの「カリモノ」を作り出し、それを活用して謎を解く。ベッドを積み上げて階段にしたり、魔物を召喚して戦わせたりと、BotW以降の「自由な発想」を2Dゼルダに落とし込んだシステムが特徴。
【あらすじ】
ハイラル各地に謎の裂け目が現れ、人々や物を飲み込む「神隠し」が発生。剣士リンクも裂け目に飲み込まれてしまう。残されたゼルダ姫は、妖精トリィと出会い、借り物の力「カリモノ」を使ってハイラルを救う旅に出る。裂け目の向こう側に広がる「無の世界」では、飲み込まれた人々が静止していた。ゼルダは無の世界を修復しながら、リンクを、そして父王や国民たちを救い出すために知恵を絞る。力ではなく知恵で世界を救う、新しい伝説。
まとめ:時代を超えて受け継がれる「冒険」の心
『ゼルダの伝説』は、単なるシリーズの継続ではなく、常に「ゲーム体験の再定義」を行い続けてきた。2Dでの探索、3Dでの空間把握、モーションコントロールによる一体感、そしてオープンエアでの無限の自由。ハードウェアの進化を最も効果的な形で遊びに変換し、プレイヤーに「冒険する喜び」を提供し続けている。
リンクが目覚めるたび、そこには新しいハイラルがあり、新しい発見が待っている。次はどのような革新で私たちを驚かせてくれるのか、伝説の続きは常に未来にある。


